木春菊  [託す]60 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「・・寒い・・」

「ウンス…急に凍るような寒さに
なってきたわね・・・私も身震いを
覚えるわ・・・。」

「でしょう…サム・・」

ふと目を向けると
トギ、ポンもぶるぶると震えている
サンミは緊張からか、寒さを感じる
事はないようである。
小刀を手にきりりと前を見据えていた。

「ねぇ~サム?なんだか視界がぼやける
んだけど私だけ?」

「いえ…サムもなんだか・・・」

「そう…トギ、ポンはどう?」

「はい。奥方様…霧がかかったように
見てえています。」

「みんな同じなのね…どうしてかしら」

ウンスが目を凝らしじっと
見つめていると、霧のようなものが
あれよあるよと言う間に人の形を
成してくる。

「え?…」

ウンスの瞳から溢れだす嬉し涙…
ウンスは拭こうともせず
人の形を成した霧に一歩一歩
近づく・・・

「叔母様・・・ヒョイアボジ・・
チョンス…エギョン・・・
どうして・・・私を迎えにきたの?」

『久しいのぅ・・ウンス・・
息災であったか…』

見間違える筈がない。
会えば小言を欠かさないが
我が娘のように慈しみソマンや
ヒヨンも孫と思い愛情を注いでくれた
叔母であり、百年前に飛ばされた時
見ず知らずのウンスを
我が娘のように気にかけてくれた
ヒョイアボジであり、ウンスがヨンの
正妻となり屋敷に腰を据えてから
ずっと身の回りの世話をしてくれて
いた…エギョンでありチョンスなのだ。

言葉を発することはないが
口の動きがそう言っているように
ウンスは感じた・・・。

『皆を護る為に、ちいと顔を出した
のじゃ。案ずることはない
我らに任せよ』

にっこり笑顔向けその靄は
すっと消えて行った。

「叔母様-----。」

そう叫ぶとウンスは膝をつき
両手で顔を覆いいつまでも
幼子のように
泣き崩れているのであった。



「上護軍!この靄は・・・」

「朝霧でもあるまいに・・」

もくもくとわき出た靄に
トクマンなどは眼をごしごしと
こすっている。
奇皇后の息子の命を受け、ウンスを
連れさろうとした刺客の剣も
止まる。

一子乱れぬ足音がこちらに向かう
気配を感じる・・・。
ヨンの前でぴたりと止まり
片膝をつき頭を垂れる・・・。

濃紺の衣を身に纏い
二十六の人の形を成したそれが
顔をあげる。

「チュソク!トルベ!…それにみなも」

そこには
玄高村(ヒョンゴ村)山中で命を
落とした二十四名と、トルベ
チャン侍医の姿まであった。

『テジャン、プジャン・・・』

そう口が動いたように
ヨンを始めチュンソク、トクマン
テマンは感じた。
ヨンの目の縁がみるみる赤く染まる

ウンスを優先したばかりに
助けに行けなんだ・・・。許せ…。
ヨンは腹の底で詫び頭を垂れる
尊い仲間を失った辛く苦い出来事で
ある。

「加勢してくれるのか?」

『はっ!…こんな奴ら俺たちが
黄泉の国へ纏めて連れて行きます』

チュソクの口が
そう動いていたようであった。

つかつかと歩み寄るトルベと
思わしき靄・・・トクマンの尻を
蹴り再会を喜んでいたようである。

「トルベ!!お前の槍で・・・
俺は…俺は・・・」

トクマンは口をへの字に曲げ
ぐっと言葉につまる。

「トルベ…あの折・・俺の声が
聞こえてはなかったか?」

『テジャン…俺はテジャンの手になれ
嬉しく…彼奴に挑み負けはしたけど
後悔してません。ですから
気にすることは有りません。」

人懐っこい笑顔と白い歯を見せ
トルベは微笑む。
チャン侍医は黙って頷いている
だけであった。
かけがえのない友であった。
ウンスの解毒剤を守るように
亡くなっていたと伝え聴いた・・。

『侍医すまなかった・・・』

扇で口元を隠しクックッと微笑む侍医


「なんなんだ!薄気味悪い・・・
なんでもいい!一気にかたをつける
いくぞ~~」

一斉に襲いかかる刺客
トクマンが槍を構え
ヨンに襲いかかろうとする刺客を
一人また一人と突き刺していく
ふと気がつけばヨンの回りを
チュンソク、テマン、トクマンが
守っている。

「はぁ~。お前らよりよっぽど強いと
言うに・・・」

「いえ…上護軍に万が一あらば
この地は終わりを告げます。
ですからこれでよいのでございます」

チュンソクらしい答えが返ってくる
トクマン、テマンも頷いている。

「頭!人質が逃げ出しています」

「・・・役立たずめが!!…ぐっ」

頭と思われる刺客が振り向き様に
一人の刺客を斬り捨てた。

「お前の顔を知らぬのが俺らの
失態・・・だがな!屋敷は把握して
いるぞ。今ごろそちらに着いている
筈・・・みものよ。ガッハハハ」

意味深な言葉を吐くと
頭はヨンをめがけ駆け出してくる。
トクマンの槍が身体をひとつきし
チュンソクの剣が振り下ろされる

「ぐっ・・・」

胸から血吹雪を吹き出し倒れ込む
刺客…頭。

「か、頭が殺られた!ええぃ!
こうなったらやけくそだ。一気に
襲えばどうにかなる。いくぞ~」

残り二十数名程が
四人に向け襲いかかろうとした時
靄が行く手を阻んだ。

『雑魚の相手は俺らで十分・・』

トルベの口がそう動いていた。
刺客の胸の辺りに手を翳すと
身体をすり抜け心の臓をぎゅっと
握り潰した。

「うっっ…」

声にならない声をあげると
次々に倒れ込む刺客ら・・・。
あっと言う間に刺客は倒されていた。

あり得ぬ!これは夢を見ておるのか

そう思いヨンは一連の動作を
食い入るように
見つめているのであった。



あり得ない設定です。
ですが、あと数話になりました
[木春菊] み~んな出してあげたくて
これしか思い浮かばず・・
お話と言うことで何卒ご容赦を・・。


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