木春菊  [偕老同穴] 証 96 | シンイ二次小説でんべのブログ

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既に日は西に傾き始め、あとに二刻も
すれば闇に包まれようとしる頃
王妃様の陣痛の間隔が狭まりだした

「義姉様・・・」

王妃様は苦痛に顔を歪める

「大丈夫ですよ…内診させて頂きます
ね・・・まだ子宮口が全開ではないです
痛みを逃がしてください王妃様
息を吐いてください…力んではだめです
から」

ウンスの教えを守り
「ふぅ~」と王妃様は短く息を吐く

「そうです…お上手でいらっしゃいます
王妃様」

『子宮口は、今で七センチってところね
陣痛の間隔が、まだ五分ね…一分から
一分半で全開になると思う・・・
ウンス!頑張るのよ』

自身に渇を入れ己の頬を叩く
出仕するなら否や坤成殿に急ぎ
駆けつけ、はや四刻は過ぎていた
立ちっぱなしウンスにも、疲労の色が
顔に出る

「ウンス…大事ないか?疲れが出て
おるように見受けられるが」

「え?大丈夫ですよ…もう少しかかり
そうですから…叔母様もお願いしますね
・・・頼りにしてますから」

本音を言えば疲労困憊である
妊婦には堪える…脚が浮腫む
そんな胸のうちをウンスは笑顔で隠した


半刻程たつと陣痛の間隔がその時を
知らせてくれる

「王妃様…お身体の準備が整っています
次の痛みがきたら力んではください」

「ぐぅ---」と王妃様は、額に
玉のような汗を滲ま力む

「叔母様!王妃様のお手を握って
差し上げてください!ポン!貴女も
早くきて!!」

万が一に備え隣で待機している
ポンに向かいウンスは声を張り上げる
すぐさま、ポンとトギが飛んでくる

左右の手を叔母とトギ、ポン三人で
握る。「はあ、はあ…ぐぅ---」と
繰り返す王妃様…
どこに、このような力が
残っているのだろう
叔母の手には、王妃様の爪の跡が
くっきり浮き出る

「ぐぅ---」

「頭が見えてきました~もう一息です!
お子も苦しいんです!王妃様次の痛み
がきたら…一気に力んで下さい」




その頃王様とヨンは、王妃様の私室で
ことの成り行きを見守っていた。
時折聴こえる苦しそうなうめき声。
それに混じり聴こえる王妃様を
励ますウンスの叫び声。

私室の長椅子で寛げる筈もなく
王様は、右往左往と落ち着きなく動き
回り、強く拳を握り締めている

「大護軍…王妃があの様に苦しんでおる
余にできることはないのかのぉ」

「・・王様、落ち着かれませ
このような折り、我ら男は
何も出来ませぬ…どんと構え待つしか
策はないと思われます」

「可哀想にのぅ…あの様に苦しいものか
代わってやれればの・・・」

「王様…あの方の申すには、女人故
お産の痛みに耐えれると…母となる
女人の身体は、そう出来ておると
申しておりますれば致し方ないかと」

「・・・余の母上もあのように
苦しまれたのじゃな・・・」

どれ程時が過ぎたのだろうか
ヨンが、ふと窓の外に目を向けると
辺りはすっかり、暗闇に包まれようと
していた…雪がしんしんと降っている
き-んと肌を突き刺す寒さも
増してきた

『ウンス…大事ないか・・』
と、胸のうちで呟いてみる…。
その時「おぎゃ--おぎゃ--」と
元気な赤子の泣き声が、私室まで
届いた

「大、大護軍…いまのは赤子の泣き声
じゃな?間違いないの?」

「はっ!赤子の声と思われます」



「王妃様…無事誕生されました…
男の子でございます、トギお願い」

生まれたばかりの王子様の
大事に大事に布にくるみ、ウンスは
トギに手渡す。イム侍医の診察を受ける
ためである

「王妃様…後産の処置をいたします
もう少しのご辛抱を…」

「叔母様…王様が心配していると
思います、知らせてください」

叔母は静かに頷くと、産所を後にし
私室へと向かう


「王様…チェ尚宮でございます」

待ちわびていたとばかり
王様自ら扉をあける。
その勢いに一瞬ぎょとし尻込みする。
それでも冷静に言葉を繋ぐチェ尚宮…

「王子様のご誕生でございます」

「まことか!!」

「王子様のご誕生
心よりお慶び申し上げます」

叔母の言葉を耳にし、ヨンは片ひざを
付き頭を垂れ、祝いの言葉を恭しく
述べる

「医仙殿が導いてくれたのじゅ
五年前…あの想いを忘れる事なく
この晴れの日を、余と王妃に与えて
下された。自身も身重…だと言うに」

王様の瞳にはうっすらと
涙が滲んでいる。

「もったいないお言葉…医仙も
必ずや喜びましょう…」

ヨンは顔をあげ、王様の顔を見据えると
にやりと口の端をあげる



「王様にお越し頂いて下さい」

ウンスは、武閣氏にそう呟くと
沐浴を済ませ、真新しい布にくるまれ
ふっくら頬っぺの王子様を、愛しそうに
抱きしめながら、王妃様が横になられる
布団の脇へとそっとおく

「義姉様おのこなのですね…」

「はい…王子様です、よく頑張って
下さいました。イム侍医が診て下さり
元気な王子様と、太鼓判を押して
下さいましたよ」

「王妃…余じゃ、開けてよいか」

「・・・王様・・・はい」

「王妃ご苦労であった…」

王様は、王妃の元に歩み寄ると
柔らかい笑みを浮かべ微笑む

「王子なのじゃな・・・」

「はい・・」

「礼を申す…余に父としての喜びを
授けてくれた。ほんにご苦労であった」

「王様…抱かれてみますか?」

「医仙殿、よいのか?」

そっと枕元の王子を、王様の腕の中へと
抱かせる

「・・・このように軽いものなのか」

王様は、そんな言葉を口にすると
涙を浮かべ、愛しそうにそっと
頬を寄せる。

『ヨン…良かった…無事にお生まれに
なって頂けたわ』

『ああ…分かっておる…ご苦労だった
腹は空いてはおらぬか?身体は
大事ないか?』

『もう・・そこなの?
疲れたわよ…お腹もぺこぺこよ』

『眼の回りが窪んでおるが
赤子の様子は、どうなのだ?』

『ええ、大人しくしてくれていたわ
そんなにひどい!』

そんな会話を、読功で交わし
笑みを浮かべていたのだった


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