木春菊  [偕老同穴] 証 48 | シンイ二次小説でんべのブログ

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屋敷に戻り数日が過ぎた頃
ウンスの悪阻が突然始まる

「旦那様、奥方様朝餉の支度が
整っております、出仕の刻限が近付いて
おります、起きて下さいませ」

いつものように、閨の廊下の隅から
エギョンの声が、二人の耳に届く

「・・・ん?もう朝なの?」

「目が開いたか?」

いつものように、ヨンの腕の中で
目覚めるウンス
顔をひょいと上にあげると優しい
声とともに、優しい眼差しを
向けてくれる…そんな一時がウンスは
幸せを感じる

「うん…起きたわ・・・顔を洗って
支度をしなくっちゃ」

「ああ、そうだな、一日中そばに
おりたいが、そうも行くまい・・」

「もう…甘えん坊ね・・・ふふふ」

「・・長い月日離れていた故
その反動かも知れぬが、今は片時も
離れがたい」

ウンスはぐっと背伸びをし、それに
合わせてヨンは、囲っていた腕を緩める
毎朝の光景である
顔を荒い身なりを整え、二人腕を絡め
居間へと脚を踏み入れる

「今日は何かしら?エギョンの料理は
何でも美味しいから、待ち遠しいのよ」

「はい、そう思っていただけて
ありがたい事です…朝は身体を温めて
頂きたく、汁物を凝って作りまして
ございます」

卓の上には、少し大きめの椀が置かれ
中には、旬の菜っ葉や魚の骨で出汁を
取ったのか、いい香りが漂っていた

「いい匂い~…」と椀に顔をちかづけた
途端、うっと口元を押さえバタバタと
厠へと走るウンス

「い、如何したウンス…」

ヨンは慌てて後を追う

「旦那様…私くしも経験は
ございませんが、これが悪阻と言う物
ではございませんが?」

「そうなのか…」

「おらの母ちゃんが弟が腹に入った時
奥方様のようになっただ!
間違いねえ…あれは悪阻だ…」

「・・・・」

ヨンの後を追いエギョンとイルムが
走る

「ウンス!大事ないか!開けるぞ」

庭の隅に誂えてある厠の扉を
ヨンは何度も叩くが、返事がない為
扉を開けようとすると、ぎぃぃ--と
音をたて扉が開き
顔面蒼白のウンスがふらふらで出てくる

「テマン!!侍医を呼べ直ぐにだ!」

「は、はい!」

テマンは駆け出し、ヨンはウンスを
横抱きに抱え閨へと運ぶ

「おいら、桶に水を持ってくるだ
チョンス兄さんひゃこい(冷たい)水が
いいだ、すまねえが井戸から汲み上げて
けろ」

「ああ、分かった」

エギョンとサンミは
おろおろするばかりだが、親の悪阻を
目の当たりで見てきたイルムが
てきぱきと動く
折角覚えつつある丁寧語も忘れている
様子である

「・・騒がないで…悪阻だと思うから
初めての経験だから
私もよく分からないけと・・・」

「旦那様!冷たい水だ!少し飲ませて
けろ、口がさっぱりするだ…手拭いも
絞ってきただ、汗を吹いてけろ!」

イルムの大きな声が閨の端で聞こえる

「イルム、すまぬよく気がついてくれた
後は任せろ」

ヨンはそう言って
盆を受けとると、扉を閉め
中へと入って行く


「ウンス、冷たい水を…飲めるか?」

「そうね…吐いたから口の中が
気持ち悪いの・・頂くわ」

ヨンはウンスの首に腕を回し
上体を起こしてやると、すぐに
凭れる事ができるように背後に回る

「ほら、折角の冷たい水が口移しでは
効き目が半減する故、一人で飲めるな」

「うん、ありがとう」

湯飲みを受けとると
口を濡らす程度だが、ウンスはそれを
飲み込んだ

「ああ、冷たくて気持ちいい--
ありがとう…そんな心配しないで
人それぞれだけど懐妊すると
お母さんは、みんな通る道なんだから
大丈夫よ」

「そうなのか・・・」




「旦那様、侍医様がお見えに
ございますが、どう致しましょう」

「ウンス…閨には俺以外の男を
入れたくはないのだが、居間へ連れて
行くが構わぬか?」

「そうね…ここは私も嫌だわ
居間へ行くわ」

ヨンは再びウンスを、軽々と横抱きに
すると、居間へと連れて行く


イム侍医が診脈をし、変わりのない
事を口にするとヨンを始め皆に
安堵の表情が浮かぶ

「悪阻のようです、大事ありませぬ
医仙殿、口当たりの良い食べもの
食されたら如何か
果実でもいいのですし、香りがきつく
ないものをおすすめ致しますが」

「そうね…口当たりの良い果実って
何かあるかしら・・・」



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