木春菊  [偕老同穴] 93 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「リ・ヤン!いい加減にせぬか!」

珍しく声を張り上げる王様・・
重臣らの顔がひきつる

「・・王様、間者など大袈裟で
ございますれば、ただ・・・」

「ただなんなのだ、有り体に申してみよ
王様を煩わせるなど、言語道断!」

ヨンが扉を開け宣仁殿に脚を踏み入れた

「大護軍!医仙殿のそばにおらずとも
よいのか?」

「はっ!子細はのちほど、先ずは
間者が誰なのかすべて話して貰う!」

「間者などと・・ただ坤成殿の様子が
慌ただしく感じ、女官を潜り込ませた
だけであります、決して王妃様の
御身を傷付けるためではありませぬ」

「ドチ、その女官をこれへ連れて参れ!
厳しく断じてくれる!王妃はまだ
懐妊初期、医仙殿の話では、今が一番
不安定であるそうだ、その王妃のそばに
そのような得体の知れぬ者は置けぬ」

「王様、その女官は我が身内
どうか寛大なるご配慮を賜りたく
お願い申し上げます」

リ・ヤンは深々と頭を垂れる

すっと姿を消したアンドチが女官を
連れ戻ってくる

「その方か!名を申せ」

「ミントと申します」

「王様、某が申し上げても」

ミントが王様の御前に膝まつき項垂れ
顔を上げる事が出来ずにいる

「構わぬ」

「はっ!その方武芸の心得は?」

「め、滅相も御座いません、大護軍様
私めは、叔父に頼まれ致し方なく
王妃様のご懐妊を、口にしたまでに
過ぎません・・・今は悔やんでおります
れば、どうか寛大なるご配慮を・・
お願い申し上げます」

ミントは床にひれ伏し涙ながらに
王様とヨンに向かい頭を垂れる

ヨンは気配を消しミントの後方から
鬼剣の鞘を振り下ろす、すると
さっと身を翻し、ヨンを見上げ再び
ひれ伏す

「大護軍様、お戯れはお止め下さい
ませ」

「その方かなりの強者と見た、俺が気配
を消しても見破る!されど・・」

「今は亡き兄に教わりし事でございます
口癖のように、女人とて我が身を守る
術は心得ねばならんと・・」

「兄の名は?」

「ドンゴでございます・・」

「・・・・!」

ヨンの思考が止まる・・
遠い昔の苦い記憶が甦る

「大護軍?・・」

王様が幾度かヨンの名を呼び我に返る

「・・すみませぬ、この女官某に
お預け願えませぬか、幾つか問いただし
たく、子細はご報告致しますれば
お願い申し上げます」

「構わぬが」

「はっ!・・迂達赤、この女官を
チェ尚宮の元へ連れて参れ!某も
後から行くと伝えろ」

迂達赤の一人がミントを連れ退室する

「王様、暫し退室のお許しを願いたく」

「相分かった、許す」


ヨンは一礼すると 宣仁殿を後にし
チェ尚宮の元へ向かう


チェ尚宮の気配をたどりある一室の
前にヨンは立ち竦む

「如何した?早よう入れ」

「すまぬ、叔母上」

部屋に入ると、武閣氏数名に周りを
囲まれ、椅子に座らされ項垂れている
ミント

「この女官何者なのだ?ただならぬ気を
感じるが・・」

「叔母上、赤月隊は知っておろう」

「実態の子細は知らぬが、お前がおった
事は無論知っておるが」

「その仲間だった男の妹のようだ・・」

チェ尚宮はそばにいた武閣氏と
ミントにも他言無用ときつく言い渡し
もし漏れる事あらば、死をもって
償って貰うと言い渡した


「その方何ゆえ王宮に潜り込んだ
有り体に申してみよ」

「潜り込んだなどと誤解にございます
私は、兄が風の頼りに亡くなったと知り
リ殿の親戚筋の養女になり、生きて
行くため、王宮にあがっただけで
ございます、リ殿の頼みを断り切れませ
んでした・・」

「されど、リ殿の親戚ならば王宮に
あがらずとも屋敷で暮らせるであろう」

「いえ、元々使用人が欲しくて、私を
養女にしたようでした・・
食事をする間も、寝る間もなく
身を粉にし働きましたが・・・
倒れてしまい、リ殿を頼り王宮に
上がらさせて頂いたのです
そんな恩があり断りきれず・・・
誠に申し訳ありませんでした」

ミントは椅子からおり床に
頭を擦り付け、チェ尚宮とヨンに
頭を下げていた

「叔母上、この女官、武閣氏として
支えさせてはどうだ?兄のドンゴは誠実
な男だった故・・妹ならば間違いなか
ろう」

「身元を確めてからだが、その方名を
なんと言う」

「ミントと申します・・チェ尚宮様
兄と大護軍様の仲間だったとは
如何なることでございましょうか
兄の最後が知りたいだけです!
決して他言は致しません、教えて
下さいませんか?」


「・・・そなたの兄ドンゴは、勇猛果敢
に、敵に挑み・・見事な最後を
遂げた・・それしか教えてやれぬ
それと、すまぬが墓は教えてやれぬ」


ヨンは唇を噛みしめ床を睨み付けた
鬼剣の鞘がガシャリとなった

「そう言う事だそうだ、ミント堪えて
やって欲しい、大護軍とて辛い思いと
思うておる筈、すまぬな・・」

床に座るミントの肩に手を置き
チェ尚宮はポツリと呟く


「叔母上、戻らねばならぬ
王様には許しを貰う故頼まれてくれぬ
か」

「ああ、すぐに身元を確めそれからだが
任せろ」



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