鈴蘭  38 | シンイ二次小説でんべのブログ

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ブリッジ法の体操をしていた
王妃様の顔が「うっ…」っと
歪み出し始める。どうやら
陣痛が始まったようである。

「王妃様…大丈夫です。
すぐには生まれませんから
叔母様~~何か軽い食事を
用意してくださいませんか」

産室は無菌室に保たねばならぬと
ばかりに、ウンスはお付きの女官を
別室へと待機させたのである。
無論、叔母も例外ではない。

「侍医…軽い食事とな?」

「はい、お粥でも握り飯でも
構わないのでお願いできますか
これから長丁場となりますから
お腹がすいては踏ん張りが
ききませんから。」

「すぐに支度をさせる故
待っておれ」

戸口を隔て叔母とウンスが会話を
交わす。
直に戸口を叩く音がすると
白い衣に身を包み真新しい白い布で
口元を覆った王様が手には
盆を持ち姿を見せた。
その後ろには困り顔のチェ尚宮の姿
も見える。

「まぁ…王様ですよね?
どうなされたんでしょうか」

「握り飯をと思うての…
余が握ったのじゃ・・・余の
王妃がお産と言う戦うのじゃ
何かしてやりたい、手を貸したいと
思うのが夫の務めであろう。」

贔屓目で見ても握り飯には
程遠く、手のひらでぎゅっと握った
だけのほぼ白米が器にのって
いるだけであったが。
ウンスは、しばし絶句しながら
瞳を見開きながらも、王妃様に問い
掛ける。

「・・・王様が自らでございますか
うふふっ…王妃様?お口になさって
ください。王様の愛情が
沢山入っていますから。
きっと力を与えてくださいますよ」

「・・・まぁ~なんて
不恰好な握り飯ですこと…。
ですが、王様が妾の為に水刺間
まで足を運んでくださった事
妾は嬉しゅうてなりませぬ。
ありがたく頂きます」

そう呟くと王妃様は寝台に上体を
起こし、はち切れんばかりの
お腹の上に盆を乗せありがたく
握り飯を頬張るのであった。

「王様…美味しゅうございます」

「うむ…そうであろう。
丹精込めた握り飯じゃからのぅ~
王妃、苦しいと聴いておるが
耐えるのじゃ…余がついておる故」

「はい・・・」

仲睦ましいそんな会話を交わし
王様は後ろ髪を引かれながらも
戸口を締め遠ざかる足音が
漏れ聞こえる。

「王妃様?本当に美味しい握り飯
でしょうか…私にはそうは見えない
のですが…」

「・・・味がせぬ。
なれど王様のお気持ちが
妾は嬉しゅうて嬉しゅうて・・・」

「ですよね・・・。
王様の心根はしっかり届きましたね。
さあ…休めるときには休んで
くださいね。初産は時間が
かかると言いますから体力勝負
になりますよ」

「そうさせて貰うとしよう・・・
侍医・・・そばに居てくれるので
あろう?」

「もちろんですよ。
ご安心お休みくださいませね」


時が流れ典医寺は幸いにも
患者が溢れることもなく
侍医としては戻ることがなかった
ウンス。王妃様に付きっきりで
万全の体制を整えつつあった。
王妃様と言えば陣痛の間隔が
狭くなり子宮口も全開まであと一歩
の所まできていた。

いよいよ王様が、民が、
待ち望んだ赤子がこの世に生を
受ける時が近づいていたのであった。


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