木春菊  [偕老同穴] 証 29 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています

すべての用意が整い、後は早馬の
到着を待つだけとなっていた
そんな昼下がり、兵舎にシウルが
ひょっこり顔を出した

「どうしたの、シウルさん
あの人 宣仁殿に行っているのよ」

「な~んだ、そうなのか…
なら伝えてくれ、例の薬売りが
到着したからって」

「分かった伝えとくわ
ねぇ、シウルさんその痺れ薬余分に
ないかしら?部分麻酔に使えると
思うのよ、えっと小さい刀傷とを
縫うときの薬なの、分かるかしら」

「うん、なんとなく分かる」

「マンボ姐さんに伝えて、王様の許しも
得てるし、成分を調べてからに
なるんだけど…」

「分かっよ、伝えておくよ、じゃあ
頼んだからな」

「うん、またね」

ウンスは顔の横で小さな手を
ひらひらと振っていた

シウルの鼻の下が、一寸は伸びたのを
護衛に立つテマンが、見逃す筈もなく

「そんな顔、大護軍に見つかれば大変だ
さっさと帰れ」

と、無理やり閉め出されたのである



「もう…テマン君、あの人に似てきたな
ね、見つからないわよ…ふふふ」

「駄目です!奥方様は誰彼構わず
愛想振り撒き過ぎですから、大護軍が
悋気を起こすんです!」

「は~い」

ウンスはテマンに背を向けペロリと
舌を出していた

「ちゃんと聞いてますか!奥方様!」

「聞いてるわよ、テマン君」

「何やってんだよ…テマン」

「なんだ、トクマンか…」

「何だわ、ないだろうよ
何をしてるんだと聞いてるんだ!」

「なんでもないさ…さっさと持ち場に
付けよ」

殿居明けのトクマンがふらりと
通り、二人の前にやって来る
だが…ヨンの私室の前にふらりと
来る訳もなく・・・


「何だか眠れなくてよ…」

「なんで、眠れないの?悩みごと
あるなら聴いてあげるわよ」

「奥方様聞いてくださいよ~」

「うんうん…どうしたの?あ!」

「トクマン!!」


気配を消し、ヨンがトクマンの背後から
すっと現れる。
当然ウンスには、ヨンが近づいて来るの
が見えているのだが・・・

「へ?・・・」

トクマンは、喉から不可思議な声が漏れ
恐る恐る振り返ると、そこには
鬼の形相を露にしたヨンが
仁王立ちしていた

すぐさま襟首を掴まれると
戸口から放り出される

「まったく…油断も隙もないとは
この事!トクマン!この方から
医術の道具を借り、俺がその口縫うて
やるが、構わぬな!」

ヨンはそう吐き捨てると
ぎろりとトクマンを睨み付ける

「ひぇぇぇ--」と両手で口を押さえ
トクマンは逃げる様に、その場を
後にする

「あれ?・・トクマン君何か話が
あったのに…眠れないって言っていたの
悩みごとでもあるんじゃないかしら」

「トクマンの事は気にせずともよい
それより、ウンス…出立が明後日に
決まりちと忙しく、戻れるのが
遅くなるが大人しく待っておるな?」

「ええ、待っているから…そう
明後日・・ね、分かったわ」


私室の戸口で、二言三言話をすると
ヨンは踵を返し戻って行くが
ふと振り返ると、ウンスが小さな手を
ひらひらと振り「行ってらっしゃい」と
満面の笑みを浮かべ見送っていた
その愛らしさに、ヨンの口の端が
上がる




一方屋敷では…



「俺もお供をすることになったんだが
女人ばかりで…エギョン大丈夫か?」

「旦那様のことだから、その辺は
ちゃんと考えて下さっているよ」

「そうだろうけど・・サンミとイルムも
いるしからな…そうだ、エギョン
木刀の使い方くらい、覚えておかない
か?」

「そうだね、頼ってばかりじゃ
旦那様に、ご負担をお掛けするね
やってみるかい!」

そう言ってエギョンは、ずぼんを
縫う手を止め、チョンスの後に続き
中庭に向かう


バシッバシッと、木刀がぶつかる音が
昼餉の後始末をしているサンミと
イルムの耳にも届いていた
二人は、なんの音だろうと小首を傾げ
へっぴり腰をさせながら
中庭を覗きに行く

「兄さん、姉さんか--びっくりした
べさ、何をしてい、いるんですか?」

もろに安堵の表情を浮かべ、二人は
駆け寄る

「なに、この人も行ってしまうだろう
だから…ちょっとは習っておけば
役にたつかなって思ってさ」

「・・ここにも悪人が来るんだべが?
おっかねえ(怖い)な、イルム…
どうするべ」

「サンミ、大護軍様の敵がごまんと
いるんだ…仕方がねえべさ
おら達も、迷惑掛けねえように
兄さんに習うべ、やるどサンミ!」

「んだども(そうだけど)・・・
おっかねえもんはおっかねえべさ…」



そう言ってイルムは腰の引ける
サンミを無理やり引っ張ると、納屋から
木刀を持ち出しチョンス、エギョンの
元に駆け寄り、稽古を付けて
貰うのであった


 
高麗時代の長さが調べられず
一寸(3㎝)と用いています
広い心でお読み下されば幸いです
m(_ _)m


ポチっとして下されば嬉しいです
↓(初めて私が画像加工に挑戦しました
下手だけど…(笑))




にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村