もうひとつの木春菊 31 | シンイ二次小説でんべのブログ

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月日が流れ・・・

そこにはウンスの両親の姿は
なかった・・・。
チュンソクも叔母様も
一足先に姿を消して
いたのである・・・。

「順番に行っちゃうのね・・・覚悟は
出来ていたつもりでも
なんだか寂しくなってきたわ」

「俺がおっても寂しいと?」

「ううん…一人減り二人減り
いまじゃチョンスもいないし
部屋ががら空きだから・・・。
ソマンとスンジャもチュンソクさんが
姿を消してから片時も離れないのよ
ソマンはスンジャが姿を消して
しまいそうで怖いのよ」

「そうであろうな…されど
ソマンはスンジャを見つける
つもりはあるのであろう?」

「「みつける~すんじゃ~」って
この前叫んでいたわよ
ほら、チュンソクさんが消えた
夜に・・・」

そう呟くヨンやウンスだったが
二人もまた片時も離れられないので
あった。
床に入るのはもちろんの事
湯浴、挙げ句の果てには厠まで
ともにっと言い出す有り様。
それはさすがにウンスが丁重に
お断りし戸口の外で待ってもらって
いるのだが・・・。
いまもウンスを片膝に乗せ背後から
ぎゅっと抱きしめているのである。

必ずや探しだしっと
強い想いはいまも変わりは
ないのだが、互いに不安で
仕方がないのであろうと思われる。

「あ!この頃ヒヨンが夜更けに
屋敷を抜け出しているみたい
なんだけど…どこに行っているか
ヨン?知らないかしら」

「気配は感じていたが
ソマンのように幼子でもあるまい?
問うのも如何なものかと
思うておったのだ」

「そうよね~・・・イルムとサンミが
一度あとをつけたらしいのよ
でもすぐに感づかれてしまったようで
まかれたらしいわ」

「ヒヨンは内功使い故
あとをつけたとてすぐに悟られて
しまうのだろうな・・・」

「ヨンなら悟られなくて
あとをつけることができるのよね
気配を消すとか・・・?」

「それはならぬ!ウンスのそばから
離れる訳にはいまはできぬ」

う~~んっと首を捻り
どうしたものかと考え込むウンス。
何か妙案が浮かんだので
あろうか急にヨンの膝から
飛び降りるとヨンの手を取り
駆け出すのである。

「如何した?」

「うじうじ悩んでも仕方がないじゃ
ない!貴方が正面突破すれば
いいのよ!違う?
チェ家の主なんだしあの子らの父親は
貴方なんだから」

「・・・相分かった
ヒヨンの尊厳を大事にして
やりたかったが・・・」

二人は広い屋敷を駆け
ヒヨンに与えた一室の前で
脚を止めた。

「ヒヨン?入るぞ!」

「ち、ちちうえ!ははうえ!・・・」

つぶらな瞳を見開き驚くヒヨン
それ以上にヨンとウンスが
驚いたのである。
そこには幼い姿のヒヨンが
いたのだから・・・。

「ど、どう言うこと?」

「ウンス!」

腰を抜かしたのか
へなへなに座り込みそうになる
ウンスをヨンが抱きとめていた。

「ヒヨン!訳を言ってみよ」

「・・・」

「ヒヨン!」

『父上・・・おれも抱きしめて
欲しいと思って・・・それに
もうじき別れがくるのでしょう?
兄上みたいに甘えてみたく
黄泉の国の地神に毎夜お願いに
あがっておりました』

「はぁ~ヒヨン・・・」

読功の使い手である二人は
腹の底を読んでいたのである。

「え?どう言うこと貴方教えてよ」

ヨンは太い息を吐くと幼い
ヒヨンを抱き上げウンスの腕の中へ
すっぽり収める・・・。
そして事の成り行きをウンスに
話して聴かせていたのである。

「ごめん、ヒヨン・・・
寂しい想いをさせていたのね」

「ははうえ~・・・わぁ~んヒックヒック」

「ばかね~ヒヨン・・・」

そう呟くとウンスはぎゅっと
抱きしめ小さな額にチュッと唇を
落としていたのである。

その時・・・小さな足音がふたつ。

「ひよん~~どうした~?わあ~」

「あにうえ~~」

幼子の泣き声に驚いたのであろうか
ソマンがスンジャと手を繋ぎ
ぺちゃぺちゃっと駆けてきたのである
ソマンの姿を目にしたソマンは
口をあんぐり開け
驚いていたのだった。

されどソマンはすぐに事の成り行きを
悟ったようである。
床に下ろされたヒヨンのそばまで
行くと小さな頭をぽんぽんっと
優しく撫でる。

「二人も幼子になって・・・
でも・・・」

こんな幼子を置いて行く時が
訪れるなんて・・・そうウンスは
思ったのであろうか・・・
だがその言葉はぐっと飲み込んだので
あった。


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