「じじ?ばば?あ!おばばっ」
「もぅ~ソマンったら…すみません
お父様、お母様、叔母様・・・」
「ウンス、よいのじゃ・・
母さん?夢が叶ったのぅ~、わしらの
孫じゃ・・・ヨンの嫡男がここに
こうしておるのじゃ
ほれ…ソマン?このじじが抱きしめて
しんぜよう」
屋敷へと戻った初対面のソマンに
対し、ヨンの父元直は目元を緩め
己の膝をぽんぽんっと叩く。
ヨンに抱かれたソマンは
床にゆるりと下ろされてくてくと
歩みを進める。
生のあるうちはたくさんの人と
触れ合ったお陰か人見知りを
することはないソマン。
嬉しそうに両腕をあげ抱っこを
せがむ。
「お~、愛らしいのぅ~
いくつになるのじゃ?」
「父上…定かではありませぬが
二歳ほどかと思われます
そうであろうウンス?」
「そうね・・・ちゃんと歩けているし
おしめもしていないようだし
とと、かかと私らを呼んでいたのは
確か書堂に通い始める前までだった
筈だから…ソマン幾つになったの?」
祖父元直の膝の上でソマンは
人差し指と中指をよいしょ
よいしょと立て、元直にみせていた。
「おお~~、ソマンは二歳に
なるのじゃな・・・賢い孫じゃ
じじもばばもソマンに会えて
嬉しく思うぞ」
「そうですともソマンや
このばばにも抱かせておくれ」
ソマンはこくりと頷く
元直の膝からひょいと降りると
隣に腰かけるヨンの母の前で
両腕を差し出す。
「ふふ…なんと愛らしい
人見知りもせずの・・・そなたが
ヨンの子なのだな~、このばばは
ソマンの父には悲しく寂しい
お想いさせた・・・ばばが身体が
弱くてのぅ~・・・その分
ソマンにすべてを注ぐとしよう
良いであろう?ヨンァ」
「母上・・・」
「ばば・・」ソマンはそう呟くと
小さな手をばばの頬に押しあて
ぺちゃぺちゃと叩くと・・・。
「ばばぁ~なかないの・・・」
「・・・おぅ~そうじゃのぅ~
ばばに泣くなとか?賢い子じゃ」
「おばばぁ~!」
ソマンがぎゅっと抱き締められ
苦しくなったのか叔母に助けを
求め手を伸ばしていた。
「姉上様…ソマンが苦しいと
申しておるようです…
ソマン久しいのぅ~おばばじゃ
みなもおるぞ、ソマンの姿を
見せてやっておくれ」
叔母はそう呟くと
ソマンが天寿を全うし
黄泉の国へ到着したと知らせを
受けた懐かしい顔ぶれが
屋敷中庭でソマンが顔を見せて
くれるのをいまかいまかと
待っていたのである。
叔母と大好きな母であるウンスに
手を引かれその背にはヨンも付き添う。
「「若様!」」
いの一番に声をあげたのは
イルム、サンミであった。
下界では長年子守りをし
典医寺へ付き添いもしていたのだ。
イルムとサンミが黄泉の国へと
たどり着いた折りには
残してきたソマン、ヒヨンを心底
案じていたものであった。
二人も若かりし頃の姿であったが
ソマンはすぐにその声の方角を
見つめる。
「きゃはははっ…いるむ~さんみ~」
ソマンは満面の笑みを浮かべ
二人の足元にてくてくと駆け寄る。
「若様?覚えておいでで
くださいましたか?サンミでございます
嬉しゅうございます」
「んだ!~(そうだ)イルムも覚えて
いてくれただか?」
こくりこくりと頷くと
次にチュンソク、サム夫婦を目に留める
そして二人の元へ歩を進めると
深く深く頭を垂れるのである。
ここに集う皆には
生前の記憶がしっかり刻まれている
姿は幼いソマンであっても
それは例外ではないと思われ
皆が思うに残してきたスンジャを
おもい詫びを入れていたのだろうと。
「ソマン殿、頭をおあげくだされ
スンジャも満足しておりましょう」
「そうですよソマン様
あの子はきっと幸せだったはず
ですからお気になさらず
あの子の到着を気長に待ちましょう」
「あい・・・すんじゃあいたい・・」
ソマンがぽつりと呟く一言に
その場にいた皆の目の縁が赤く
染まるのであった・・・。
ポチっとして下されば嬉しいです
↓(ほんとうに少しずつしか進みません
が飽きないで下さいませ)
にほんブログ村