「姐さん…い、痛い・・・」
「何言ってんだいしゃきとしな!
迂達赤護軍じゃないかい!
まっ、上官がウンス一筋だから
仕方がないと言えば、それまでだがね
なんだい?あんたが女人を連れてくる
なんて…どちらさんだい?紹介は
してくれないのかい!」
「・・某の許嫁、パン・サム殿と
申します、以後お見知りおきを・・・」
「お初にお目に掛かります、サムと
申します、宜しくお願い申し上げます」
「別嬪さんだね…ウンスも
別嬪さんだけど、サムさんは高麗風だね
大事にしなよ」
「あ、あたり前の事某の命より
大切なお方故、何があろうとお守り
する所存!」
「・・・命より?」
「むろん!!」
「嬉しゅう思います・・・」
チュンソクは、まっすぐサムを見つめ
言い切ると、サムの頬が蝋燭の灯りでも
分かるほど、赤く染まり両手で
顔を隠し俯く
『・・・愛らしいとは、このような折に
思うのだな・・・大護軍の心根が
今は分かる気がする・・・』
ぼぅ~とサムを見つめていると
マンボ姐さん特製のクッパが、どんと
音を立て卓に置かれる、匙を懐から
出し、二人に渡す
「頂きます…」と食らいつくサム
つい先程までの上品な仕草はどこへやら
「「・・・・」」
あんぐり開いた口が塞がらない
チュンソクとマンボ姐さん
「あ・・・お恥ずかしいところを」
「あんた…本当はお転婆さんかい?」
「・・・はい、王宮に仕える重臣の
娘と思い、慎ましく振る舞って
おりましたが・・・嫌いなんです
野山を駆けずり回る生活がしたい
・・こんなおなごは嫌いですか?」
「ハハハ…嫌いも何も素のままで
俺のそばにおって下され」
「アハハ…猫被ってもいずればれるがね
護軍がそう言ってるんだ、大船に乗った
つもりで居なさいな」
「は、はい・・・」
恥ずかしそうに俯き頬を染めるサム
「ふっ…サム都一のクッパ冷めないうちに
食おう」
「はい!」
チュンソクとサムは、互いにより近く
なれた気がし、より一層会話も弾み
離れがたい夜となった
「ただいま~」
ばたばたと門へと駆け寄るチョンス
エギョン、イルムとサンミ・・サルム姐
さん・・
「お帰りなさいませ、旦那様、奥方様
この人からは、無事と聞いては
おりましたが…お顔を拝見するまで
落ち着きませんでした…本当に
ご無事で安堵致しました」
「心配掛けてごめんね…」
「先ずは中へお入り下さいませ
湯殿の支度も、夕餉の支度も
整っております」
やっぱり屋敷が落ち着くのか
ウンスは嬉しそうに、辺りを見回し
二人仲良く
蝋燭の炎が揺れる居間へと向かう
「旦那様…奥方様、ぶ、無事のお戻り
安堵致しました・・・」
サンミが、かちこちに固まり
どうにか挨拶をし、ぺこりと頭を下げる
「・・・どうしたのサンミ?別人見たい
よ」
「おら…違う・・・私達サルム姐さんに
教えて貰いました…奥方様のように
すごい女人になりたいんです!」
「サルム姐さん??って」
「あら、ウンス…あたししか居ない
じゃないのよ、失礼ね~」
「なんと、お前に名が付いたのか?」
「そうよ、このお嬢さん方が付けて
くれたんだから、可愛い名でしょう
あたしにぴったりよ、ねえ…ヨン
可愛いって言ってよ…ふふ」
「寄るな!!」
スリバンと関わりを持ってからと
言うもの、どうにもサルムが苦手のヨン
語尾を強めサルムを睨み付ける
「サルム!私のヨンなんだから
触れたら許さないわよ!」
ウンスは、くねくねと腰をくねらせ
ヨンに近寄るサルムと、ヨンの間に
両手を広げ割って入る
「ぷっ…ウンスあんたには敵わないわね
じゃこちらのお兄さんにしようかしら
可愛いいわね…テマン」
「お、俺??・・男に興味はない!
大護軍---助けて---」
テマンは、くるくると居間を逃げ回り
サルムも、しつこく後を追い
皆の笑いを誘うのであった
皆で夕餉を囲み、ウンスは初めて
襲撃の話を耳にする
「え?本当に?ヨンは知っていたの」
「予測できた故サルムを忍ばせて
おったが…やはりな・・・」
「・・・何だか全部私のせいね・・
本当にごめんなさい・・」
「奥方様、私達はサルムさんのお陰で
こうして無傷でおります、ですから
気に病むのはお止め下さいませ
赤子に差し障りでもあれば
大変ですから」
「でも・・・」
「ウンス、俺らはよい使用人に恵まれた
のだ、エギョンの言うように
気に病んではならぬ…よいな」
「・・・・」
「さあさあ奥方様… 夕餉が冷めぬうちに
召し上がって下さいませ」
しょぼんと肩を落とすウンスを
あれやこれやと、皆が気を使い笑わせ
テマンとサルムの掛け合いを
派手にやってみたりと…賑やかな夕餉を
時を過ごしていた…
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