木春菊  [偕老同穴] 117 | シンイ二次小説でんべのブログ

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あっと言う間に一月(ひとつき)が
過ぎ、花見には少し早いが
これ以上伸ばせば生み月に入る
アルとヘジン無理はさせられない。
渋るヨンをなんとか説き伏せ
サム、スンジャ。典医寺からトギと
ポン。王妃様の許しを得
叔母とミントも顔を揃えていた。
むろん、エギョン、イルム、サンミの
顔もある。

ここはウンスには、思い出の地
婚儀を済ませ、初めてヨンの出陣を
一人見送った高台である。
街が一望でき風の通りもよく
なんせ空が近い。それがお気に入り
の一つでもあった。

「桜はまだ蕾なのが残念だけど
みんな美味しいもの食べて
寛いでちょうだいね…ふふふ
まさか叔母様が来てくださるなんて
驚きました。ありがとうございます」

「何を言う。じょしかいであろう
参加せずいられようか・・
かわいい孫が二人もおるに
ヒヨンは外に出るのは
初めてであろう。ウンス一人に
まかしてなどおれぬでの~足がすべり
転びでもすれば如何する」

「叔母様ったら・・・」

ふかふかの敷物に置かれた盆の上に
握り飯、饅頭、竹筒の水
エギョン手作りの煮物や焼き魚も
並んでいる。
お日様も真上に上り
ソマンの腹の虫が「ぐっ~」と鳴る

「まあ~ソマンったら・・恥ずかしい
じゃない」

「よいのじゃ。ソマン…おのこは
それくらい元気な方がよい
何が好みじゃおばばが取ってやろう」

「おばば~まんじゅうがたべたい~」

「そうか。饅頭じゃな」

ソマンの顔ほど大きさのある饅頭を
手に取りぽいっと手のひらに
のせてやると、誰に言われたでもなく
半分に割り、そのまた半分にわると
ウンスの手に一欠片、おばばの手に
一欠片をのせ
あとはサムの膝の上に座る
スンジャの手にぽいっと渡す。

「おお~皆に分け与えるのじゃな
賢いの~。」

「美味しいものは皆で食べると
より一層美味しいわね~。ソマン」

「あい!おいちい~~。
おいちいね~すんじゃ?」

幼子二人黙々と食べる姿は
なんとも微笑ましいもの
みなの頬が緩んだのは言うまでもない

「ウンス。この二人どう見る?」

「へ?どうもこうもまだ三才と二才
ですよ・・・」

「この子らの時分から許嫁に
なるのは、この地ではよくある話
ましてや…あやつの嫡男ともなれば
もうじき申し込みが殺到するで
あろうのぉ~」

「うっ・・・そ・・・・」

ウンスは驚き言葉もでないようである
周りを見回せば皆が頷いている。

「チェ尚宮様、我がチュンソク家では
分不相応にございます。ご辞退
申し上げます・・・」

「ちょっと…サム、親が辞退って
それは可哀想よ。二人の気持ちを
尊重してあげなきゃ・・・でも…
そんなことまだ分からないわよね」

「ソマン?スンジャのことどう思う?
いもうと?それとも父や母のように
すき?」

「・・・」

「なにを聞いてるのかしら・・
そんなことより頂きましょう
ほら~。叔母様もお食べになって」

大人の会話など我関せずとばかりに
ソマンは、スンジャの口元に小さく
千切った饅頭を運ぶ

「すんじゃ~おいちいね」

「おいちい。そま~」

すんじゃの口元につく饅頭の皮を
指で摘まみ自分の口へと、運ぶ。

「あらま~~。どうしましょう
あの人と同じことしているわ
血筋は争えないってこと?」

『新婚当初はよくしてくれたな~』
なんて、懐かしく思い出され
胸のうちがつ~んと
甘酸っぱさが甦るウンスである。
ぼ~と眺めているとポンに
素朴な疑問を問われる。

「奥方様?じょしかいって
なにを話せばよいのでしょうか?」

「そうね~。例えばポンならどこか
美味しい店を知ってる?
あそこの店は不味いとか、新しく
できたあの店の饅頭が美味しいとか
そんな情報を伝えたり
仲間の愚痴を聞いてあげたりかな?
私もあまりと言うか
参加したことないのよ…ふふふ」

「奥方様。おらたちも参加しても
えがな(いいかな)?」

「当たり前じゃない
女子会なんだから身分の差なんて
考えないで座ってよ」

皆の後ろに立ち尽くしていた
三人。ウンスの許しを得
イルムとサンミは嬉しそうに
腰をおろし、エギョンは遠慮がちに
腰をおろすのである。

「ウンス。そなたの人徳で
あろうのぅ~。一声掛ければ
皆が集まりこのように輪になるのじゃ
アルとヘジンの赤子が生まれ
また輪に加わるのであろう
それが永遠に繰り返され
ウンスがいた世に繋がるのであろう
見届けねばならぬな」

「チェ尚宮様。それでは
永遠に生き続けねばなりませんね」

「ミント…それはちと困るがせめて
ソマンの嫁取りを見届けねばの」

「あの~?あの二人は」

ポンが顔を向けた方角には
馬車の御者席に身を持て余し
座る、テマンとチョンスの姿である

目の前の盆から、
己の顔ほどの饅頭を両手に持ち
ソマンは二人の元へと走る。

「はいどうじょ。おいちいよ」

「ソマン」「若様…」

「ありがとよ。ソマン・・兄様
嬉しいよ・・・」

「あい!おっ?!」

「ソマン~~~。」

気配に気がつきソマンが
高台の下に目をやれば
サルムとソウが、大きく手を振り
登ってくる姿が見えていたのである。

「かか~~~。さるむとそうよ~」

だだだ~とウンスの元に
走るソマンを途中でアルが止め
大きなお腹で屈み、ぎゅっと抱きしめ
たのである。

「ほんとうにお優しい子に育って
アルは嬉しくて・・・」

「アル・・なかないの・・よしよし」
と、ソマンは笑みを浮かべ
アルの頭をそっと撫で
大きなお腹にそっと手をおく。

「おお~~。ぽんって!!お~」

「きっとソマンがいい子だから
挨拶してくれたのよ…ふふふ」

「そおっ?えへへ・・」

照れたのかちょっぴり俯き加減で
ウンスのそばにぺたんと座り
今度は握り飯を頬張るソマンであった



もう少し女子会にお付き合い
下さいませ。

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