木春菊  [託す] 61 | シンイ二次小説でんべのブログ

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ヨン、チュンソク、トクマン、
テマンが我に戻ると…亡骸の一つも
転がっていない・・・きれいに
片付けられ血糊も見つからない。

きょろきょろと辺りを見回す
トクマンとテマン・・・

「なんだったんだ・・・テマン
わかるか?俺に教えてくれ!」

「俺の方が学ないんだ。分かる訳
ねぇ~よ。でもみんな確かに
此処にいた。あれは夢、幻じゃない」

「そうだよな。トルベにチュソク
侍医もいた。俺…トルベに尻を蹴られ
たけど、ちっとも痛くなかった
上護軍…これはいったい・・・」

「俺にも分からぬ。されどあ奴らは
存在した…これを見てみろ。」

ヨンが顎でそれを教えると
トクマンが拾う。長髪で縮れのない
髪の毛があちらこちらに落ちている
ヨンは髷は結ってはいないが
長髪の部類ではない。
チュンソク、トクマンなどは髷を
いまだに結っているのである。
テマンなどは縮れ毛である

「チャン侍医か、チュソクですね。」

「上護軍。兎にも角にも急ぎ
屋敷へ戻らねば…あ奴が屋敷は知って
おると・・・」

「相分かった・・・戻るぞ!」


ソウが助けだした領主と妻子
使用人はチェ家に向かいがむしゃらに
駆けていた。

「はぁ~はぁ~。もう少し・・・
奥や大事ないか?」

「は、は、はい・・・駆けることなど
幼き頃より一度もなく・・・はぁ~
はぁ~・・・」

追っ手が来ないか一番後方を駆ける
ソウが異様な靄を目にすると
同時に、屋敷の回りを囲む
黒ずくめの集団を見つけた。

「待って!行っては駄目!」

「ソウさん何故です?」

「刺客がごまんといる・・兎に角
隠れる場所を探さないと」

辺りを見回すとチェ家の納屋が
あった。

「はやく!…こちらへお隠れになって
ください!」

狭く暗い納屋ではあるが幸いな事に
刺客の目には、止まらぬとソウは
踏んだ!大木が納屋の回りを
囲んでいたからである。

『例え武閣氏に籍をおいていたと
しても…退いて随分たつはず・・
加勢しなければ・・・。』

ソウがそう思い顔をあげると
遠くから蹄の音が聴こえてくる。

「ん?あれは…はぁ~みなさん
ご無事でようございました・・・」

「ソウ…そこにいろ領主を守れ!」

すれ違い様に、ヨンの声が聴こえ
流れて行った。


チェ家屋敷門前に再び靄がうっすらと
張り巡らされている。
その中で刺客とイルムとアル、ヘジン
が、剣を交えていた。
こちらは二十名程のようである。

「おなごが洒落た真似を!大人しく
していれば、死なずにすんだものを」

「へっ!それはこっちが言うのよ!
黙って去れば
命はだけは、助けてやったのに
覚悟しなさい!」

アルが威勢のいい啖呵をきる。
「キ~ン」っと剣が交わり睨み合いを
するなかイルムが刺客の背に回り
ばさりと斬り捨てる。

「ひ、卑怯な真似を・・・」

「ふん!卑劣極まりないのは
どっちだべ!!」

イルムも負けてはいない。
心の臓めがけぐさりと剣を突き刺した

「危ない!!」

アルの叫ぶと声にイルムは
振り返る…。いままさに
剣が振り下ろされようとしていた。

「うっっ…」

刺客の口から籠る声が漏れ
どさりと倒れ込む。

そんな中、ヨンらも愛馬から飛び降り
片っ端から斬り付けていた。

どさりと倒れ込んだ刺客の後ろに
叔母の姿を見つけたヨン。

「叔母上・・・」

『気を抜くでない。』

叔母の口がそう動いた。
そしてチョンス、エギョンも
目にとめる事ができた。

「あれは…以前ウンスとソマンを
お助け頂いたヒョイアボジか?
屋敷は、ウンスに近しい者が
加勢下されたか・・・」

「上護軍・・・あちらと同じで
すぐに消えてなくなりましょう
急ぎ片付けねば・・・。」

「ああ…」

ばっさばっさっと斬り捨て
残りは十名程であった。
その時・・・。
再び靄が一際濃くなりチュソク
トルベを始めとする迂達赤と
チャン侍医の姿が靄の中に浮かび
出された。
次々に心の臓をぎゅっと鷲掴みされる
刺客ら・・・。
どうやら最後の一人をトルベが
始末したようである。

「イルム!急ぎみなをここへ」

「はい!」

ばたばたと駆け出しじきに
ウンスやみなを連れ戻ってくる。

「どうしたのヨン?怪我はな・・・」

いつの間にやら刺客の亡骸も血糊も
跡形もなく消えている。
異様な靄に浮かぶ懐かしい顔・・
それを目にしたウンスの瞳からは
再び涙が溢れ出す。

「チャン先生・・・」

無理やり拐われ連れて来られた頃
その胸で涙を流した記憶が
鮮明に甦る・・・。
ウンス同様止めどなく涙を流すトギ

「ウンス・・・見えておろう?
叔母上もおる」

ただただこくこくと頷くウンス…

「叔母上…助太刀忝ない・・
俺らはこのように暮らしておる
よいであろう?」

『まったく!隠居を申し出るなど
百年はやいわ!…なれど
ウンスの為じゃな・・・達者で暮らせ
よいな・・・』

叔母の口がそう動き、あろうことか
にやりと口角があがってみえる。

『ウンス…わしを覚えておるのか?』

「あ、あ、あたりまえ・・・」

ウンスは言葉を繋ぐ事ができず
ヨンの胸で涙を流すだけであった。

「ヒョイアボジ…改めて礼を申す
百年前この方が世話をかけた
そして倅が幼き頃といま、助太刀
誠に忝ない・・・そして
みな…会えて嬉しかったぞ。」

チュンソク トクマン テマンも
ヨンの言葉に大きく頷く。

ヨンのその言葉に、微笑みを残し
靄はすっと消えていったのだった。



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