「そう・・・おめでとうテマン君
良かったわね…え?もしかしたら
迂達赤に入っちゃうの?」
「いえ…俺は生涯大護軍の私兵で
・・・・」
その日の昼下がりテマンは
兵舎から典医寺に戻り宣仁殿での
経緯をウンスに伝える。
「あ~、良かった・・邸から出て行き
邸を構えるのかと思ったから
・・・でもテマン君の為には
そっちのほうがいいのよね・・・
ほんとにいいの?」
「王様は俺が嫁をもらい子が
生まれたらその時にと
言って下さいました」
「まぁ~そうなのね・・・その時が
来たらきっとあの人が力を貸して
くれるから心配しないで良いと思うわ
もちろん私も!」
「ぬ、ぬな…ありがとうございます
その時まで一緒に居てくれますよね」
「あたりまえじゃない?例えその時が
明日になろうとその先もずっと姉弟
でいるつもりよ!」
テマンはその言葉に
心底安心したように笑みを浮かべると
典医寺の前にある一本の木によじ登り
きりりと前を見据える。
「テマンさんも貴族様か~・・・
私の身分では振り向かれるなんて
あり得ないのよね・・・」
「あら、ネネさん?テマン君
御執心かしら」
「え??・・・やめてくださいまし
ウンス先生・・・」
ネネは真っ赤に頬を染め
もじもじと俯く・・・
「うふふ…かわいいんだから
テマン君は結構男気あるのよ
あの人の背中を長いこと見ている
せいかしら…似てくるのよ・・
さあみんなお役目にもどりましょう」
一方兵舎では・・・
「トクマン?あの寝衣は
お前の入れ知恵か?」
「は、はい・・・トルベが一度女人に
買うと言って嫌がる俺を無理やり
付き合わせたことがあったんで・・」
「・・・まったく・・・トルベ奴
なれど・・・みなの婚儀の折
俺から迂達赤に贈るとしよう」
「へっ?ほんとうですか?
あの寝衣を俺らに・・・
大護軍?余程お気に入り
だったんですか?
いや~楽しみがふえました。
ずっと先のことなんでしょうけど
楽しみに待っています」
「ゴッホン・・・トクマン!余計な事は
触れずともよい…なれど・・・
折に触れ使わせてもらう」
テマンが典医寺へ戻り今頃ウンスに
伝えておるであろう頃
ヨンはトクマンらの婚儀の折は
あの寝衣をそれぞれに贈ることを
決めていた。なれど・・・
相手を見つけるのはずっと先の
事であろうとヨンは知っていたのかも
知れない。
次回最終話となります
私ごとですが仕事し出し
いい加減な事ばかり書いていたような
気がします・・・最終話はじっくり
取り組みたいと思いますので
明日はお休みします。
明後日お会いできると思いますので
お寄り下されば幸いです。