幸い風向きが西には流れず
(ヨンの屋敷の方角)延焼は免れ
そうであるが火の手から東(王宮)側は
火の勢いは
衰えることはないようである。
火消し部隊と王宮から迂達赤や
禁軍も駆け付け回りの屋敷を
取り壊し延焼を防いでいたのだ。
「よいか!!なんとしても
食い止めねばならぬ
なれど己の身が危うい折
迷わず逃げよ!わかったな!」
「「「おぉ~~~!」」」
チュンソクの激に皆が声を張り上げる
煤だらけの者もおれば
あちらこちらと火の粉がふりかかり
衣が焼けている者もいるのだ。
この辺りは重厚な屋敷街であり
取り壊すのにも一苦労の様子である
むろん井戸から水を汲み出し
盥でかけてはいるが
到底間に合ってはいなかった。
そんな中・・・
裸体をむき出しにしたヨンが
姿を見せる。
その背には何かをくくりつけている
濡れた衣を頭から被いつくし
足元まですっぽりくるんでいるのだ。
「て、大護軍!!奥方様は?」
「・・・」
くぃっと顎をあげ
己の背を示していた。
「へっ?」
「余計な口は控えろ…煤を吸い込むぞ」
こくこくと頷くチュンソクである。
「よいか!なんとしても食い止める
屋敷を取り壊すのだ!!」
幾人もの裸の男衆が「いくぞ~」の
掛け声でヨンの激に応える。
火の手から向こう三軒両隣の屋敷が
取り壊されたのはそれから
四半刻ほど後のことであった。
「ふぅ~・・・大護軍?はやっ!」
トクマンが鎮火にともない
上官であるヨンに姿を探すと
遥か向こうを何かを背負い
それでも恥じることなく
堂々と闊歩するヨンの姿を捉えた
のであった。
ポチっとして下されば嬉しいです
↓
にほんブログ村