生きる意味(動きだす時)70 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています


日々の積み重ねが功を奏し
翌年春先のこと
ウンスは見事、高麗初の医女として
一年が過ぎる頃には
王宮典医寺のお役目に邁進して
いたのである。

前世の記憶は幸いにして
朧気であるが…それでもよいと
考え直した様子であり
「今を精一杯生きる」
その強い想いが忌まわしい
前世の記憶を封印していたのかも
知れない。

「知りたい」そう強く腹の底で
願っていたヨンもまた
ウンスに促され、このままで
「今を生きる」のも悪くはないと
考え始めていたのである。

天界の医術道具とまではいかないが
それなりの役目を果たす
道具も手に入り、すでに数名の
開腹手術も行っていたのであった。

元々ウンスは前世では優秀な医者で
あった為か言ってみれば
造作もないことだったのかも
知れないのだが・・・。

「いやね~侍医・・・私は
懸命に励んだのよ
天性的な素質なんてあるわけ
ないじゃない ふふふっ」

「ですがこれだけの医術を
幾度も目の当たりしては
西域で学んだわたしめも度肝を
抜かされましてございますよ」

侍医が茶化すような物言いに
涼しげに微笑むウンス。
そんな中バタバタとチュンソクが
駆け込んでくる。

「侍医!!王様がお倒れに
なられた故、はよう参られよ!」

「あ、はい!畏まりまして
ございます」

「チュンソクさん?王様のご様子は?
・・・ここが痛いとか
血を吐かれたとか、様子を教えて
何かあるでしょう?」

「は、血を大量にお吐きに
なられ それから意識もないご様子
でございます」

「血を?わかったわ
私もいって構わないかしら?
てか、行きます!
侍医?行きますよ、早くして」

ウンスの喝に押されながら
チュンソクと侍医は、取るものも
取り敢えず
王様の私室に向け駆け出すのである。

すでに私室前には
大勢の重臣らが顔を揃え
ひそひそ話をする者らで
うめつくされていたのだが。ふと耳を
傾ければ…「次の王を決めねば」
「いやいや、やはり元にお伺い
せねばならぬのではあるまいか」
等々、己の欲を面前に押し出し
ひそひそと密談する者ばかりである。

そんな重臣らを時折睨み付け
ながらもその先頭で
警護にあたるチェ・ヨン。

「・・・・!!!」

人の気配に敏感なヨンのこと
愛しいウンスの気配には
尚更敏感である。

「ウンス!?何故?」

言葉少なげに重臣らをかき分け
そばまで寄ると眉間に皺を
寄せそう問う。

「王様がお倒れになったって
チュンソクさんが・・・
これでも私は医員だから
放っておけなくて・・・」

「ふん、女人の医員などに
王様のお身体を託せると
おおもいか?退きなさい
侍医?何をぼやぼやしておるのだ
王様を助けるのだぞ」

「貴方には指図される
いわれはないわ、私は医員。
病人が目の前にいたら
全力で助ける!それだけよ
退いてちょうだい」

細腰に手をあて重臣を睨み付け
差し出されるその手を掴む。
愛しい人の瞳が不安気に揺れる。
「大丈夫」ウンスの力強い眼差しが
そう応え、ふっと一息吐くと
侍医、ウンスは王様の私室へと
姿を消していったのである。



ポチっとして下されば嬉しいです


にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村