木春菊  [偕老同穴] 証109 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「迂達赤!すぐに典医寺へ運べ!」

額から玉のような汗が吹き出し
のたうち回るジオン…その様子に
尋常ではないと悟ったヨンは
迂達赤に命じ、典医寺へと運ばせる

「王様。某も席を外し医員の見解を
聞きとう存じます」

「あ、ああ…頼む」

「はっ」

一礼すると、ヨンは幾人もの迂達赤が
戸板で運ぶジオンのあとを追う

「護軍…このものらを牢へ入れておけ
余は暫しやることが出来た故」

そう言って王様は私室へと向かう



「どうやら心の蔵の発作かと…」

「助からぬか?」

「手は尽くしてみますが、覚悟は必要
かと思われます」

「すまぬが頼む・・・テマン!」

ヨンは、屋敷におる侍医に子細を話し
戻るように、言伝てを託した



テマンは、早馬の如く姿を消し
裏道を通り屋敷にたどり着いた

「侍医!」

テマンは言伝てを侍医の耳に入れた

「・・・」



「叔母様まだ大丈夫ですから…私を
居間まで連れて行って下さい
今の声はテマンですよね・・?
お願いします」

どうも、チェ家の血筋はウンスの
お願いの仕草に弱い傾向が見られる
顔の前で両手を合わせ、小首を傾げる
ウンス独特のお願いの仕草・・・

「はあ---まったくそなたは・・」

叔母は、盛大にため息を吐くと
ウンスに衣を纏わせ腰をしっかり
押さえ居間へと連れて行く


「テマン…どうしたの?あの人に
何かあったの」

「・・それが・・・」

「テマン!はっきり言って!」

「・・・侍医のお父上が、心の蔵の
発作とやらで倒れて、典医寺に
運ばれました・・」

「え?…イム侍医なにしてるの早く
行かないと手遅れになるわよ」

「ですが…ここから離れる訳には
参りません・・・医仙殿の赤子を・・」

「ありがと…でもそんなこと言ってる
場合?あれだけ気をもんだお父様じゃ
ない!私はまだまだ時がかかるわ
だから行ってきて…心の蔵なら
正直助からないかも知れない
でも…イム侍医には最後まで諦めないで
欲しいのそれが医者でしょう!」

「ですが・・・」


あまりにも煮え切らない侍医の態度に
ウンスは、つかつかと歩み寄り
その頬を「ぴしゃ」と、平手打ちした

「ごめん…痛かったわね・・イム侍医
でも絶対後悔するわよ・・会いたくても
一生会えない人もいるのよ
だから…早く行きなさい!!」

周りの皆が、ウンスのやることに
度肝を抜かれ、驚き空いた口が塞がらぬ
うちに、イム侍医は目が覚めたのか
ウンスに頭を下げると走り去って行った

「ウンス…そなた・・・」

「あ、叔母様ちょっと待ってください
テマン?あの人に伝えて…私は
大丈夫だからって…」

こくんと頷くと、テマンは侍医の
あとを追う

「叔母様ごめんなさい…あ、私の事じゃ
ないですよ…例え、物の例えですから
・・・ふふふ」

健気に微笑むウンスの姿を垣間見
叔母は思う…

『すまぬな・・だがそなたが居なければ
あやつは、今頃どうなっていたかも
分からぬ…あやつも、この私も
もう、そなたを手放すなどと
考えられぬのじゃ・・・』

「叔母様?」

「・・もう腑抜けと叱れぬな・・
さあ部屋へ戻るぞ」

「へ?・・・」


ウンスは、多くを語らない叔母に疑問を
残しながらも、叔母の手を借り部屋へと
戻って行った

庭では、チョンス始め若い二人も
世話しなく動き回っている




「はあ…はあ・・・父上!」

侍医が、息を切らし典医寺へと顔を
出した

「容態は?」

「はい、イム侍医様…心の蔵の発作に
間違いございません…薬医員に頼み
投薬を煎じ飲ませましたが
改善が見受けられません・・・」

「そうか・・・世話を掛けた」

侍医は、医術用寝台に顔を歪め横たわる
ジオンの元へ、足取りも重く
たどり着くと、床に膝を付きその手を
握る

ヨンを始め、他の医員も静かに
席を外し、廊下へと出て行く

「父上…」

「ヒ・・・」

最期の言葉だった・・・
侍医には、己を待っていてくれたと
感じとれた…微かだが微笑んだように
見えたからである

人知れず声を殺し泣いたあと
侍医は徐に立ち上がり、診療室の扉を
あける

「大護軍…ご迷惑お掛け致しました
たった今息を引き取りました…」

ヨンは、黙って頷きその肩に
手を置き思いを込める

「大護軍…王様にお話があります
ご一緒して頂けませんか」

「相分かった」

二人は無言のまま宣仁殿へとむかう

王様は私室にて二人を出迎える

「王様、イム・ジオン本日
心の蔵の発作にて、息を引き取りまして
ございます。ここにいる侍医が
しかと見届けております」

「そうであったか…して
イム・ジオンとはどこぞの者じゃ?」

「は?王様…お戯れを」

ヨンが、珍しく眼を見開き喉から
変なくうきが漏れる

「戯れも…何も余はその者を知らぬ
ジオンとやらは、いつぞや流刑に処した
者がその名であったような・・・」

「王様…このイム・ヒ侍医の職を
返上したく・・・・」

「黙らぬか!余の想いが伝わらぬか
・・・・」

王様は「近こう寄れ」と命じ
二人に想いを伝えた

この案件を揉み消したこと
侍医の族譜を元に戻したこと
イム・ジオンは流刑先にいまだおること
恩赦に名は載っていなかったこと

「こうでもせねばの・・・大護軍も
侍医も、余から離れてしまうではないか
それは好まぬ故…許せ・・侍医には
気の毒じゃが、病死として族譜に載せる
よってイム・ジオンは流刑先にて
病死と報告が参った。良いな
これは王命であるしかと心得よ」

「「・・・・・」」

「余はちと王子の顔でも見に参る
大護軍、侍医!何をぼっとしておる
早よう医仙殿の元へ参らぬか
心細くしておろうに…」


そう命じられ王様は、坤成殿へと
向かわれる

王様を見送りヨンとイム侍医は
漸く重い腰をあげ、屋敷へと向かった
のである

追記コメント欄漸く開きました
すみませんでした


切りどころが掴めず長くなりました
すみません。m(_ _;m)三(m;_ _)m


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