木春菊  [偕老同穴] 証110 | シンイ二次小説でんべのブログ

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陣痛の間隔が狭まる
だが産婆の所見では子宮口がまだ硬い

「い、痛い---うっ---」

「駄目だよ、息んじゃ裂けてしまうから
あんたは医仙様だろう?この意味
分かるよね…なんなら天界の医術で
自分で縫うかい」

ウンスは、ぶるぶると首を左右に振る

「ウンス!痛みを逃がさねばならぬ
ほれ…言っていたではないか
天界のやり方あるだろう?」

「ひぃひぃふっ---ひぃひぃふっ--
い、痛い---」

叔母もウンスの手を握り、ともに額に
汗し「ひぃひぃふっ--」と繰り返して
いる。

「私がこの年で、赤子を生むようじゃ
ほれ、ウンス」

「大護軍はまだかい?なんしてんのさ
これは私の産所で、難産の母親に
やってるやり方なんだけど」

「産婆…それはどのようなことだ?」

「旦那じゃなくてもいいなら
そこら辺のあんちゃん連れて来ておくれ
このままじゃ裂けてしまい、血が溢れ
死んでしまうよ!」

「うっっ----」

ウンスは、叔母の腕に爪跡ができるほど
強く握り締める

「うっっ---ひぃひぃふっ---」

「どうすればよい!ウンス!」

ウンスに、叩き込まれた知識
己の脚で得た実践…すべて
真っ白に吹き飛んでしまっていた
甥の大事な嫁御を死なす訳には
行かぬ!
そう思いを唇を噛み締め産婆に
あんちゃんの意味を尋ねようとした…時


「叔母上…すまぬ」

「ヨン…入って参れそして産婆の話を
聞け!」

客間を開け、ヨンの目に飛び込んだのは
涙と汗でくちゃくちゃになり
叔母に、しがみつくウンスの姿だった

「ウンス!!」

ヨンはすぐさまウンスのそばに
歩みより、叔母を押し退けその腕に囲う

「ウンス…遅れてすまぬ・・」

「あ、後始末…す、済んだの?」

「ああ、すべて終わった案ずるでない
ウンスは赤子のことだけを考えよ」

ジオンの事は今は伏せる事にした…

「大護軍様…この婆を信じ言うことを
聞いておくれ!」

「ああ、俺にできる事があるなら
何でも致す…言ってくれ」

「お迎え棒をやっておくれ!」

「・・・はて?それはなんぞや」

産婆は、お迎え棒の意味を説明する

「・・・」

「旦那が出来ないなら、そこら辺の
あんちゃんを連れてくるまで
このままじゃ裂けて死んでしまうんだ」

「戯けた事を申すでない!!いくら
産婆とて許さぬ!」

「・・・ヨン、た、助けて」

ウンスは、懇願の眼差しでヨンを見つめ
ヨンもまた、産婆に怒鳴った形相では
なく目もとを緩めウンスを見つめる

「相分かった…俺がする…叔母上すまぬ
が、破水とやらがすればよいのじゃな
席を外してくれ」

「・・・一人で・・・」

「叔母上!」

「大護軍、優しく優しく突っつく
だけで、違うんだ頼むよ」

産婆は、まだ言いたりない素振り
だったが、叔母が無理やり立たせ
連れ出す


「ウンス…辛かろう・・俺らの赤子故
堪えてくれぬか・・片時も離れぬ故
泣いても喚いても構わぬ」

「うっ----ヨ-ン--」

ヨンはすぐさま衣を脱ぎ捨て
ウンスのそこにあてがう・・・
濡れた髪を、耳にかけてやり
おでこに優しく唇を落とす

赤子を潰さぬよう神経を集中させる
「うっ」とウンスの声が漏れる
産婆の言葉を思いだし、優しく優しく
子宮口を、僅かに刺激するだけに
留める。無論そこに欲は微塵もない

何度か繰り返すうちに
生暖かい液体が一気に流れでてくる

「よし…ウンス、これが破水と
やらであろう?」

話す気力も残っていないウンス…
瞳を閉じ合図を送る

「うっ---ヨン…」

「叔母上頼む!」

ヨンは、居間にいるであろう
叔母に届けと大声を張り上げる
十(とう)も数えぬうちに
飛んで来ることは予測が付く
衣を纏い紐で結び、ウンスの下も布切れ
で覆う

どたどたと叔母の気配がすると
扉が、一気に開く


「おし!ひらいてる!流石だ
大護軍様は…」

内診を終えた
産婆が満面の笑みを浮かべる

「ヨン…出ておれ」

「出ぬ…片時も離れぬと約束したのだ
武士の約束は命懸け、破る訳には
行かぬ」

「・・・好きに致せ」

「うっっ----」

ウンスの枕元にどかりと腰を下ろすと
胡座をかきウンスの手を掴み
踏ん張りが効くように握らせる

「ウンス…俺の手を握れ、ほれ」

「うっっっ-----」

最後の力を振り絞り、ウンスは
一気に息む…

「はあ…はあ…」


「おぎゃ---おぎゃ---」

ウンスが息を切らしたと同時に
元気な赤子の鳴き声が、屋敷中に
響き渡る

廊下、隣の部屋で待機していた
テマンやチョンス…
エギョン、イルム、サンミから
「やった---」と歓喜の声が沸く


「ほら…玉のようなおのこだ
付くもん立派についてる。きれいに
清めてもらうから待っていてくれ」

産婆は布にくるむと隣の部屋で
待機していたイルム、サンミに
赤子を渡す
姉妹が多いイルム、サンミ何度も
経験していたのだ


「ウンス…よく堪えてくれた
無事、世に送り出してくれ感謝致す」

「ヨン・・・泣いてるの?」

ウンスに労いの言葉を掛け
顔を上げず、ヨンの肩が小刻みに
揺れていた・・・

「・・・」

「ウンス…でかした。よう生んでくれた
礼を申す」

叔母の目も赤く充血している

「せめて、後産の始末は私がする
もう少しの辛抱じゃ」

漸く顔をあげ、ウンスを愛し気に
見つめ…

「真…ご苦労であった・・・」

そう呟くと口の端を微かにあげる



※※※※※

皆様
こんにちはいつもお寄り下さり
誠にありがとうございます

暑い日が続いております
水分、塩分補給は忘れずに…

大昔難産の時はどうしていたのか?
色々調べておりましたら
「お迎え棒」にたどり着きました
今では考えられませんが…


無事にウンスが男子を生みました!
お付き合い誠にありがとうございました
明日よりサブタイトルを改め
描いていきたいと思います。
名前は明日に発表いたします


でんべ


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