木春菊  [託す] 59 | シンイ二次小説でんべのブログ

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テマンとソウは急ぎ屋敷に戻り
見聞きした事をすべて伝えた。

「ご苦労であった。みな…これは
俺とウンスのことゆえ
手出し無用・・敵の数三十近いと
言う・・・お前らに怪我でもされたら
俺は示しがつかぬ」

「なにを水くさい事を仰せになります
我々の心根は常に、上護軍とともに
ございます。我らもお供致しとう
存じ上げます」

「・・チュンソク・・よいのか?」

「案ずることはございませぬ
こちらに参りましても鍛練を常に
続けておりますれば、足腰は
いまだ丈夫にございます…サム・・
構わぬな?」

「はい。チュンソク様のお気の向く
ままになさいませ。サムは
チュンソク様を信じております」

「アル…俺も行く・・・いいよな?」

「あたり前にございます。奥方様は
私らで必ずやお守り致します」

「遠縁の屋敷は離れておるが
おなごしか、おいては行けぬ
アル。イルム。ヘジン頼めるか?」

「任せてけろ!旦那様・・チョンス
兄さんもきっと力を貸してくれるだ」

「私も怖くないわよ・・・だから
みんなで無事に戻って来て
サンミ、サム、トギ、ポン?そうよね
大人しく待ってるわよね?」

「はい。一頃に集まり決して
無茶は致しませんし、奥方様も
縛りあげても外には出しません」

「クックッ…サンミ頼もしい・・そのように
頼むぞ・・・では出陣!!」

決して戦ではないが、ヨンは己に
渇を入れる意味を含め、その言葉を
発した。みなそれに力強く頷くと
剣や槍を手に持ち部屋を出て行く。

ウンスは顔の前で手を合わせ
どうか無事にと願いを込め見送る。
若かかりし頃と同じように
ヨンは、背にウンスの気配を感じ
振り返らず出て行くのである。

「さあ~奥方様…屋敷の端の部屋へと
移りましょう。居間は危のう
ございます。皆様も・・・」

「んだ!サンミ奥方様を頼むべ
おら達は、門前で睨みを効かせるべ」

長い月日を武術に身をおき
今は亡き、チェ尚宮の厳しい鍛練を耐え
その腕を磨きあげてきたアル
ヘジンは、きりりと前を向き
イルムとともに門前へと脚を向ける。

「あれま~。ソウさんは向こうさ
ついていっただか?
三十人か・・・仕方ねえか・・・」

「ええ…一人でも加勢する人数が
欲しいところです。いくら
上護軍様でも、三十人ほどでは
厳しいものがありましょう
無事を祈るばかりです・・・」

「んだな~・・・アルさん
おら達は屋敷を奥方様をしっかり
お守りするべ…ヘジンさんも
よろしくお願いするべ!」

「ええ…任せてちょうだいよ。
久しぶりで腕がなるわ…うふっ」



一方屋敷へと向かったヨンは
門前で激を飛ばす。

「誰一人屋敷からだしてはならぬ
村の者に危害を加えぬとも限らぬゆえ
よいな!」

「「はっ!」」

「お前ら命を無駄にするな」

「上護軍!策は?」

「正面突破!!。」

ヨンは、口の端をにやりとあげ
鬼剣を鞘から抜き雷功を身に纏い
重厚な門を、力の限り蹴りあげた。
と、同時にテマンが合図の小笛を吹く
幸いな事に、閂はしておらず
「ぎぃぃぃ~」と鈍い音を響かせ
門扉が開いた。

『お歳を召されても我々とは
お身体の作りが違うのであろうか
内功とは衰えを知らぬものなのか・・』

チュンソクはそう思いトクマンの顔を
ちらりと覗き見ると、ぽかーんっと
口を開けヨンの背を見つめている
同じ事を思っていたに違いない。


「母上…あの音は今朝ほどの合図では」

「ええ、そのようね。一頃に集まり
ましょう。」

ひらりと屋根裏からソウが飛び降りる

「しっ。テマン様の仲間、ソウ!
大丈夫です。私の背に!」

ソウは、幾つも手裏剣を手に持ち
戸口を睨みつけていた。


「何事だ~見張りはどうした!!」

声を張り上げ庭に飛び出す
無数の輩・・・。
身なりは黒ずくめで統一されていた。
殺気立つその男らと目線がぶつかる

「どこのどいつだ?たった四人で
領主の屋敷に侵入する賊か!」

「ん?上護軍…こやつら・・どうやら
上護軍のお顔をご存知ないかと」

「ならば、ウンスの顔も知らぬと
言うことか・・・」


「はあ~はあ~。みんな怪我はないか
あやつらが外に飛び出し一人に
なれたから逃げ出してきたんだ」

息を切らしヨンの遠縁にあたる
領主が飛び込んできた。
殺気を感じる事ができなかった為か
ソウの手裏剣は、その手から放される
事はなかった。

「あんた!あやつらの仲間か!
妻子を使用人を離せ!!質には
俺がなる!それで十分であろう」

「父、父上誤解でございます
チェ・ヨン様の使いの者にございます」

娘に促されへなへなと座り込む領主

「私はソウ!これで皆様お揃い
されましたか?」

「あ、はい…」

「では逃げ出します。裏門はどちらに
みなさん裏門へ一気に駆けてください
みなさんの背は私がお守りします!」

手を取り合い
一気に駆け出す一同
領主は妻を労り、娘は母と手を握り
その回りを使用人らが
震えながらも、主をお守りするように
囲む。領主の人となりが
垣間見えた気がするソウであった。

『なんとしてでもお守りしないと・・』

「待て----。」

「振り向かないで--走り続けて--」

追っ手の声に一瞬肩を竦め立ち止まる
一同にソウは声を張り上げる。
こくりと領主が頷くと、ソウを案じる
視線を残し駆け出すのである。

ソウの手から放される手裏剣
見事に頚元に命中し、次々に倒れ込む
追っ手。「よし!」拳をぎゅっと
握り再び駆け出すソウ・・・
そして野に咲く草を鷲掴みにすると
それを鳴らす。人質救出の合図である


「俺がチェ・ヨン…我が妻を
手に入れんが為、村に侵入し
民を脅かした罰は、死をもって
償ってもらう」

「あ?たった四人でこの人数に
楯突くつもりか?」

「それはどうであろうな…」

にやりとヨンは
口の端をあげるのであった。


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