木春菊  [偕老同穴] 121 | シンイ二次小説でんべのブログ

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いよいよ明日は晴れの日である
だが、まだ都に入ったとの知らせは
届いて来ない…

今日はあいにくの雨


「はあ~いつも雨が降る瞬間は好きなん
だけど、明日はお願い晴れて頂戴」

ウンスは雨雲に手を合わせ
神頼みをしていた

「さて、行きますか…」

そうして自身の頬を軽く叩き
自身に喝を入れ輿に乗り込む

「間に合うかしら…」

ウンスは独り言のように呟く

「きっと旦那様は額に汗し
チュホンで駆けております、ですから
ご安心下さいませ」

「いやだ…チョンス聞こえてたの」

「はい、奥方様…明日がいよいよで
ございますね…晴れますとも必ず
晴れねば、俺が天の雲を引き裂いて
ご覧に入れますよ」

「あら…雨が降ったらお願いするわね」

「奥方様…今日は 典医寺にお泊まりに
なるのですね?」

「ええ…叔母様がおなごの支度には
時が掛かるから泊まれと言われたから
悪いけど、屋敷の事はお願いね」

「はい…」


御者を努めるチョンスとあれやこれやと
話を繰り返すと、刻の過ぎるのは
早いもので、知らぬ間に王宮の大門が
見えてくる

「夕刻、夕餉をお持ち致します」

「悪いわね…お願いします」


チョンスが頭を下げる中、ウンスは
大門を潜る

「叔母様、おはようございます」

「おはよう、ウンス泊まり支度は
出来ておるな?」

「叔母様、子供じゃないんですよ
大丈夫ですから…ふふふ
あの人から知らせは来ませんか?」

「まだ来ぬ…」

いつものように、叔母が大門で待って
いてくれるそんな優しさが、ささくれた
心を解き放ってくれるが
やはり心配は尽きないウンス…

「参ろう…」

「はい」


叔母と共に坤成殿に向かう

皆が憧れの大護軍に、明日は嫁ぐ身で
ある為、すれ違う女官には
羨望の眼差しで見つめられる

「叔母様…なんだか女官の皆さんの
視線が凄いんですけど」

「気に病むな…あやつに嫁ぐのだ
憧れの的であろう」

「あの人、そんなに…えっと好まれて
いるんですか?」

「であろうな…此度の戦の圧勝も
追い風であろう、されどあやつは
ウンス以外女人とは見ておらぬ」

無事に嫁ぐ事は出来ても、悩みは
尽きないのだろうと、ウンスは
ため息を溢す



「王妃様、おはようございます
早速ですが診脈させて下さい」

いつもの様に脈に触れ瞳を瞑る

「少し脈が乱れております
何か気に病むことでも有ったのですか」

「義姉様、妾は嬉しゅうて眠る事が
出来なんだ…いよいよ明日じゃ」

「はい…王妃様、お陰様で・・でも
今は大切な時期です
無理はなさらないで下さい、王妃様の
御身体が心配で、暇を返上するかも
しれないですよ」

「そうじゃなぁ…義姉様ならやりかねぬ
でのぉ~大護軍に恨まれとうない
言う事を聞くとしよう」

王妃様は口元を袖口で隠され
フッと微笑まれた

ウンスも悪戯な笑みを浮かべ王妃様を
見つめていた


中庭を通り典医寺に戻る道すがら
明日の準備に取り掛かる女官が
世話しなく動き回る

「雨なのに…」

「医仙様、お気にならさずとも…女官は
これがお役目ですから…幸い小降りに
なってきております故」

「でも…悪いわ、私も手伝おうかしら」

「それはなりませぬ、主役の手を
借りた等と噂が立てば、女官はお咎めを
受けます、どうぞ堪えて下さいませ」

「そうなのね…分かったわ」

武閣氏のヘジンに諭されウンスは
見ない振りで通り過ぎる
だがウンスの基本信念には反する為
唇を噛み締め静かに頭を下げる


「イム侍医も他の医員の方も是非
屋敷の方にお越し下さいね」

「無論伺いとう存じます
王宮での婚儀には
我々は参列出来ませぬ故、楽しみで
なりませぬ、皆もそうであろう?」

「ふふふ…なんか照れる・・」

イム侍医が他の医員に問い掛けると
皆が頷く、その中にはトギの姿もある

つかつかとウンスのそばまで歩みより
トギは指を動かす
『本当におめでとう、一薬員として
ではなく、友としてウンスの婚儀を
祝いたい』そうウンスに伝える

「トギありがとう…嬉しい」

そう言ってウンスはトギに抱き付く
普段は天界式ハグをあまりよしとは
しないトギだが、この時ばかりは
ポンポンとウンスの背を叩きそれに
答えている



一日があっと言う間に過ぎ
チョンスが運んでくれた夕餉を
一人食べようとしていた時
ウンスの私室を叩く音がする

「医仙様テマンです、大護軍は
都の外れに入りました」

パターンと派手に私室の扉を開ける
ウンス

「ほ、ほんとなのテマン君?怪我は
ないの、みんな無事なの?」

「はい!然程大きな怪我もなく
皆も無事です…ただ都に入った為
駆け抜ける事が出来ないから
婚儀で会おうと大護軍からの言伝て
です」

「そう良かった…テマン君知らせて
くれて本当にありがとう
これで安心して眠れるわ、テマン君は
戻るの?」

「はい、戻ります」

「そう、あの人に伝えてくれる?
明日待ってますと」

テマンはニコッと微笑み頷くと
チェ尚宮に知らせる為、坤成殿に向け
走り去って行く

「はあ…良かった…安心したら
お腹空いちゃった・・さあ夕餉を頂き
湯殿をお借りしなくっちゃ」



ウンスが床に付き数刻が過ぎた頃
護衛に付く 武閣氏が無言でその場を
後にし、私室の扉が静かに開く




いつもの時間にもう一話アップします


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