生きる意味(動きだす時)62 | シンイ二次小説でんべのブログ

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ヨンと入れ替わる形で叔母である
チェ尚宮が姿を見せたのは
市井が開く昼前頃であった。

「叔母様すみません
わざわざご足労頂いて…お手数
お掛けします」

「ウンスゃ…そのような事
気にするでない、してこちらが
父上様…母上様に間違いない
のだな」

「はい、前世のアホジ、オモニ
です。記憶もちゃんと甦り
訪ねてくれたんです」

ふんふんと頷いていたチェ尚宮が
突然膝をおり床に腰をおろし
頭を深く下げこう呟く。

「あの折、娘御を手放せず
甥を恨んでも恨み切れないことと
ご両親殿の心中をお察しし
チェ家長老としてお詫び致します
どうか甥を…お許し願いたく
お願い申し上げます」

「・・・いいんです。
お顔をおあげください
これは娘が望んだ道
あの時代を知り尽くす娘が
なんにも足りないこの時代を
選んだんですから・・・
それほど将軍のおそばが
自分の生きる意味だったんでしょう
昨夜色々話しをしたんですよ
とっても幸せな人生だったと
娘は言ってました・・・
まだはっきりと前世の記憶は
ないんだけれどって・・・
ですから、恐れ多いのですが
叔母様?恨むなんてことは
ありません。
娘の幸せが何よりの親孝行ですから」

「ありがとうございます。
嘘でもそう言って頂けたなら
肩の荷がおります・・・」

「叔母様?椅子に腰掛けて
ください。アホジ、オモニも」

チェ尚宮が膝をおったことに
両親も慌てふためき椅子から
床へと腰を降ろしていたのである

「そうじゃな、これでは
話しもできぬな」

気を取り直し椅子に腰掛ける
チェ尚宮を見届け両親も
恐れながらと椅子に腰を降ろす。

「叔母様ありがとうございます
でもあのときは私があの人のそばに
居なきゃって…それに私の意思で
したから・・・あの人と叔母様も
悪くはないんですから」

「・・・そうか?・・・
まぁよい、でじゃ養父養母の件じゃが
そなたは親元には戻れぬ身の上
であろう?そこじゃ
私が後ろ盾になったはずじゃが
その私が忙しい身であるからして
ウンスの世話をやく者が必要
なのじゃ、チェ家の遠縁から
お二人を呼び寄せたと言う形じゃ
身分もチェ家であるからして
貴族であって平民ではない
すでに亡くなっておる遠縁故
案ずることはないのだが
これは内密にせぬばならぬ
よいな…親御殿名は
チェ・ソンジュ殿とアン殿じゃ
誰に問われてもそのように
名乗って頂きたい
ようございますか?」

「・・・恐れ多いことです
チェ家の人間として残り僅かな
余生を送る事ができるとは・・・
夢のようです」

「叔母様本当に
ありがとうございます。
でも亡くなった方なんですよね
族譜にはそう記載されていて
それがばれて、あの人や叔母様に
迷惑がかかることは
ないんでしょうか?そんなことに
なるんだったら私・・・
辛いんですが・・・」

「そうです。私達の存在がご迷惑
でしたら・・・ひっそりと姿を
消した方が・・・」

今にも泣き出しそうな顔をしていた
ウンスではあったが
オモニの言葉に、顔を両手で
覆い肩を揺らし始める。

「ウンスゃ…大事ないか
お母様?そのような戯れを
申されるな…いまやウンスは
甥にとっては己の命より大事な
嫁御。故にウンスを悲しませたり
泣かせることあらば誰であろうと
甥は許しはしませぬ。
それは私も同じことですゆえ
ご理解くだされ」

「…ウンス?貴女は幸せ者なのね
こんなに大事にされて・・・
貴女があのときは、ここに、そして
旦那様のそばに戻ったその訳が
ちょっとだけ分かったような
気がするわ。
分かったわよ、ウンス…私達も
ここでお世話になることに
するわ。庭の隅をお借りし
小さな畑を耕したり、もしもよ
貴女が子を産んだなら孫の世話を
しながら生きて行くわ
だから泣かないで・・・」

そう呟くと母親はウンスの手をとり
ぽんぽんっと優しく包む。
その眼差しは、時代は違えど
親の慈しみに溢れ
叔母であるチェ尚宮でさえ
涙を隠し切れず目尻を朱色に
染めるのである。
そしてもうひとり、気配を消し
物陰に身を潜めていたヨンも
また眼を潤ませ、すっと
王宮へ向かったのである。

輪廻転生を王様は
どう理解されたか・・・。
屋敷に戻る前にヨンは王様に拝謁し
事の経緯をさらりっと伝え
王様からはしばし時が欲しいとの
返答があったのである。

隠し通すつもりはまったくない
何事も正面突破が心情のヨンの事。
王様と向き合いご理解して頂くとの
強い決意を胸に秘め、愛馬の腹を
蹴り加速を増したのであった。



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