もうひとつの木春菊 22 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「お母様…土産はどう致しましょう?
娘は、小さい頃から食べ物には
うるさくて…いえ贅沢などは
言わないんですけど・・・食べ過ぎで
お腹を壊すわよってよく注意していたん
ですよ…」

「ウンスは下界ではよく饅頭を
好んで食しておりましたが
あぁ~スリバンっと言いまして
高麗いちの情報屋なんですが
その女将が作るクッパが
世の中でいちばんうまいと
よく申しておりましたが・・・」

「まぁ~、叔母様?
ありがとうございます・・・親と
しては複雑でございますが・・・
ふふ・・・」

地元である地から少し離れた
ここは己の意思で
その生を終えた者らが集う空間である。
その愚かな行いを悔い
懺悔を重ねたならかここから
解放されるのである。

その中に見覚えのある後ろ姿が
二人・・・叔母は身構える。

「王様、王妃様・・・またいらして
おられたのでございますか?」

「おぉ~チェ尚宮ではないか!
おや…こちらの御仁は何方であろうか」

「はい…こちらはウンスの
親御にて・・・」

叔母は事の仔細をこと細かく
話して聴かせると・・・。

「な、なんと!!義姉上様の・・・」

「余らが下界におった折、王妃の
命を助けてくださったのだ・・・。
その為に親御殿には辛い想いを
させておった筈じゃ、すべて
命を下した余が責めを負わねば
ならぬ・・・この通りじゃ
許してくれぬか・・・」

今二人こうして黄泉の国で暮らせる
のもあの折、王妃の命を救って
くれたウンスがおればこそなのだ
その感謝を忘れたことは一度もない。
王様、王妃様は深々とウンスの両親に
向かい一礼するのである。

「お、おやめください
私達はすべて水に流しましたから
どうぞ頭をおあげになってください
娘ウンスが愛する者と結ばれ
子どもが生まれ
高麗の地で生涯を終えたのは
きっと神の思し召しなんだと思います
抗うことなどできなかったんでしょう
でも…親としては正直夜も眠れず
ずいぶん心配いたしましたが
もう済んでしまったことです
私達もこうしてこの地で
再会できましたから孫もこの手に
抱くことが出来ましたし・・・」

「・・・そう言って頂けると
救われる・・・」

「母さんの言う通りです
私らの方が恐縮しています
歴史に名を残す婿といつまでも
仲睦ましく暮らしていたと・・・
そしてほんとうによい仲間に
恵まれていたんだと知りました
こちらの方こそ感謝しております
娘のお守りは大変でしたでしょう?」

「・・・それはたしかに・・・」

「娘は一本気なところがありますから
・・・母さん譲りなんですがね」

「もぅ~、それって褒めてるの?
貶してるの?」

そう言ってウンスの母はぷぅ~っと
頬を膨らませそっぽをむく
そんな仕草にやはりよく似ていると
皆が「あっははは」っと声をあげ
笑みを浮かべている中・・・。

「また来てくれたのか?・・・」

「 おぉ~慶昌君殿、当たり前であろう
迎えに参ったのじゃが
そろそろ祓(みそぎ)はすむのであろう?
余と王妃と暮らそうではないか」

「・・・」

「慶昌君媽媽・・・チェ・ヨン殿と
医仙殿の屋敷も近場にございますれば
いつでも参ることが叶います
王様もとてもご心配しておりますれば
心をお決めくださりませ」

「会いたいな・・・」


一方こちらでは・・・


両親らが屋敷をあけてから
二日が過ぎたのだが
いまだ閨に籠ったままである。
日に二度と膳を運ばせ
日暮れ頃には湯に浸かり
上がれば閨に籠る
そんな毎日を過ごしていたのだ
幼い姿のソマンが母を
恋しがり泣き出すと、ヒヨンや
エギョン、サンミ、イルムが
なだめあやしていたのである。

「もぅ~~眠らせて・・・ほら
またソマンが泣いているから
ね?お願いよ」

「・・・俺はまだ足りぬが・・・
まったく…ソマンには勝てぬな
ソマンを連れて参れ!」

ヨンはそう声を張り上げると
エギョンが申し訳なさそうに
ソマンの手を引き戸口の前で
声をかける。

「旦那様…申し訳ございません
私どもの手に負えませんもので」

「良いのよ、エギョン・・・
迷惑かけてごめんなさいね
さぁ~おいでソマン?」

「かか~~・・・わぁ~ん~~
とと!めっ!!」

戸口まで二人並んで迎えに
でたウンスに抱かれると
その肩に顎をのせ、涙に眼を潤ませ
父ヨンをぎろりっと睨んでいたので
あった。
下界ではハイハイができるように
なるまでは匍匐前進でそのあとを
追っていた程の甘えん坊であり
母ウンスが大好きなのである。

「ふぅ~すまぬな・・・」

我が子に睨まれヨンは苦笑いを
浮かべながら後頭部を擦って
いたのである。



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