木春菊  [偕老同穴] 111 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています

「お住職様、発たれるのですか?」

「ああ、都までは十日をみておかねば
なるまいて…婚儀に遅れては
ここに眠る二親に、申し開きが出来ぬで
な…」

小僧に問われ、土葬に手を合わせて
いた住職がぽつりと呟くと
再び瞳を閉じ胸の内で語り掛けていた

『永久の契りを結んで参る故、見守って
やればよい…』

『住職…我が息子ヨンを宜しく頼む』

住職にはそんな声が聞こえた気がした

「ん?・・今の声は…まあよい・・
では行って参る、戻るまで後の事は
然りと頼みましたぞ」

鉄原からヨンとウンスの契りを結ぶべく
住職二人が旅だった頃・・・




「ウンス…起きぬか・・・」

「・・ん?…ヨン…」

ウンスの瞳がゆるりと開く

「着替えと朝餉をテマンが運んでくれた
腹は空いておらぬか?」

「ぅ………」と腕を上げ伸びをすると
その瞳に飛び込むのは、罰が悪そうに
苦笑いを浮かべるヨンの黒い瞳だった

ウンスは昨夜の事を思い出しガバッと
起き上がる!

「もう~知らないから…当分お預けよ
お、あ、ず、け、・・・」

ウンスはそう言うと寒さからぶるっと
一度震え、着替えを始める

「それはなかろう?俺は認めぬ」

ヨンはそう呟くと、寝台から腰を上げ
ウンスの背後からふわりと腕を回す

「寒いのであろう・・」

「うん…ありがとう、冗談だけど
ここではもう禁止だからね、いくら
泊まり医員の部屋が、反対側にあったと
しても、絶対いや・・」

「屋敷なら構わぬな…」

「まあ…屋敷なら・・・」

ウンスは、恥ずかしそうに俯き
ぽつりと呟く

朝餉の握り飯を二人で共に食べ
ヨンは兵舎へと赴き、ウンスは典医寺へ
と顔を出す

「おや、医仙殿昨夜はお泊まりでしたか
急患もおらぬ折りでしたものを」

「ええ、あの人のお役目が遅くなった
もので…あ、何も変な事はしてません
からね、大人しく二人で休みましたよ」

目敏い侍医の指摘にウンスは身振り
手振りで大袈裟に否定していた

『分かりやすいお方だ…これでは
まるわかりではないか・・・』

「え?侍医、何かおっしゃいました?」

「いえ、何も・・・」


それぞれがお役目に専念する頃
カン・ヨンジュが典医寺を訪れる

「カン殿…」

「侍医、本日より出社しようと思うてな
お許しを頂きに参った次第、診ては
貰えぬか?」

侍医は、薬房でトギと部分麻酔作りに
精を出すウンスを呼びに行かせる

「医仙様、カン殿が診て欲しいと
典医寺の方に要らしておりますが」

「え!カンさんが…分かったわ
すぐに戻ります」



「カンさん…」

「おお、医仙殿、久しいの…息災で
おりましたか?」

「はい、お掛け様で…なんだか身内の
会話のようですね…」

「医仙殿は身内も同然!わが娘のように
思うておる」

ウンスは具合が良くないのかと
血相変えて、駆けてきたが
元気な様子に拍子抜けをし、苦笑いを
浮かべる

カン・ヨンジュの診ている侍医が
太鼓判を押す

「でもカンさん、油断はいけませんよ
完治とは、まだまだ言えないのが
癌、いえ不治の病ですからね」

「十分心得ておる故無理はせぬ
屋敷におっては、医仙殿の婚儀が
拝めぬであろう…大護軍と王宮にて
執り行うと、わしの耳にも届いておる
命の恩人、いや娘が嫁ぐ想いで参列
致したく…そう思うてな」

「ありがとうございます…カンさん」

「侍医、医仙殿世話になった」

カン・ヨンジュは二人に一礼し
王様に拝謁するべく、宣仁殿へと
踵を返した




「チュンソク?胃の府の痛みの元を
俺に話してみろ、さすれば痛みも
和らぐ故・・・」

ヨンは兵舎の私室で、チュンソクと
向き合い、探りを入れようとしていた


ポチっとして下されば嬉しいです





にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村