木春菊  [偕老同穴] 証 20 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「医仙様こちらのお方は?」

「え?あの人の私兵でテマン君よ」

ポンは、椅子に凭れ眠るテマンを
じっと見つめていた

「あら…ポンさんどうしたの」

「・・・へ?なんでもありません
ただ…可愛いい寝顔だなと思ったもので
すみません…」

・・・あらら、ウンス姉さんの
出番も近そうかしら…ふふふ



「奥方様…明日からは、出仕なさる
のでしょうか?」

「あたりまえよ、妊娠は病じゃないのよ
余程体調が悪くならない限り、出仕は
するつもりでいるわ」

「ならば、旦那様が戻るまで少し
お休みになって下さいませ
夕餉の折りには、お声をお掛け
いたします」

「そうさせて貰うわ、それから
ミントとアルと言うのよ、これから
私の護衛に付く二人なの、屋敷にも
ちょくちょく顔を出す事があると
思うから宜しくね」

「はい、分かりましてございます
屋敷の私らおなごでは、奥方様は
お守り出来ませんので、どうぞ
よろしくお願い致します」

エギョンはそう呟くと
ミントとアルに深々と頭を下げる

「みんな年頃も近いと思うから
すぐにお友達になれそうね
トギ、ポンさんありがとう、大丈夫
だから、明日典医寺で会いましょう」

そう言うとウンスは、ミントとアルを
伴い閨へと向かう
三人は閨の前で言葉を交わす

「医仙様、では私どもはこちらで
護衛に付かせて頂きます、ごゆるりと
なさってくださいませ」

「甘えちゃうけど、宜しくね
交代で、夕餉食べてちょうだいね」

こうしてウンスは閨の扉を開け
一人閨へと脚を踏み入れる


漸く授かった小さな命がウンスは
愛おしくてならなかった…だか
一抹の不安も抱いている

寝台の端に腰掛け「はあ~」とため息を
吐く


本当に生んでも構わないのよね
先の世からきた私が
この地で赤ちゃんを生んで
私が知ってるあの人の未来が
変わったりしない…?

一夫多妻のこの地で本当に
私だけ…確か…第二婦人が居た筈
第二婦人をこよなく愛し
一緒のお墓に眠ってる筈・・
じゃ私が正室なら第二婦人って誰?
私はあの人に愛されない
辛い生涯を送るの…

ん?ちょっと待ってよ
本当は、私はこの地に存在しない筈
でも…こいして居る!
私が存在する事によって、あの人の
運命が変わってしまったって事?
どうすれば良いの・・・分からないわ
あの人が戻ったら、話してみよう



皆の前では、明るく振る舞ってはいたが
一人になると、不安に押し潰されそう
になり、ウンスは知らず知らず
眠っていたのである


「ウンス・・」

優しく名を呼ばれた気がし
ウンスの意識は浮上しゆっくり瞼が開く

そこには心配気に見つめ瞳を
揺らすヨンの姿があった

「ヨ…ン、ごめんなさい
お迎えずにも出ず、眠ってしまった
のね・・・」

「迎えなど、どうでもよい
かわりはないか?」

「ええ…大丈夫よ」

「踞るように眠っておる故
案じていたが・・身体は大事ないか?」

「もう…そんな顔しないの…」

「・・されど、テマンが言うには
夕餉の折りに、声を掛けたが
返事がないと・・
ゆえに急ぎ戻って来たのだ」

「うっそ…お役目投げ出して
戻って来たの?」

「いや…チュンソクが戻ってきた故」


ヨンはそう呟くと寝台の端に腰掛け
ウンスの身体を起こし
その額に口づけを一つ落とした

「ヨン…話があるの…ちゃんと聞いて
くれる?」

「ああ…」

ウンスは知り得る限りのチェ・ヨン
大将軍の話をして聞かせた

第二婦人をこよなく愛し
一緒に眠っている事
自身が存在し続ける事で、先の世が
捻れてしまったかも知れない事
今不安に思うことすべて話した


「・・・ウンス、以前あの若者を
助けた折り、俺を殺す人を助けて
しまったと申しておった筈
あれはどう言うことなのだ?」

「・・・あのね・・

ウンスはこれだけは話すまいと
思っていたが、真剣なヨンの眼差しを
見遣るとウンスは重い口を、開かざる
を得なかった


「・・・・」

「ヨン?大丈夫…」

「・・俺は死なぬ貴女を残し逝ける筈が
ない!、手足の一本や二本なくても
構わぬ、心の臓が動く限り貴女の元へ
生きて戻る…改めて誓う・・
故に先の世など、気にしてはならぬ
・・・第二婦人の話だが
ウンスの世の大将軍と俺は違う
俺は、生涯ウンスただ一人
信じられぬか?」

「王命が下っても?」

「ああ、無論だ」

ウンスが心配そうに、ヨンの顔を
覗き見ると、ヨンは曇りのない
眼差しでウンスを見つめ言葉にしていた


「ウンス…口づけも叶わぬのか?」

「ううん…それは害がない…のよ…」

ウンスは頬を染めぽつりと呟くと…
「きゅるるる~」と腹の虫が
可愛いく鳴き、余計に真っ赤になり
俯くのである

「 ふっ、夕餉を食べねば、赤子が
大きくならぬぞ、参るとするか?
それに、明日は出仕するつもりで
おるのだろう?」

「え?良いの?」

「構わぬ、されど無理はしては
ならぬ、約束してくれぬか?」

こくこくと頭を上下に振り
ウンスは、にこりと微笑む

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