木春菊  [偕老同穴] 証 87 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています







すっかり夏の気配は成りを潜め
朝夕は、肌寒く感じる頃
チュンソクとサムの婚儀の日と相成った

大護軍であるヨンと、護軍である
チュンソクが王宮を空けるのだ
それなりの根回しをしなければ
不可能な話であった

先ずは、王様の許しを得
幼馴染みのアンジェに頭を下げ
叔母にも頭を下げ、トクマン、チョモ
他、古参の 迂達赤に激を飛ばし
漸く迎えた晴れの日である

ウンスは、既に緊張していた
媒酌人としての大役を果たしきれるか
すべてが疎いこの時代…
叔母に、あらまし教わったつもりで
いたが緊張からか、頭の中が
真っ白である

「どうしよう…ちゃんとやれるかなぁ」

「ウンス…そのように緊張せずとも
普段通りでよいのではないか?」

「でも・・・貴方に恥はかけれないし」

「型に填まらず略式で済ますと
チュンソクは言っておったような・・
故に緊張せずともよい・・」


ウンスも五ヶ月半を過ぎ
まだまだ目立たぬ腰回りであったが
それでも、ゆったりした薄紫色の
チョゴリを纏い、髪を結い上げる

ヨンは、上官としての立場上正装を
余儀なくされる。

「衣おかしくないかしら、ちゃんと
媒酌人に見えてる?」

「ああ、主役の嫁御より華やいで
見えておる、誰にも見せとうないが
媒酌人故に、夫婦(めおと)で
参列するのが習わし…仕方あるまい」

「・・一番喜んでいるんじゃない?
顔に書いてあるわよ…ふふふ」

「コッホン…余計な事は言わずともよい
参るぞ」

ウンスがにやりと悪戯な笑みを
浮かべヨンの顔を覗き見る
ヨンは、照れくさそうに咳払いを
落とすと、その肩を抱き
エギョンらに披露宴の支度を頼み
二人は輿に乗り込み高円寺へと向かう

「髪を結わずともよくはないか?」

「え?駄目よ、ちゃんと貴方の奥方って
風に見られたいもの…天界からきた
怪しい女、なんて思われるの嫌だもの」

「なんと!誰かに言われたか?
そやつ、今から出向き斬り捨てて
くれる!」

「ち、違うわよ、例えよ物の例え
まったく、気が短いんだから」

ヨンは、眉間に深い皺を刻み
今にも飛び出しそうな勢いでウンスに
問う

狭い輿の中
ヨンの膝の上に、ちょこんと腰掛け
揺れが伝わらないように
ふわりと抱きしめていたが
正装の鎧が邪魔をし、座り心地が悪い
もぞもぞと動くウンス

「ヨン…ちょっと痛いかも…」

「すまぬ、ウンスの身体に傷など
付けられぬ…大事ないか?」

「ええ…今のところはなんとか…
あとどのくらいかしら?」

そこに見えておるとばかりに
小さい窓を開け、ウンスを見つめる

見つめ合う瞳の筈が、いつの間にやら
ヨンの瞳の先には、ウンスの唇へと
おりてくる

「あ、今は駄目よ…紅が取れてしまう
から…でもでも帰りなら・・・ね?」

「真か!約束を違(た)えてはならぬぞ」

うんうんと頬を染め頷くウンス
それを見つめるヨンの頬も緩む


高円寺に着くと
ヨンとウンスは、腕を絡め境内へと
踏みいる
両家の二親は、既に揃いヨンとウンスを
快く出迎えてくれる

「これは大護軍、奥方…此度は
大役を快諾して下さり、誠に忝なく
さあ…こちらへ」

サムの父に案内され、通された部屋には
チュンソク、サムが二人揃い
満面の笑みを浮かべ招き入れる
チュンソクは幾分緊張気味に
顔をひきつらせてはいたが…

「本日は大変、お、お日柄もよく・・・
あ---舌噛みそう…ご挨拶止めても
良いかしら?」

「ふっっ、ウンス様お気になさらず
いつもの調子で構いませんよ」

「大護軍、奥方様本日は、ご足労頂き
誠にありがたく、略式にて婚儀を
済ませます故…畏まらずともよいかと」

「そう?じゃあ甘えさて頂こう
かしら…それにしても、お若いから赤の
衣がよく似合うわ…赤い頬っぺも可愛
らしいこと…これにも意味が
あるのよね」


サムの婚儀の衣は貴族らしく
伝統の花嫁衣装である
介添人に両腕を支えられ腕からかかる
布には、二姓之合 寿福之源と
描かれていた
略式とはいえ、一刻程時を費やし
晴れてチュンソクとサムは夫婦(めおと)
となった


「チュンソク…真にめでたい!
これより、お前に役目を丸投げするのも
減らさねばな…嫁御の鉄拳が飛ばぬよう
気をつけるとする」

ヨンは、そう言って人の前では
滅多に見せない白い歯を見せ微笑む

ウンスは思う

苦楽をともにした迂達赤の絆の深さを。
とても敵わないとも思う。

でも、私はわたし…赤ちゃんが
生まれ絆をもっともっと深いものに
するんだから・・・

あたりまえであろう

読功を用いた訳でもないが
ヨンのそんな声が聞こえた気がした…

※※※※※
二姓之合 寿福之源とは…

二人寄り添うだけではなく
二家族が寄り添えば幸せの元となる

と言う意味が込められているようです


ポチっとして下されば嬉しいです





にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村