木春菊  [偕老同穴] 証 50 | シンイ二次小説でんべのブログ

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王妃様から賜った、柑橘類をエギョンが
綺麗に切り分け器に盛り付け
閨へと運ぶ

「ウンス、食えるか?」

「ええ、頂くわ…王妃様のご好意を
無駄に出来ないもの・・・」

ヨンは、床に力なく横たわるウンスを
起こすと器から一つ手に取り
ウンスの口に運ぶ

「自分で食べれるから…」

「いや、俺が・・・」

大事なお役目を放り出してまで
ヨンはウンスに付きっきりだ
明日出仕するつもりでは、おるのだが
叔母の鉄拳が飛ぶのは間違いない

「もう・・悪阻なんだから
病じゃないし、大丈夫よ…過保護は
なんだから…」

口ではそう言うウンスも「あ~ん」と
口を開ける

「酸っぱい---でも美味しい」

口元にいくつもの皺を刻み
ウンスの声は裏返る

「ヨンも食べてみて、はいあ~んして」

「いや、俺はいい…ウンスが食べよ」

「共に苦しみを
味わうんじゃなかったの?」

「酸いのであろう?」

「ええ…酸っぱいわよ・・はいあ~ん
して…もしかして苦手?」

ウンスは小首を傾げヨンに問う

「酸い果実を好む男は、余りおらぬと
思うが・・・」

「言われれば、そうかも知れないわね」

妙に納得するウンス

「でも…ひと切れだけお願い」

ウンスのお願いに弱いヨン
しぶしぶ口を開けると、ぽいっと
ひと切れの、無花果(いちじく)が
舌の上に乗せられ、ヨンの口の中に
甘酸っぱい味覚が広がる

「どう?」

有無を言わさず口づけされると
その無花果が、ウンスの口の中へと
移動していた…

「ううっ---ずるい!」

「これはやはり女人が好む味であろう
俺はよい…食べよ」

「もう…仕方ないわね、ならちゃんと
朝餉頂いて来て…食は大事よ
悪阻が酷いから、一緒には行けないけど
折角作ってくれたんだから」

「ウンスが食えず苦しんでおるのに
俺だけが、のうのうと食えぬ」

「駄目、駄目ちゃんと食べないと
出仕して貰うんだからね!私は横に
なっているから…大丈夫よ」

ウンスには敵わぬとばかりヨンは
腰を上げ「すぐに戻る」と言い残し
居間へと向かう


「まったく…大きな赤ちゃんみたい」

と、ウンスはくすりと笑みを溢す




「ウンス…私だ・・・」

「えっ!その声は叔母様?どうぞ
お入りになって下さい」

静かに閨の扉が開くと、叔母がヨンに
気付かれまいと気配を消し入ってくる

「どうしたんです、叔母様?・・・」

「なに、王妃様が見て参れとな・・
悪阻が始まったと聞いたが大事ないか」

「ええ、仕方がありません
大体一月から二月で、収まる筈ですから
ご心配お掛けしてすみません…」

「あやつは朝餉であろう?戻る前に
私は帰るが・・・無理をするな
王妃様は幸いなことに、お変わりない故
しっかり養生すればよい」

「え?叔母様見てたんですか?」

「ああ、あやつに見つかると
煩いからの…気配を消し庭から
こちらに来たのだ…屋敷の者にも
気を使わすであろう」

「お役目、急に暇を頂きすみません
あの人まで・・・」

「あやつのすること理解出来ぬわ」

口ではそう言っては要るが
その顔は笑みを浮かべている


「理解出来ぬで結構だ!」

「「ヨン・・・」」

二人の声が重なる

「叔母上が気配を消したとて
俺を欺くことは出来ぬ、庭に降り立った
折から気付いておったわ」

「・・・」

「ウンスが飯も食えずおるのだ
お役目も、手に付くわけなかろう」

「この戯けが!嫁御の悪阻でお役目を
放り出すなど、情けない大護軍職を
返上せねばなるまい」

「ああ、いくらでも返上する
俺の一番は、常にウンス故、野に下り
平凡に暮らすのも一挙悪くはない」

「まったく、憎まれ口は相変わらず
減らぬな・・・」

いつもと変わらぬやり取りを
目にするウンス・・・

「叔母様もヨンもお互い大事に
思ってる癖に、素直じゃないんだから
・・・ふふふ」

「「ウンス!」」

どうやら息もぴったりの様子に
「ほら…」とウンスに冷やかされ
ヨンと叔母は
背を反り苦笑いを浮かべる



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