鈴蘭  67 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「貴殿!!ウンスは我が妻!
貴殿に靡く筈はなかろう。
それ以上我が子妻を愚弄するつもり
ならばこの場で斬り捨てる!」

ヨンは玉座に腰掛ける王様でさえ
ぎょっとする程鬼の形相を
していたのである。
そんな中でも一人冷静沈着である
チュンソクが今にも鬼剣を抜く
勢いでいるヨンに静かに声を
掛ける。

「大護軍・・・冷静になって
下され。王様のお腰が引けて
おりますればお願い申し上げます」

「・・・王様・・・申し訳
ありませぬ…某この方の事に
なると、見境がつかなくなる故」

「よい、気にするでない。
己の妻を妃になどもってのほかじゃ
余が大護軍の立場なら
斬首を申し渡すところじゃ。
李成桂殿、余が王になり一番に
友となりし大護軍の奥方を愚弄する
輩は余が断じて許さぬ!!
二万の軍など恐るるに足らず
受けて立つまでじゃ!
皆!よいな!」

「「「はっ!!」」」

我に返り王様に頭を垂れるヨンに
王様は口の端を上げ頷きながら
李成桂に向かいこう言って
はねつけたのであった。

「聴いての通りじゃ。
我が高麗軍がそなたが仕向ける
戦を受けるそうじゃ。
さっさと戻られよ」

「・・・」

「お待ちくださいませ、王様。
このまま李成桂殿を戻すおつもりで
ございましょうか・・・。
いっその事、戻さなければ
戦も無くなるのではございませぬか
わたくしはそう思う次第にて
方々のご意見を伺いたい」

ひとりの重臣が皆に
そう問うてはみたものの
誰も応える者はいないのである。
この重臣の正体は先日
王宮を去った
ソン・ヨンジャの従兄弟にあたる
重臣であり、その一挙手一頭足に
王様を始めするヨンを含めた
ウダルチも慎重に見極めている
最中であった。
それは他の重臣らも同じ様子で
あり、ひそひそっと頷きあい
会話を交わしている様子であった。

「ち、ちっと待ってよ!
そんな事断固反対よ!!
闇討ちみたいな卑怯な真似は
人としてどうなのかしら」

「そうじゃのぅ…侍医の言う事が
道理であるの。ゆえにこの事案は
李成桂殿に即刻退席願うが
よかろうぞ」

「さすが王様です。ありがとう
ございます、ちゃんと考えてよね
戦なんてなんの利益もうまないん
だから…。」

ウンスは王様へとお辞儀をし
李成桂に向き直り牽制して
見せるが、そこは女人からか
李成桂は「くっくっ」っと
鼻で笑いながらこう繰り出す。

「妃の話を受けて下さるならば
撤退しても構いませんが」

ヨンの眉間の皺が一層深く
刻まれ、その時には既に
指先から蒼白い雷功が漏れ始めて
いたのである。
それを目の当たりにしたウンスは
直ぐには駆け寄りその逞しい
胸元にぱふんっとおさまると
耳元でこう呟く。

「大丈夫だから…何が起きようと
私はヨンのそばを離れる事は
ないし、他の男に靡くことはない
わ。だから気を静めて…」

その瞬間蒼白い雷功がすっと
消えていた。
怒れる鬼神を静めるのは
やはり愛妻であるウンスの他には
いないのであった。

「ウダルチ!退室願え!」

「はっ!」

トクマンやチョモなどウダルチ精鋭
らに囲まれ李成桂は眉を潜めながら
腰を上げ、対面の玉座を睨み付け
ならが声を張り上げる。

「その座は必ず頂き
その折妃はすでに決めております。
後悔召されるな!」

まるで捨て台詞のように
李成桂はウダルチに囲まれ
王様の前から消えていった。

その二日後初春の心地よい風が
吹く都の外れに、チェ・ヨン
率いる高麗軍と李成桂率いる
新高麗軍が対峙していたのであった。


・・・・・

皆様こんにちは。

ようやく鈴蘭も三分の二が過ぎ
このあとはヨンが王様になるのか
二人の運命が動きだします。
最後までお付き合いくださいませ。

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