木春菊  [偕老同穴] 証 10 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「ごめんなさい、遅くなっちゃった
ちょっと旦那様の髭を剃るのに
手こずってしまって、ほら、石鹸が
ないから、滑りが悪くて…アハハ」

そう言ってヨンを横目で睨む真似をする

「ん?」と言う目付きで
ヨンは、罰が悪そうに後頭部を掻く



「人参を煎じてみましたが、こちらで
よろしゅうございましょうか」

卓の上には真っ黒い不気味な色の
湯飲みが人数分置かれている

「食前に飲むと効果があるのよ
先ずは、これを飲んでから昼餉を
頂きましょう」

「ウンス…俺は病知らず故、飲まずとも
良いのではないか?ちと匂いが…」

「駄目よ、その油断が命取りに
なるんだから、ちゃんと飲んで頂戴」

湯飲みが、皆の前に置かれると
ウンスが始めに口に運ぶ…

「苦い…ゴホッゴホッ・・」

「良薬口に苦し…まさしく、この事を
言うのであろう、されど苦い」

皆が同じ顔をしていた
眉間に皺を寄せ、顔を歪める

確か、高麗人参は乾燥させて
煎じた方が、エキスが出やすいし
身体への吸収が早かった筈だわ…

「エギョン、悪いけど人参乾燥させて
くれないかしら、それと今の半分で
良いわ」

「はい、ではそのように致します」



テマンと三人椅子に腰かけると
少し遅めの昼餉を食べ始める

卓の上には簡単な握り飯と
わかめすーぷが置かれている

「すみません、急でしたので
これくらいしか出来ず・・・」

「構わないのよ、気にしないで
急に帰って来たんだし、仕方がないわ」

「ありがとうございます…
奥方様が居ないと屋敷は
静か過ぎて、寂しゅうございました」

「あら、嬉しい…ふふふ
でも、本音は騒がしいのがいなくて
精々していたんじゃないの?」

ウンスは、下座に控えるエギョンに
悪戯な笑みを浮かべる

「そのような事・・・
それと、留守の間チェ尚宮様より
使いの者が参りまして、その…」

「え?叔母様がどうしたの?」

「はい、チェ尚宮様が庭の木に
熟れた桃が実るのを夢で見たそうでして
吉兆の兆しと仰せになり、その折
焦るのではなく、今から住み込みの
使用人を増やし慣れて貰う故
旦那様、奥方様がお戻りになられたら
マンボさんのところへ、脚を運ぶよう
にと、言伝てを預かっております」

「吉兆の兆し?」

「はい、旦那様」

「今でもこんなに幸せなのに
これ以上の吉兆って?・・・」

え?まさか…全然その気配ないんだけど
でも…そうだったら・・嬉しい…

ころころと表情が変わり
ウンスが、何かを考えている様子を
ヨンを始めとする皆が頚を傾げ
見ている

「どうしたのだ?ウンス…何を考えて
おる?」

「うんん、何にも…ただ吉兆って
なんだろうって、思っていたのよ」

「兎に角、マンボのところへ
今宵出向いて見ぬか?、叔母上と
マンボの紹介なら間違いなかろう
エギョン、チョンス部屋の支度をして
くれぬか?足らぬ物が有れば
用意を頼む」

「はい、畏まりました旦那様」

「うん、じゃあ夕餉はクッパで決まりね
楽しみ、あ!お土産も渡さなきゃ」

ウンスは、居間の隅に置かれた
風呂敷包みを取りに席を立つ

「マンボ姐さんにはいつもお世話に
なってるから、紅入れでしょう
師父さんには、お酒が好きそうだから
西洋のお酒を手にいれたの…
あと、スリバンの若い子らと
白い人には櫛をね…ふふふ」

「マンボに紅入れとな?」

「あ、ヨン失礼よ、女は歳を重ねても
きれいでいたいものなの、商売してるん
だから尚更よ」

「ウンスは、化粧などせずとも素顔の
ままでよい…」

「え?あ、ありがとう」

ウンスのあとを追うように立ち上がり
そばに、寄り添うヨンを見上げ
恥ずかしそうに、頬を染める


東屋で一時を過ごす二人

「ねぇ、東屋の周りに苗木を植えない?
今年は無理だげと、何年か先には
綺麗な桜や、四季折々の花が咲いたら
と思ったんだけど、駄目かな?
お土産にたくさん使って、ぴんちかな?
えっと…なんて言ったら伝わるかしら
ん…あ、懐具合!そうよ懐具合が
寂しいとか」

「ふっ…ウンスが言うぴんちとやらでは
ないゆえ、案ずることはない」

「そうなら良いんだけど、折角東屋を
建てて貰ったから、もっと過ごしやすい
空間にしたくて…何年か先には
子供も大きくなり、その時に皆で
見れたらって思って・・」

「この東屋を建ててくれた棟梁ならば
その辺のところ、詳しいのではないか
棟梁に声を掛けてみる故、子ができ
三人、四人、いや俺らも入れて
十人でも、俺は歓迎するがな」

「十、十人!と言った?
子供は八人…それは無理だわ
私の歳も考えてよ…」

「同じ歳であろう?」

「そうよ、でも三十廻って…絶対無理」

二人は心地よい風が通り過ぎる
東屋で先の夢を語り合い
そして見つめ合い、ゆっくりとした
時を過ごしている


「そろそろマンボのところへ行かぬか
もう時期日も暮れよう」

「うん」

辺りが夕焼けに包まれる頃
二人は漸く腰をあげる
手を絡め、市井を抜けマンボが
営む飯屋へと脚を運んだ


「マンボ姐さん!ただいま」

「ウンスじゃないかい、無事だったのか
折角の旅が、あんな女将の欲の為に
酷い目に、あわされたもんだよ」

「ああ、ジホとシウルがおった故
後始末もせず、すまなかった」

「構わないさ、私らの知らない薬だった
だろう…それが気に食わないのさ
開京、いや高麗中の薬は把握している
つもりでいたから腹がたって
番所へ突き出してやったよ、あの薬は
痺れ薬らしい、元の薬売りから
仕入れたらしいから、ちょっと待っと
きな、調べているから」

「ああ、すまぬが頼む
何か分かれば、俺に知らせてくれ」

「ああ、そうするよ、クッパ食べる
だろう…ちょっと待っときな
開京いちうまいクッパ食わしてやりか
ら」

「うん!…ふふふ」



「はいよ、熱いから気を付けなよ」

いつものように
匙を懐から取り出すと二人に渡した

「チェ尚宮から頼まれてね…二人に
なるが構わないかい、里が遠くて
住み込みになるんだが」

「ああ、構わぬ」

「そうかい、身元は間違いない
私が太鼓判を押すよ、クッパ食っときな
連れて来るから」

「お願いします…ふふふ」


すぐにマンボ姐が二人の
娘を連れ戻ってくる

「紹介するよ、おさげ髪の娘がイルムで
短い髪の娘が、サンミって言うんだ」

「まあ…可愛らしい二人ね」

「大護軍と医仙様だ、あんたらが
お仕えする、チェ家の当主様だよ
ご挨拶してごらんよ」

「…はい、あ…あの・・・」

「マンボ姐さん、無理させないで
初対面なんだし、で、いつから
屋敷に来てもらえるのかしら」

ウンスはまだ若い二人に
姉のような慈しみに溢れた眼差しを
向け、優しく問う

「おきれい・・・」

まだ十代半ばのサンミがぽつりと呟く



長くなりそうな予感・・・
一旦切ります、明日?明後日?くらいに
飛ぶかもですε=ε=(ノ≧∇≦)ノ

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