木春菊  [偕老同穴] 88 | シンイ二次小説でんべのブログ

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五日後早朝・・・

麒麟の文様鎧姿も凛々しく
ヨンは屋敷門前にチュホンとテマンと
ともにウンスとソマンの見送りを
受け、王宮へと出仕するところである

「・・無事に戻って来て・・」

「とと・・・けがしない?」

「ああ。父は怪我などせぬぞ…
ソマン。母の事を頼んだぞ・・」

胸を張りこくりと頷くソマン。
ヨンは腰をおり、ソマンの頭を撫でる

「叔母上も様子を見に来よう
スリバンにも警護を頼んである
くれぐれも無茶はせぬよう
よいな?」

「分かってる・・みんなと大人しく
待ってるわ。だから・・・クスン・・」

「かかっ・・」

「ん?・・ごめん。泣いてなんか
ないわよ。ごみがね目に入っただけ」

ウンスの鼻づまりの声に
ソマンが案じウンスの顔を見上げる。

「泣くでない。ソマンが案じておる」

「ふふふ。ずるい・・二人して見えて
いるのね」

その大きな手がウンスの頬に
そっと触れ、頬を伝う涙を拭う。

「奥方様。ヘジンを頼みます
役目が終われば駆けつけますから」

「うん!テマン心配しないで
みんなで待ってるから・・・」

「行って参る。・・・」

「うん・・・」

ヨンは愛馬チュホンに跨がる
もともと大柄なおとこであるが
愛馬に跨がるとより、一層大きく
見える。

ウンスはひっそり閨を抜け出し
たくさんの握り飯を握っていた。
戦のさなかは、乾物ばかりを口に
するのは、野営をともに過ごした
事のあるウンスにはわかる。
例え一食であろうと、口にして
ほしいと願ってのことだった。

テマンとともに王宮へと向かうヨン
その背が見えなくなるまで
ウンスは手を振り続けた。
ソマンも母の真似をし、小さな手を
振り続ける。

「はぁ~~。行っちゃった・・
まだ早いわ。もう少し眠ろうか?」

「とと・・いった・・」

「そうね。ソマンもさみしいの?」

こくりと頷くと、ソマンは小さな手を
ウンスの手に重ねぎゅっと握り
締めていた。



「サム。くれぐれもスンジャを頼む」

「はい、おまかせ下さいませ
はよう参らねばなりませぬ
大護軍をお待たせするなど・・
よいのですか?・・」

「されど・・」

チュンソク家でも、早朝より
サムの見送りを受けてはいたが
なかなか離れがたいチュンソクである

「御案じ召されませぬよう
ウンスのところでお戻りをお待ちして
おります。あら?蹄の音かしら
大護軍様ではありませぬか」

「・・・」

うっすらと人影が
チュンソクとサムの目に映る
緩い坂を下るヨンとテマンであった。

「おはようございます。大護軍…
某もおともつかまつります。」

「王様にお目通りせねばならぬゆえ
暫し時はあるが、構わぬのか?」

「滅相もございませぬ。大護軍より
あとに馳せ参じるなどあり得ませぬ
サム。では行って参る
大護軍屋敷ではご迷惑をかけぬよう
よいな」

「はい。・・・子供じゃないですから
夜泣きも致しませぬ・・ふふ」

サムはヨンに一礼し、チュンソクの
顔をじっと見つめ深々と頭を下げる
人前、ましてや上官であるヨンの
まえでは口には出来なかったが
胸のうちで『ご無事で』と
呟いていた。



緩やかな坂を下り市井へと繋がる
際に、トクマンのこじんまりした
屋敷がある。

「アル。大護軍の屋敷で待っていて
くれ。奥方様とソマン殿をみなと
力を合わせお守りしてくれ
でもいざとなったら
お二人を連れて逃げろ。分かったか」

「大護軍様の受け売り?ふふ
けど命がなければ、トクマン様に
再び会えませんから逃げますよ
粗末には致しません」

「この槍でさっさと片付けてくる」

槍を持たせたなら迂達赤いち
大護軍には、到底敵わなくても
数々の戦を乗り越え大きな怪我も
することなく、此処にいる。
普段はすっとぼけた素振りも
見せているのだが、戦となれば
人が変わるトクマン。

「信じておりますよ。ふふ
ほら…行って」

「トクマン!」

「ん?・・大護軍!護軍!テマン。」

各々が馬に跨がり坂を降りてくる

「アル。必ずや連れて帰るゆえ・・
案ずるな!あの方とソマンを頼む」

「はい。心得ております
お任せ下さいませ。サムさんと
スンジャさんも必ずやお守り
いたします」

アルはそう呟くと
にこっと笑みを浮かべ
深々と頭を垂れその背を見送る

「屋敷街は抜けた。一気に駆ける!」

「「「はっ!」」」

ヨンを筆頭に、各々の思いを暫し
封じ込め鬼となるのである。



「眠れないわね。ソマン
今日からたくさんお姉さん方が
来るのよ。賑やかになるかしらね
はっ…気持ちを切り替えなきゃ
外の空気でも吸いに
庭を散歩しようか?」

ウンスとソマンは寝台でごろごろ
していたが、どうも寝付けないのか
そのまま庭へと散歩に向かう

「ほら、きれいな朝焼けね~
朱色に染まっているわ」

「しゅ?」

「そうよ朱色…ふふふ」

「奥方様~」

「どうしたのエギョン?」

「スリバンのサルム姐さんと
ソウさんがおみえでございますが
こちらにお通ししても?」

「まぁ…こんなに早くに・・・
構わないわ。お通しして」

ヨンと叔母が警護を頼んだであろう
スリバンの二人が早くに屋敷を訪れる

「坊っちゃん!」「ウンス!」

「ふふふ。早いわね二人とも」

「あたしはね。今からサムを迎えに
行くのよ。ウンスは役目に行くで
しょう。その間屋敷の事は
任せてよね。うふ」

「チョンスさんが王宮まで
往復するって聞いたから、エギョンさん
一人じゃって思って」

「ソウさん。ありがとう助かるわ」

「ねぇウンス。暫く見ない間に
ソマン大きくなったのね
おいで抱っこしてあげる」

ソマンは「ぺちんっ」とサルムの
伸ばされた手を叩き、ぎろりと
睨み付ける。

「もう。取って食いわしないのに~
ヨンと一緒ね…すっかり嫌われ
ちゃったわね・・・」

「ふふふ・・・そうみたいね」



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