生きる意味 52(模索) | シンイ二次小説でんべのブログ

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「ヨン?私、ずっと先の世で
医者だったのよね?そこで・・・」

ウンスは
医者であった事や、ウンスの世で
ヨンに出会いこの地へと拐われた事
王妃様をその見事な医術で
生き返えさせることができた事など
前世の記憶が断片的ではあったが
思い出した事をヨンに伝えている。

そして今、何故敵国である
元に生まれ育ち
医療従事者ではないのか
そんな疑問が自身の脳裏を
霞め、ぐっと押し黙るウンスであった。

そこはウンスを案じ役目を放り投げ
飛び込んできたヨンの腕の中・・・。
ふっと我に返り顔を赤らめ
辺りを見回すとヨンの腕から
するりと抜けようとするが・・・
それを許す訳もなくぎゅっと
抱きしめられる。

「ヨ、ヨンはずかしいわよ
ヨンの体面が・・・」

「構わぬ、前世であろうが
今世であろうが俺の一番は常に
ウンスゆえ、その想い
誰にも負けぬ、諦めよ」

惜しげもなくそんな言葉を
ひとまえで口にするヨンに
眼を見開くグンソク侍医。
かたや、チャン侍医は
慣れたもので前世を懐かしむ
ように、『くっくっ』っと
笑みを浮かべるのである。

「ヨン!わかったから
チャン先生に改めててご挨拶させて
ん?」

「・・・」

「チャン先生、あのときは
私の為に本当にありがとうございました
そして・・・すみません、クスン・・」

ウンスの瞳には、次から次へと
涙が頬を伝い深々と頭を下げている。
ウンスを手に入れる為
キ・チョルの命により笛男と火女が
典医寺を不意打ちに襲撃し
ウンスの解毒壺を守るように
命を落としたと…されどその亡骸を
ウンスは目にする事は
叶わなかったのである。
自分なら救えたかも知れない
ずっとそう思っていたのも事実で
あり、こうして輪廻転生が叶い
あの折の悔い、無念、そして…。

「チャン先生?私、
医員としての試験を受けます
来年春になるのかしら・・・
きっとこれも私に課せられた
定めだと思うんです、そして
手探りであのときの二の舞は
踏まないように、みんなと
協力しながらこの地を守って行きたい
そう思うんです」

ウンスの瞳には決意の表れか
メラメラと燃える炎が見え隠れする。
強い意志を持つ女人であると
チャン先生やヨンは知っている
されど、その場に居合わせた
グンソク侍医や他の医員らは
眼を見開きウンスの変わりように
驚いたのである。

それからと言うものウンスは
日々学勉に励んだ。
元で育ち漢文は苦にならずにすんだ。
自身の前世が医者であったことを
思い出した今は、小難しい
医術も『あぁ~これよ』っと
にやりと微笑みながら
こなしていったのである。

屋敷に戻れば
ヨンの書斎を借り
蝋燭の灯りの下
日付が変わるころまで
書物を読みあさり、頭に叩き込む
そんな生活をしていたが
ウンスはある事をヨンに打ち明ける。

「そのような事…大事には
ならぬのであろうか・・・俺は
ウンスが生涯俺のそばで慎ましく
なおかつ穏やかに暮らし、生を
終えるときは・・・俺の腕の中で
逝く。俺がその折がきたなら
その笑みで
迎えに来て欲しいと思っておるのだ」

書斎の机に両腕をどんっと
つき、懸命に書斎を読みふける
ウンスをまるっと覆う形で
前世では叶わなかった無念を
ヨンは口にする。

「もぅ~あたりまえよ
ひとりじゃ生きていけないもの
たとえ、あちらの世でもね」

前世の出来事をいまだ思いだせぬ
ウンスがくったくのない
笑みを浮かべ「ふふっ」っと
口角が上がると、その唇に
ヨンの唇が重なり、そこから
二人の熱い夜が始まったのである。



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