鈴蘭  71 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています



「そうか…通すがよい」

康安殿にて、王様はアン・ドチ
内官に向かいそう告げる。
戸口が開かれ、大護軍であり
此度の戦で総大将を勤めたヨンを
筆頭に、ガシャガシャと
鎧姿の高麗軍精鋭部隊が顔を見せる
無論、重臣らも並ぶ中
キリリっと前を見据え一糸乱れぬ
その足並みが静まるとヨンは
片膝をつき、玉座に腰掛ける
王様に向かい頭を垂れ顔を
上げると言葉を発する。

「皆、無事に戻り李成桂も
捕らえる事が出来たのも、王様の
お導きの賜物にて誠にありがたく
心より御礼申し上げます。
此度の戦にて多少の負傷者は
出ておりますが、敵方二万に
対して戦死者がおらぬ事
幸いでございました」

「ご苦労であった!
聴いておるぞ…ヨンジュンと言う者が
よき働きをしたとな。
その者を王宮にて召し抱えたいと
思うのじゃが、どこじゃ??」

王様は精鋭部隊の中から
見知らぬ顔を探そうと顔を
キョロキョロさせる。
その様子を目にし、ヨンが
口を開く。

「恐れながら王様…ヨンジュンなる者
旅人にてこの場にはおりませぬ。
仔細は別室にてお耳にお入れしたく
今は・・・」

その様子に
ざわざわっと騒ぎ出す重臣ら。
実は昨夜、王様は重臣らを緊急に
招致し、重大な案件を述べられて
いたのだ。

「んっ…王様??
如何されたのでございましょう。
方々の騒々しさは・・・」

「そちは知らんだろうが…
王様は昨夜王位を退くと申された
のであるぞ・・・。
トウ王子様が元服するまで・・・
口にするのも烏滸がましいが
次の王位は・・・チェ・ヨン!
そなたと言っておいでになる。
無論、辞退するな?」

「あんっ?俺??」

王様の御前にてヨンはらしくも
なく、ため口で応える。
仔細を共に耳にしていたチュンソク
を始めとするウダルチも眼を
見開き驚きを隠せない模様である。

「し、失礼致しましてございます。
王様・・・何故某が王となれましょう
某は王族ではございませぬ故
ご辞退申し上げます」

「そう言うと思うておったが
余は至って真面目に申して
おるぞ・・・トウが元服するまで
長生きしたいのじゃが
このごろ胃の府がキリリと痛むのじゃ
思い起こせば、今は亡き父上が
同じ事を常々口にし、間髪入れず
彼の国へと旅だたれたが
余はまだ死にとうない。
因みのぅ~王妃も共にじゃゆえ
・・・皆!!聞くがよい!
余はここに宣言する!!
王位を退く。後任の王は
チェ・ヨン。王妃は・・・
ユ・ウンスじゃ。これは
決定事案ゆえ異議を唱える者には
厳しく対処するゆえそう心得よ。
この案件の執行日は
翌月一日からとする。
李成桂の処罰は新王になる
チェ・ヨンに委ねるものとする」

王様はそうきっぱりと宣言され
さっさと康安殿を退席されたので
あった。
翌日一日とは後数日しか
時はないのであり
残されたヨンを始めとする
重臣らは頭を悩ませるのである。

「大、大護軍・・・どうされる
おつもりでございましょうか…
我々は常に大護軍とともに
ありますが…案件が案件だけに
どう判断致せばよいのか
某は・・・」

チュンソクが王様退室のち
駆け寄り困惑顔をさせながら
こもごもっと呟く。
これだけの案件をごり押しするには
課題が山ずみであるのだ。
果たして王族でもないヨンが
推挙されたからと言って
王となるのがあり得る話なのか
・・・。
高麗にとり何が得策なのか
ヨンは思い悩むのであった。


それから暫くのち屋敷に戻り
ウンスやウンスの両親に
事の仔細を知らせると
皆が一瞬黙りこみ驚きの声をあげる。

「それで王様は私室にこもり
誰とも会わぬと言っているの?」

「ああ…俺とさえ会わずと
拒絶されていらっしゃるのだ。
王妃様とてお会いくださらぬ」

「そう…じゃ叔母様は?」

「叔母上は、どこにもおらぬ。
気配さえ感じぬ。
王宮の外へ出たのやも知れぬ」

「そう・・・だけど
私の意見だけどね、聴いて
くれる?・・・」

ウンスはどう述べるのか
両親もヨンも固唾を呑みウンスを
見つめているのであった。

ポチっとして下されば嬉しいです


にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村