木春菊  [託す] 52 | シンイ二次小説でんべのブログ

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鉄原の屋敷を旅立ちヒョイアボジの
墓参りを済ませ、十日ほど過ぎていた
すでに秋の気配も深まった頃
漸く都の外れにたどり着いた。
だが、妙に街道が騒がしい
「上護軍様~。医仙様~」っと
口々に声をあげ
民が総出で出迎えている。

「はん?どう言うことだ!
なにゆえみなに知れ渡っておる?」

「不思議・・まさか王様が?」

ふと目をやれば平装のまま
アンジェが佇んでいる。
懐かしい幼なじみであり
ともに王命のもと戦で、国を王様を
民を守るがため死力を尽くしてきた
同士である。

「アンジェ…おまえ如何した」

「久しいの…チェ・ヨン・・・
なに…俺も隠居しておるでな
おまえと奥方を迎えにきたまでよ
気にするな
都中がこの様子二人では通れまい」

アンジェはそう口にすると辺りを
見回し、「おい!」っと声をかける。
民の後方から禁軍の鎧を身に纏い
大勢の兵士が姿を現せる。

「どう言うことだ!アンジェ?」

「俺とて一声掛ければこうして
集う仲間はおる。気にするな」

密かに都入りし、密かに王宮に
向かい、恭愍王 と魯国大長公主と
会うつもりでいた・・・。
されど・・・想定外の出来事に
ヨンもウンスも戸惑いを隠せない。
されど…折角の好意を無下にもできず
二人は護衛されながら
王宮入りしたのであった。

出迎える恭愍王は満面の笑みを
浮かべ、新王とともに王宮中庭にて
出迎えていた。

「王様…チェ・ヨン
ユ・ウンスともにお目通りが叶い
恐悦至極に存じ上げます。
されど…これはいったい・・・」

「高麗の今があるのはチェ・ヨン
そなたの功労が大きい…余も妃も
王宮の者や民、みなが知っておる
隠居した身であろうがそれは
何も変わらぬ。皆そうであろう」

恭愍王の問いかけにそこに並ぶ
重臣、警護に付く迂達赤…その筆頭に
ソマンとヒヨン・・・一斉に
頷き、ヨンとウンスに頭を垂れる。
されどヒヨンの正装が気になる・・

片膝を付き頭を垂れていたヨンが
立ち上がりウンスとともに
苦笑いを浮かべる。

「妃が待っておる。参るぞ」

「「はあ・・・」」

魯国大長公主は、国母として長年
暮らし、恭愍王を支えてきた
坤成殿にいた。

「妃・・・支度は整っておるか?」

恭愍王は戸口を開けずそう問うてみる

「はい。中庭にて
お待ちくださいませ」

「相わかった。早よう参られよ」

「うふふ。すぐに・・」

坤成殿中庭に向かうと
上座が設けられ丸卓上には
滅多に口にはできないであろう
贅を尽くした料理が並ぶ。
そこには鉄原で別れた
チュンソク始めみなが待っていた。

「イルムやサンミもいるわ…王様
これはいったい・・・」

「チェ家のみなを呼んである
これより公主とチェ家次男ヒヨンの
婚儀を執り行う。」

「ええ-----!!」

ウンスは瞬きを繰り返し
声を張り上げる。
恭愍王と魯国大長公主が鉄原に
おいでの際、確かに打診はされた。
だがヒヨンは嫡男ではない為
公主様のお相手には相応しくないと
ヨンは言葉を濁し、決断をチェ家主で
あるソマンに任せていた。

「王として余は数々の特例を
駆使して参った…ゆえにヒヨン殿が
嫡男ではないとそなたは申して
おったが、公主はヒヨン殿の凛々しい
迂達赤姿に、恋い焦がれておった様子
・・・公主の親としては
望みを叶えてやりたいと思い
チェ家主であるソマン殿に、何度も
何度も打診してきたのだ。」

「・・・某は・・・チェ家長として
誠にこれでよいのか判断しかねます
公主様と申せば
嫡男に嫁がれるの世の常と心得て
おりますれば・・・」

「そうなの?ヒヨンは
責められないかしら・・・」

「奥方…案ずるに及ばぬぞ
既に根回しは済んでおるゆえ
ここに並ぶ者は誰一人として
意義を申す者はおらぬ
されど…邸は別に構えたのだ
新婚であるゆえのぅ~」

恭愍王は悪戯な笑みを浮かべ
二人の顔を覗き込まれていた。


「お待たせ致しました」

ミントの声に、みなが振り返ると
魯国大長公主様に手を添えられながら
公主様が姿をお見せになられた。

白地に金糸の刺繍が鮮やかに
浮かんでみえていた
牡丹であろうと思われる。

「義姉様…離れておったゆえ
ご相談申し上げることもせず
お許し下され・・・」

「王妃様・・・私は王族の仕組みは
詳しくはわかりませんが
ほんとうにヒヨンでいいんですか」

「はい。チェ家は王族と婚儀を
許された名家でございます
嫡男であろうがあるまいが
妾は気にも止めませぬ。公主の幸を
願うだけにございます」

親ならば誰でも思うことと
ウンスは思うがこれから
ヒヨンに対する妬みやっかみなどが
増えるのではないかと
案じぬにはおれぬウンスであった。


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