木春菊  [偕老同穴] 証 88 | シンイ二次小説でんべのブログ

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日が高くなる前、婚儀が済み屋敷に
戻った頃には、ウンスのお腹は
きゅるきゅると鳴りっぱなしであった
出向く際に、約束した口づけも
お預けを食らっていたヨン
いい雰囲気になると、ウンスの腹が鳴り
顔を見合せ吹き出す始末…
赤子の飯が先と、ヨンはしぶしぶ
諦めざる得なかった


「ただいま…準備御願いして
ごめんなさいね、何か手伝うわよ」

「いえ、奥方様すべて終わっております
先にお着替えをなさって下さいませ」

二人が、庭先に瞳を向けると
ヨンとウンスの披露宴に使った
丸卓が並べられ、ところ狭しと
ご馳走が並び、なんとも言えない香りが
庭中に漂っている

「貴方も正装じゃあ疲れるわね
着替えましょう」

「ああ…」

顔を見合せにっこり微笑み合うと
腕を絡め縁側から閨へと向かう

「手伝うわ」とウンスはヨンの背後に
回り紐を手解く。
鎧を外し、ウンスがヨンに背を向け
今度は着替え始める

「俺が…」

素早く衣の紐を手解き、あっと言う間に
下衣姿になってしまった…

「恥ずかしいわよ、自分で出来るから」

「もうすべてを知り尽くしておる
ここもここも・・・」

向かい合い、見つめ合う瞳と瞳
唇、きれいに浮かびあがる鎖骨と
ヨンの指は艶かしく動く

「駄目…駄目…これから披露宴なんだ
から、それに無理は出来ないの知ってる
でしょう?」

「いや、すでに安定期とやらは
過ぎておる筈…」

「そ、そうだけど・・・優しく
してくれる…普段のヨンは激しいから」

ヨンの熱い眼差しを受け
ウンスは、しどろもどろになりながら
呟き、頬を染める

「でも…今は嫌よ・・・みんな来る・」

「まだ誰も来てはおらぬ…」と
独り言のように呟くと、一歩一歩前へと
進みウンスが一歩後退りと
「逃がさぬ」とばかりに腰をがっしり
捉え、そのまま熱い口づけを交わし
寝台になだれ込む




庭先では、ぼちぼちと殿居明けの
迂達赤と、市中見回りの途中で寄った
であろうトクマンが顔を出していた

「護軍は?」

「もうすぐお見えになると
思われるますが…」

「良かった…間に合いましたか
今日中にお会いし祝いを伝えたく
寄り道してしまいました…」

ぞろぞろと、市中見回り組の迂達赤が
庭先に顔を出す


「トクマン!!」

「・・・護軍・・」

「お前!役目を投げ出して来たのでは
あるまいな?」

少し遅れてチュンソクとサムが
屋敷を訪れ、トクマンの後ろ姿を
見つけると、チュンソクは
開口一番そう叫ぶ

エギョンと会話を交わしていた
トクマンは、振り返り身振り手振りを
交え必死に否定する

「ち、違いますよ…見回りです!
その途中で少しだけ寄り道しただけです
そんなことより、護軍、サム殿
本日は誠におめでとうございます
大護軍と奥方様のように
いつまでもお幸せに、一同礼!!」

トクマンは、振り向き後方に控える
迂達赤に向かい声を張り上げると
二人に、一斉に頭を垂れる

「ゴッホン…大護軍のところは
新房覗きなかったんですが、護軍の
ところは?」

「馬鹿者!!」

チュンソクは声を張り上げ
「バシっ」と頭を叩たたき尻を蹴り
トクマンは、前のめりによろけてしまう

「お前はまったく!」



「何を騒いでおる!」

「「大護軍!」」

ヨンの姿を見るや否や
皆が一斉その名を口にし、頭を垂れる。

妙にすっきりした顔のヨンと
その後ろを、微かに頬を染めたウンスが
庭先に姿を現す

「いえ、大護軍…トクマンの奴が・・」

チュンソクが、トクマンのことを
伝えると…ぎろりとトクマンを
睨み付け言葉を吐く

「トクマン!もう祝いの言葉は
伝えたか?」

「は、はい!・・・」

てっきり怒鳴られると身構えた
トクマンであったが、ヨンは頗る
機嫌が良いらしく、語尾は優しい
ものいいである

「ならば役目に戻れ」

「はっ!では失礼致します」

迂達赤見回り組は、一斉に頭を
垂れると屋敷をあとにする



あれま~終わらない・・・
あと一話お付き合い下さいませ


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