時の雫  4 | シンイ二次小説でんべのブログ

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瞳は動いているようである。

ヨンは懸命に術を解こうと
もがきだしはじめていたが
当のウンスは唇を突きだし
瞳は閉じている。

「フォ~ホッホ…フォ~ホッホ
儂とて唇に触れるくらいよかろうに
・・・彼方の世でもこのように
別嬪はそうおらぬでの~
透き通る陶器のように滑らかな肌
艶のあるこの唇…フォ~ホッホ
・・・」

俗世ではアヒル口と言うのだろうか
時の神は唇を突きだし
ウンスに迫る。

「おぉ~~~っ!はぁ~はぁ~・・・
し・・にたい・・・か、はぁ…はぁ
・・・ウンスに触れて・・みろ
神とて容赦せぬ」

肩で息し、呂律も
まともにまわならないヨンが
雷攻を身に纏い術を解いたのである。
いまだかって時を止める術を
解かれたことのない時の神は
眼を見開き驚きを口にする。

「お、お、お主…儂の術を解いた
奴は、先にも後にもひとりじゃ
・・・そうだったのぅ~
お主は内攻使いであったわ
じゃがこれはこやつとの約定
なのじゃ、お主が死にそうだと
お主もとへちいとだけ戻してくれとな
ゆえに儂は約定を果たして
貰うだけじらゃからして
ちいともわるくはないのだからして
・・・まて、待てというに…」

一歩一歩っと近づき時の神を
鬼の相で睨み付け見下ろすヨン。
流石の神も眉がピクピク動き
身の危険を感じているようである。

「離れろ・・・俺のウンス故
誰にも渡さぬ。触れさせぬ
ど、退け~!!」

「・・・ケチ、減るもんでも
なかろうに・・・。」

ぶつくさとひとりごと呟く時の神を
退けヨンは愛しいウンスを
老いても尚逞しいその胸に囲う。

「時の神?術を解いてくれ」

「・・・ちっ!」

手をあげしぶしぶ術をとくと
ぷぅ~っと頬を膨らませ
すっとその姿を消したのである。

「ウンス?」

「・・・あら…眠っていたのかしら
なんだかすっきり目覚めた
気分なんだけど…うふふ」

「時の神が時を止めウンスに
悪さをする所であったのだ。
まったくもってけしからん
神であるな」

「あ、そういや約束してたんだ
った~、貴方が許すなら
チラ見くらい良いわよって・・」

術が解けて罰が悪そうに
ウンスが申し開きを呟くき
「ごめんなさいっ」っと
ぺこりを頭をさげるが。

「俺の為にか?
生きる屍と化してしまっていた
のだな・・・すまなかった。
ウンスを感じることさえ
忘れてしまっていた…あまりの
絶望感に、はよう迎えに来い
そればかりを願って
おったのだ・・・だが
ウンスが彼方の世からずっと
見守っていてくれているのだから
ウンスを感じ、例え残り
僅かな余生であろうと
生きる。そしてウンスの迎えを
待っておる」

「そう。必ず迎えにくるわ
だから、心配掛けないで頂戴ね
ずっと見守っているのを
忘れないで…食べて寝て
笑顔でいて…戦ばかりの世だから
笑ってばかりも居られないだろう
けど・・・」

「フォ~ホッホ、儂の出番じゃのぅ~
戻るか?あまり長居をすると
別れが切ないぞ?」

なに食わぬ顔をし
再び姿を見せる時の神・・・。
ヨンは、ウンスを背に隠し
睨み付けるのである。

「・・・そう睨むでないわ
約定したのだからして・・・
儂は悪くはないぞ
そうであろう?」

「ならぬ!それは許さぬ。
・・・されど時の神?
俺がウンスのそばにいくまで
ウンスの事を頼む。
護ってやってくれぬか・・・」

「相分かった
儂が力の限り、嫁御を護ってやる
この跳ねっ返りには
難儀するのじゃが…儂も神故
邪な心根は持ち合わせてはおらぬ
安堵いたすがよい」

「どの口が言うのかしら…
アッハハハッ~~、でも
頼もしい時の神なのよ
寂しい時や切ない時
そばにいて励ましてくれて
いたわ…ありがとう」

「フォ~ホッホ・・・照れるでは
ないか…儂は女人の涙には
弱いのじゃ、別嬪が涙する。
そんな姿は切な過ぎる・・・
しからば戻ろうかのぅ~
儂も此方に戻ると疲れてしまう
のじゃ」

「待て!ウンス?今一度」

そう呟きヨンは
ウンスと熱い抱擁を交わし
その懐かしき香りを
五臓六腑に染み込ませるので
あった・・・。
直にウンスの姿は小さな小さな
魂となり、時の神とともに
天高くのぼって行ったのである。

ヨンはそれが見えなくなるまで
見送りると、見違えるほど
前向きになり笑顔を絶やさず
ウンスを感じ、生きていったので
あった。
それから半年後の出来事で
その時がきたのである。


・・・・・
皆様おはようございます。

我が県の台風被害は
あまり感じませんでしたが
今テレビを見ていると関東の
被害が映し出されています。
堤防が決壊し、濁流が住宅街に
押し寄せ大変な被害に
心が痛みます・・・。
被害に見舞われた皆様の心に
寄り添い、何か出来ないものかと
感じております。




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