木春菊  [偕老同穴] 証16 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「大、大護軍・・婚儀の日には
屋、屋敷で大変な事を口にしたと
護軍に教えて頂きました!酒の席とは
いえ、取り返しの付かない事をしたと
深く反省しております!」

「・・・」

「大護軍…?」

「・・・確かに無礼講とはいったが」

そう言葉を吐くと、ヨンは椅子に背を
預け、腕を組み
眼光鋭くトクマンを睨み付ける

「はっ!不覚にもまったく記憶がなく
ご、ご無礼を致しました」

「・・・」

「お怒りごもっとも…如何様な処罰も
受ける覚悟は出来ております!」

トクマンは胸を張り、声を張り上げるが

「トクマン…久しく身体を動かして
おらぬ故、鍛練の相手をしてくれぬか」

「はっ!・・え?鍛練でございますか
まだ、練兵場を走れ~の方が・・」

ヨンの低い声は、トクマンが腰を抜かす
には、十分であった

「それだけは…いや…喜んでお手合わせ
願います!・・・」



ヨンの後を肩を落とし練兵場へと
姿を現すトクマン

「おい、大護軍が自らトクマンに
稽古を付けて下さるらしいぞ」

新兵らは、遠巻きに高みの見物と
洒落込むつもりでいるが…



「大護軍、いきます!」

「来い」

低く重い声を出すと、ヨンは瞼を瞑る
と、トクマンの気を探りる

敵う筈がない…でも一太刀でも討てたら
俺も先の夢をみてもいいよな…
隊長になる夢を・・・

そう思うトクマンだが
何を勘違いしているのか
トクマンも瞼を瞑り
ヨンの気を探る

バシッと、ヨンの持つ木刀が
トクマンの後頭部に炸裂する

「痛て…」

「お前は何をしておる!」

「え?大護軍のように
気を探れないかと、そうすれば俺も
上達する気がして・・・」

トクマンは後頭部を擦りながら
涙目で訴えていた

「はあ…まったく…お前は敵の
気を探る前に、殺られるぞ
隙だらけではないか! 」

トクマンの間抜け加減に
戦意喪失しかけたヨンだったが
新兵の態度を目の端で捉えると…

「よい機会故、新兵纏めて掛かって
来い、トクマンを笑う奴は許さぬ」

と、ヨンは新兵を睨み付け
低く重い声を吐き出していた

新兵は一所に集まり、鼻で笑う者
声を出し笑い、にやける者が
多数ヨンの目に止まったのであった



一方 典医寺では…

「一段落着いたわね、侍医ちょっと
兵舎に行っても構わないかしら」

「ええ、構いませんが何か急用でも?」

「違うの、お土産を渡したくて
あの人が留守の間、大変だったと
思うし、嫁として挨拶出来たらと…」

ウンスは恥ずかしそうに
ごにょごにょと、尻窄みしてしまう

「医仙殿、俺とて男故そのように
愛らしい顔をなさいますな、そのような
お顔は、大護軍の前だけにして下され」

「・・・別に意識したわけじゃないのよ
自然に出るんだもの…」

「俺は分かっておりますが、何も
分からぬ者は、勘違いされます故
お気をつけなさりませ」

「うん、忠告ありがとう、気を付けます
じゃ行って来ます」


ウンスは、侍医にひらひらと手を振り
ミントとアルと共に
土産の荷を持ち、兵舎へと向かう


はあ~医仙殿たったいま申した
ばかり・・・・

侍医は『悩みの種は尽きぬな』と
肩を落とすのであった


「ねぇ…二人はどんなスキンケア…
えっとお肌の手入れのことなんだけど
しているの?ミントさん」

「私でございますか…
これと言って、何もしておりませんが」

「え!それでこんなにつやつやなの
若いからかな…羨ましいわ」

「じゃ貴女もアルさん?」

「はい、私も何もしておりませんが…」

兵舎へ向かう道すがら
そんな会話をしているとトクマンが
血相変えて走って来るのが見えてくる

「ちょうど良かった奥方様、すぐに
兵舎へ」

「どうしたのトクマン君!」

トクマンは練兵場の出来事を
話して聞かせる

「兎に角急ぎましょう、アル!
典医寺に戻り、イム侍医に伝え
打ち身に効くお薬を貰って来て頂戴」

「はい、分かりましたが護衛が…」

「大丈夫よ、トクマン君もいるから」

「はい、では」

アルは 典医寺に走り
ウンス、トクマン、ミントは兵舎へと
駆け出したのであった



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