もうひとつの木春菊 30 | シンイ二次小説でんべのブログ

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訳を耳にしヨンとウンスは
慌てふためき屋敷へと
戻ってきたのであった
それはチュホンが息切れするほど
である。
ウンスの腕の中にはソマンがしっかり
抱かれその背からヨンが
覆い被さる形で落ちないように庇い
チュホンの横腹を蹴り駆けてきたのだ。
ヒヨンは一歩遅れソマンの愛馬スンに
跨がりチュホンの後を追うのであった。

「父上!母上!」

「ヨンや間に合ったか・・・」

そう・・・二親の輪廻転生が
始まろうとしていたのである。
卓に腰をおろす二親の下半身が
透けて見えていた・・・。
黄泉の国にたどり着き漸く
再会できた母親も同じく
下半身が透けて見える・・・。

「ヨン?・・・ウンス?・・・
そんな顔をするな
いつの世であっても
父は母を必ず探してみせる。
そして必ずやお前を生ませる
その折はこの父と母の子でよい
であろう?」

「無論でございます!俺が親と
お呼びするのはお二人のみ
父上?必ずや母上を探しだし
俺を・・・俺をお頼みします」

「ああ・・・約束する。
ウンスやヨンを頼んだぞ
いつかお前達にもしばしの別れが
来よう・・・なれどわしは
信じておるのだ、こやつも必ずや
ウンスを探しだすであろうとな」

「お父様…お母様・・・
ありがとうございます
信じています。お父様がお母様を
探しだしこの人を生んで下さる事を
・・・クスン・・・」

「兄上様?…生まれ変わる事が
叶いましたなら兄上の妹で
お頼みします・・・」

「じじぃ~~!」「お祖父様!」

その声に送られ
ヨンの父元直、母親はとても穏やかな
お顔を残し姿を消したのであった。
覚悟は出来ていた…されど
こんな突然それが始まるとは
思いもよらず心に大きな穴がぽっかり
空いてしまったような悲しい
気持ちをその場に居合わせた
誰もが思ったに違いない・・・。



それから夕刻まで
誰も口を開くことはなかった。

「・・・お通夜じゃないのよ
輪廻転生はいつ誰に
起きるか分からないんだから
ちゃんと話あわなきゃ」

「・・・ああ、そうだな
俺はウンスを探しだす。
どんな世であろうが約束する」

「ええ…信じているわ
武士の約束は命がけよ
必ず見つけてね・・・戦の世でも
構わないし、例え時代が
違うなら、また天門を探しだし
何度でも潜る覚悟はあるわ
そしてソマンやヒヨンを必ず身籠る
私も約束するわ」

「かか~~~」

「母上?お頼みします
おれも兄上も何度でも父上と母上の子に
生まれとう存じます。
その為には父上?母上を探して
くださいませ」

「ああ、案ずることはない
父と母上は魂の片割れ
互いに呼び合う定めなのだ
これは未来永劫続く…下界で婚儀を
挙げた折、御住職にそのような
契りを結んでもらっておる」

しばしの別れであろうが
別れは辛いもの。
翌朝眠りから覚めたら
愛しい人は姿を消しているかも
知れないのである。
一目も憚らずヨン、ウンス
ソマン、ヒヨンはしっかりと
肩を抱き合っていたのであった。

「・・・ゴッホン・・ウンス?
肝心な事を忘れてないか?
ウンスは誰が親でも良いのか」

「え?・・・そんなことないわ
アボジ、オモニが親にいいに
決まってるじゃない」

「そうよねウンス?私もウンスが
娘じゃなきゃ困るわ
我が儘で曲がったことが大嫌いな
私のウンス・・・安心しなさい」

ヨンの眉がぴくぴく上下する中
ウンスの両親もまたウンスを
その胸に抱くのである。
その脚の間にはソマンがてくてく
歩みより、ヒヨンもまた
そのあとに続くのであった。

「ヨン君?わしらは家族だ
早く来なさい」

「・・・」

その言葉に安堵したのか
照れながらもヨンもその輪に加わって
いたのだが・・・然り気無く
ウンスを奪い返し、己の胸の中へと
収めていたのは言うまでもない。

「あ!今度は拐っちゃ許さないわよ」

ウンスの母親にちゃっかり
釘をさされてしまったのだが・・・。

「・・・必ずやご挨拶に伺わせて
頂きとう存じます」

照れながら真っ直ぐ
父親、母親を見据えヨンは
曇りのない眼でそう言いきっていた。

チュンソク、サム夫婦
トクマン、アル夫婦
テマン、ヘジン夫婦・・・そして
サンミ、イルム。チョンス、エギョン
夫婦に至るまで輪廻転生が叶うなら
再び巡り会いたいと固く
心に誓っていたのであった。


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