生きる意味(模索)57 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「徳興君殿、そなたの悪行も
年貢のおさめどきにて
二度と生まれ変わる事ができぬよう
某が印籠を渡しに参った。
この地の民はそなたに玉座を
すんなり渡すとでも思うたか
例え民が許しても某がいる限り
この名に掛けそなたの悪行は
阻止する」

チン医員と娘、親族らは早々に
都を離れ残すはこの男だけ。
王宮内にある処刑場で
護軍チェ・ヨン自ら処刑に参上した
のである。
これから繰り返されるであろう
輪廻転生に、この毒使いだけは
決して存在してはならぬとの強い
望みを腹の底に秘め
手には鬼剣と呼ばれる剣を持ち
ヨンは眼を瞑る。
と、同時に剣先から蒼白い内功が
溢れ出し始める。
この毒使いの魂までも粉々に斬り刻み
前世からの因縁を絶ちきる
そんな強い想いの現れからであった。

処刑場の玉砂利の上
死に装束で地に座らされ
目隠し、猿轡を嵌められ
徳興君は身動きひとつ
取れないでいる。
「ぐぅ~ぐぅ~」っと声にならぬ声を
上げ目隠しの下に隠れている
眼は「助けてくれ」なのか
睨み付けているのか
どんな眼差しなのかは誰一人知る由も
ないのである。

「おさらば!!」

その一言で徳興君の生の糸はプツリと
途切れ、その首はごろりと転がり
二度とその眼も口も開くことは
なかったのである。

「葬って差し上げろ」

「はっ!お手を煩わせてしまい
申し訳ございませぬ
あとの始末は我々刑部が・・・」

すたすたと先を急ぐ護軍の背に
刑部の一人が声を掛ける。
されど振り返ることなく
ヨンは姿を消した。

目指す先に四阿がある
そこで愛しいウンスが待ち
その胸にぱふんっと飛び込み
うるうるっと瞳を濡らし
ヨンを見上げる。

「終わったの?」

「あぁ  終わった
あやつの為に涙を流すのか?」

「だって・・・一人の生が
終わったんだもの、そうでしょう?
嫌なお役目だったわね…クスン」

「歴史とやらを繰り返すのであろう
?前世でウンスが言っていたな
俺はウンス以外欲するものはないが
そのウンスに危害を加える奴は
例え王様とて許さぬ。
俺はそう言う男故」

「しっ、・・・こ、怖いわよ
十分不敬罪あたると思うわ
私への想いからって言うは
十分伝わるからそれ以上口にしては
だめよ」

ウンスは瞳を見開きヨンの口を
両手で覆い眼をぎゅっと瞑り
隠し辺りの気配を伺う。

「ん?大事ない、誰もおらぬ故
なれどウンスは気配がわかるまい
俺の真似か?」

「うん!ばれた?キャハハハッ
ちょっと真似でもしたら
人の気配が読めるかなって
でも私はやっぱり無理ね
でも約束よ。屋敷で二人きりなら
ともかく、王宮や誰かの気配が
するときは絶対口にしないでね」

「わかった。されど俺は本気故
誰に聴かれようが構わぬが…」

そう、ヨンはいつの世も恋慕う
ウンスを護る為には、その身体を
投げたし、内功を駆使し
愛しいウンスの気配を探し求め
駆けつける。
それを繰り返し今に至るのである
前世では、そんなウンスが
己を残し自らその命をたった・・・。
なれどその訳を深く追及することなく
今に至るのであったが。
ヨンはウンスに気とられぬよう
幾夜も寝所を抜け出し
自問自答を繰り返してきた。
「前世のウンスに何があったのか…
されども生まれ変わり今こうして
俺の隣におる・・・問うべきか
否か、もし問うて再び俺の前から
消えることがあっては俺は・・・
生きていけぬ」と。


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