あなたを探して 34 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「ふぅ…余は王族ぞ
そなたの一存でどうにかできるほど
世は甘くはないと思うがな」

徳興君はそう呟く。
ヨンの雷功で飛ばされた折
歯が折れたのか前歯がない・・・。
それでもそれらしく
振る舞うその姿にテマンは
笑いを堪えるのに必死の様子だ。

「王を呼ばぬか…元の断事官が
呼んでおると伝えれば
否が応でも駆けつけねばならぬのが
筋…そうであろう」

「・・・」

「そうじゃ王を呼べ!」

「往生際が悪い・・・
お主らが呼び立てできる
お方ではない!恐れ多くもこの地を
安泰に導いて下された王様であり
王族でありながら己の保身に生き
力あるものに取り入る徳興君殿とは
雲泥の差である。…せめてもの情け
念仏を唱える間を与えても構わぬが?」

「黙れ!黙らぬか!誰か…誰か
おらぬか!」

徳興君が張り上げ辺りを見回した
ところで誰ひとり加勢する者は
いなかった。
ひとりふたりと迂達赤が
増えるだけである。

「ふぅ~・・・市井は静けさを
取り戻したようだ…俺が
鍛えあげた仲間、大事な俺の家族
お前らのような雑魚とは比べものに
なるはずがない」

「そうだ!あんな奴ら俺達
迂達赤に敵う筈がないんだからな
地獄の鍛練をなめるなよ!」

トクマンは語尾を強め声を張り上げ
じりじりと間合いを詰める。
実際のところ、少々苦戦したのだが
それは決して口に出すまいと
黙りを決め込むのである。

「トクマン?!苦戦したので
あろう…顔に書いておるぞ」
兵舎に戻り鍛練を
しなおさなければな…くっくっ」

「いえ・・・あのですね・・・」

「まぁよい…徳興君には
手出し無用。俺が冥土に送らねば
長年の因縁がたちきられぬ故・・・
されど…丸腰の相手を斬るのは
鬼剣が不憫である…」

ヨンはそう言うと
小刀を徳興君の足元へ放りなげる。
徳興君に向かい
顎をくいっとあげると
「くっそ!」眉をしかめそれを
拾い鞘を放り投げた。
だが…淡い期待はすぐさま
絶望へと変わるのであった。
鬼剣が容赦なく小刀を叩き落とし
額から顎の辺りまで一気に
通り過ぎた。
「ぐっ…」と声をあげると
血吹雪がヨンの衣に飛び
徳興君は膝から崩れ落ち己の血で
汚された地面に横たわる。

呆気ない最期であった。
毒を指環に忍ばせウンスの生死を
操り、現王の従兄弟と言う立場を
利用しその座を欲した
哀れな男の最期であった。

「ソン・ユ?そなたは王様に罰して
もわらなければならぬ故
ご同行願う・・・
従うつもりがないのであれば
この場にて斬り捨てる」

「・・・」

「トクマン!縄を打て」

「はっ!」

ソン・ユは連行されていく
その後ろ姿は何か策があるのか
やけに余裕が感じられた・・・。
その時であるソン・ユの指にきらりと
光る指環に気がついたヨン
『ん?あの指環・・・』

「トクマン!離れろ!」

「へっ?・・・」

振り返る間もなくトクマンの膝が
崩れ落ち、ヨンとテマンが
声を張り上げた

「「トクマン!!」」



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