愛しき薫りを求めて(過程) 21 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「致し方あるまい
そなたらに託すとしよう…なれど
わかっておろうがウンスの身に
万が一あらばそなたらの首・・・」

「恐れながら!みなまで
口にしなくても十分わかっております
侍医様であるウンス様、手違いなどと
すまされないことくらい・・・
無知な私ら姉妹でも骨身に染みて
おります」

ナナミの強い意志がその瞳に表され
王宮尚宮の立場にあるチェ尚宮の
言葉を遮ると言う
無礼なことではあったのだが
それを咎める者はとうのチェ尚宮含め
誰もいなかったのである。

「ならば頼めるか?」

「はい、チェ尚宮様・・・では
おのこの医員の方は席を外して
ください。そしてグァンスさんは
後方で指示を出してください。
トギさん手を貸してください
チェ尚宮様は侍医様の手をお握りに
なり呼び掛けてください
オル、ソウ針の準備をして
ナナミ姉さんは脚元を私は首筋を
受け持ちますから」

次女イルムがてきぱきと指示を出す。

「しばし待って、おれすぐに戻る故」

針の支度をする間、叔母は
ヨンが戻れば届けようと
支度をしていた婚書を取りに
武閣氏の宿舎へと踵を返す。

直に叔母が戻ってくる
その手には婚書とウンス付き女官で
あるネネ、オモ、マルの手には
いつの間に用意していたのだろうか
ウンスの婚儀に纏わせるつもりで
誂えたのか、白いウォンサンが
ふわりとのせられている。

「ウンス?目覚めよ…あやつが
戻れば私が届けようと支度をしていた
婚書とあやつの母の肩形見のウォルサン
じゃこれを纏わせるつもりでおる故
・・・ウンス・・・戻ってまいれ」

叔母の肩は小刻みに揺れ
それでも懸命にウンスを呼び戻そうと
声をかけ続けている。
グァンスの指示に従い
ナナミとイルムは慎重に
針を打ち続ける。

「う~ん・・・」

「ウンス!!」「「ウンス先生!」」

見守る叔母の声に釣られ
武閣氏からも声がかかる。

「んっ?・・・そなたら侍医をウンス
先生と呼んでおるのか?」

「「「・・・」」」

「これ!チェ尚宮・・」

「お、王妃様…それに王様まで
お越しとは・・・」

流石の叔母でもウンスの事に
神経を注ぎ王様と王妃様の気配に
気づくのが遅れたようである。
みなは手を止め王様にひれ伏す
勢いで頭を垂れる。

「よい、続けよ…手を止めてはならぬ
王妃に聴いたのだ侍医の目が覚めぬと
だがよい知らせを持って参った
高麗軍が都入りしあと四半刻もすれば
王宮入りするはずとな」

「姉上様は戻らぬ護軍を案じ
夢の中をさ迷っておられるはずじゃ
護軍が戻りさえすれば
きっと目が覚めましょう・・・
チェ尚宮…皆が姉上様を慕い
ウンス先生と呼ぶのもよいではないか
妾が許す、王様も
ようございましょう?姉上様も妾も
ひとりなのです・・・そんな姉上様の
輪が広がることを妾は切に願って
おります・・・」

王妃様はウンスの真似をし
小さな顔の前で両手を合わせ
懇願の眼差しで王様を見つめる。

「・・・王妃・・・」

「はい・・王様・・・」

「そのような愛らしい仕草・・・
余はこの胸がうるさいほど高鳴って
おる・・・ゴニョゴニョ」

王様が王妃の耳元で何かを伝えると
王妃のその頬が桜色に染まり
恥ずかしそうに俯かれる。

「ウンス先生…よいではないか
されど公の場では侍医と呼ぶのだぞ
それが約束できるなら余は
目を瞑ることにする」

「王様…ありがたきお言葉
この者らの代わりに御礼申し上げます
・・・王様…高麗軍はなにゆえ
遅れておりましたのでございましょう」

「大護軍が風邪をこじらせ
臥せっておったようじゃ・・指揮官
である大護軍を残し帰還するのを
護軍は拒み、護軍が宿に残るならと
迂達赤始め禁軍兵士も行動をともに
すると言い張り帰還が遅れたそうじゃ
今ごろ侍・・・ウンス先生が
目覚めぬとスリバンより知らせが
届き血相を変え馬を走らせておる筈
じゃ」


そんな時・・・

どさどさとわざと足音響かせ
ウンスの私室に繋がる階段を
駆けおりる脚音がする。
ヨンを筆頭にウンスの身を案じた
チュンソク始め迂達赤が顔を見せる。

「ウンス!!…チュンソク!
そこを動くでない!」

ウンスの周りを取り囲む
使用人そしてトギ、武閣氏の姿を
目にしたヨンは声を張り上げた。

「はっ!・・・・どすっ」

「痛っ!チュンソク護軍~急に
止まらないでくださいよ、鼻が
潰れますから」

ヨンの大声にすぐさま反応し
チュンソクはぴたりとその場に
脚を止める。

慌てふためきチュンソクの背に
ぴたりと張り付きついてきた
トクマンはその後頭部に鼻をぶつけ
その音が派手に響いていた程だ。

「王様!」

「よい!立ち上がり侍医のそばに
ついておれ、よう戻って参った
訳を耳にしそなたらしいと思うたぞ」

「はっ…王様、王妃様にまで
お越し頂き誠に忝なく
御礼申し上げます」

王様の姿を目の端に捉えたヨンは
片膝を付き頭を垂れていたが
王様に促され立ち上がり
御礼の言葉を述べていた。

「みな!席をはずそうではないか
護軍が戻って参ったのじゃ
侍医も必ずや目覚めよう…そう
思わぬか?護軍、今宵はもう邸に
戻るがよい仔細は明日受ける故」

「はっ!」

王様を始め皆が姿を消すと
ナナミとイルムがいつの間にやら
針を抜いていたウンスを抱き締める。

「ウンス?起きよ
遅くなった・・・すまぬ
案じてくれていたのだな…
スリバンのチャミが知らせてくれた
のだ…ウンス?おきてくれ・・・
ウンスは寝溜めはできぬであろうが」

「う~ん・・・」

「ウンス!!俺はここにおる
起きよ!」

ヨンはウンスの唇に己の唇を
合わせそっと口つけを落とす・・
始めは優しく何度も繰り返し
幾日も触れてはいないその唇を
貪るように舌でウンスの唇を
こじ開け舌を滑り込ませ
ウンスの舌を誘い出す・・・
無意識であろうが
ウンスもそれに応えるように
舌を絡ませ、待ちわびたヨンを
求めていた・・・

「んっ?ウンス?」

ヨンは一度顔をあげウンスを
見つめると再びそれを繰り返す。
何度も繰り返すと「ぽんっぽんっ」
っと、肩を叩かれウンスの瞳が開かれ
意識が浮上する。

「はぁ~、はぁ~死ぬかと思った・・
へっ?ヨン?ヨンなの?」

「ああ…俺だ・・・遅れてすまぬ」

「クスンッ・・・ヨ~~~~ン」

ウンスはヨンに抱きつき幼子のように
大声をあげ泣き続けていだ
ヨンはそんなウンスの背を擦り続ける。
私室の扉の外ではその声を耳にし
叔母や使用人は胸を撫で下ろしていた。
そして急ぎ邸に戻り湯浴の支度と
夕餉の支度を命じる。

『まったく…戯け夫婦じゃ・・・
みなに心配させおって・・・』

そう腹のそこで呟く叔母の目尻も
知らず知らずに緩んでいるのだった。


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