木春菊  [偕老同穴] 81 | シンイ二次小説でんべのブログ

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市井を抜け屋敷に着いたのは
まだ日が沈む前だった

「ただいま~」

ウンスの声にテマン、チョンス
エギョンがドタドタと門扉まで駆け出し
て来る

「申し訳ありません、お出迎えせず
旦那様、奥方様お帰りなさいませ」

「いいのよ、こんなに早いとは
思わないものね・・ふふふ」

「はい、テマンさんがチュホンを
連れ戻って来た折も
あまりに早いお戻りで驚いておりました
が、旦那様お役目ご苦労様でございま
した」

「ああ、留守の間ご苦労であった
幾分迷惑を掛けた様だが、よく言い付け
守り通してくれた、感謝しておる」

ヨンは軽く頭を下げる
そしてチョンスとエギョンを見つめ
胸の内に思う
『この二人でなければ、ウンスを
屋敷をいや、屋敷など要らぬが
守る事は出来なかったやも知れぬ
ありがたい』と自然に目線が
ウンスに向く『この方はどれだけの
人を虜にするのだろう、ちと妬ける
気もするが・・・』

「ん?どうしたの」

「ん?、別段特に・・・」

「さあ、お寒うございましょう
中へお入り下さいませ」

ヨンがウンスの手を取り中へ脚を
踏み入れるとウンスがそれを止める

「あ、ちょっと待って先に上がるわね」

そう言って、ウンスは屋敷に
ヨンより先に脚を踏み入れくるりと
振り返る

「お帰りなさいませ旦那様・・
剣をお預かり致します」

ウンスはそう呟くと外套の袖口で手を
覆い両手をヨンの前に出す

「ああ、いま戻った・・・」

ヨンは戸惑いながらも鬼剣をウンスに
渡す、ウンスは鬼剣に指紋が付かない
ように、大事に抱え太刀掛台へと
納める

「・・・どうしたのだ?」

「エギョンがやってくれていたわよね
でもこれは屋敷の奥方がするんで
しょう?だから・・ふふふ」

ウンスは笑みを浮かべヨンを見上げる
そんなウンスの手を取り歩くヨンが
振り返りウンスの耳元で
ヨンが小声で呟く

「ふぅ、今宵は仕置きをせねばならぬな
俺を妬かせた咎で召し捉える」

「え?何も悪い事してないわよ」

誉めて貰えると期待していた
ウンスの頭はなんで?どうして?
が渦巻きヨンを見つめていた

「夕餉まで刻限がありますから
温かいお茶でもお持ち致します」

「そ、そうね、旦那様疲れて
いらっしゃるから湯浴の支度も
宜しくね」


ヨンとウンスとテマンが居間で寛いで
いると、「湯浴の支度が整いまして
ございます」とエギョンの声が掛かる

「ウンス、背を流してくれぬか?」

「え?・・そうね、一人じゃあ
大変よね・・テマンも後から入ってね」

二人は居間を出、湯殿へと向かう

「ウンス共に入ろう、ん?」

「でも、まだ日が高いから恥ずかしいわ
よ」

「もう十分知り尽くしておる故
恥ずかしがることなどないと思うが」

ヨンはそう呟くとウンスを見つめ
にやりと口の端を上げる

「もう~馬鹿!知らない!・・・」

ウンスはヨンの腕をぽんと叩き
湯殿へ向け一人で駆け出す


「ヨン・・背中向けて洗ってあげるか
ら」

「いやウンスを見ていたい・・」

「駄目よ、ここは後からテマンも使う
のよ、だから閨まで我慢して、ね?」

ぷぅ~と口を尖らせヨンは
しぶしぶ背を向ける

「楽しみにしておる・・・」

「え、なんか言った?」
『もう~馬鹿・・・』

ウンスは胸の内で呟くと
自身の顔が火照るのがわかる

「さあ、お仕舞い!先にあがっていて
私も洗うから」

「手伝うか?」

「いやよ、それだけでは済まないから
さっ早くあがって、邪魔よじゃあま」

ウンスはヨンの背を押し湯殿から
追い出すと、頬を染めながら
丹念に身体を清めていた・・・

髪をくるりと纏め居間に戻ると
夕餉の支度が整っていた

「随分と早い夕餉ね、待っていてくれた
の?」

「あたりまえではないか、五日ぶりなの
だ、皆で頂く、チョンスもエギョンも
座れ、礼を言わねばならん」

「はあ・・それでは失礼致します」

困惑顔を浮かべ座るエギョンとチョンス

「チョンス、危ういところこの方と
カン殿を助けたと聞いた!世話を掛けた
そしてエギョンこの方が盾になろうと
したとスリバンから聞いた
よく止めてくれた、二人とも礼を言う」

ヨンは二人に頭を下げる

「ウンス、また無茶をしようとしたようだな、シウルも驚いておったぞ」

「え?し、知らないわよ・・
シウルの見間違いじゃないかな・・・」

ウンスはエギョンとチョンスに片目を
瞑りウインクを送るが・・・意味を知る
筈もない二人、無論ヨンやテマンも
知らない・・

「奥方様どうさるたのでしょう?
ごみでも目に入られましたか」

エギョンは不思議そうに小首を傾げる

「あ、そうなのよ!ごみがねチクチク
と・・・」

ウンスは「はぁっ」と小さなため息を
吐き肩を落とす

「此度は大事に至らず済んだが
ウンス無茶はするな!俺の心の臓が
いくつあっても足らぬ」

「はぃ・・・」

小さく肩を落とすウンスを目元緩め
ヨンは見つめていた

「では、皆で食うぞ」

質素な夕餉だが、皆で食べると
特に愛しい人と食べると
こんなに美味しいものかと・・・
改めて感じるウンスであった


いつまでたっても、腰をあげる素振り
のないウンスにヨンはやきもきして
いる

「ウンス?流石に俺も疲れた
そろそろ閨に参らぬか・・・ん?」

「まだ早いわよ・・日が暮れたばかり
だから、もう少し、だって皆で食べると
美味しいのよ」

確かに日は暮れたばかりなのだが
「う~ん?」とヨンは考える

僅かな刻限が過ぎた頃ヨンの頭が
ウンスの肩に凭れ掛かる

「ん?ヨン?寝ちゃったのヨンってば」

流石に箸く置くウンス
静かにかつゆっくりとヨンを揺ってみる
が返事は返ってこない

「疲れてるみたいだわ、ごめんなさい
先に休ませて貰うわね」

静かにヨンの腕を自身の肩に回す

「テマン君肩に貸してくれる?
一人じゃ無理だわ・・」

「はい」

大きなヨンを小さい二人が肩を貸し
居間から閨までの廊下を歩く

ふとテマンが衣を引っ張られる
感じがする
目線を衣に移すとヨンがしっしと
手で追い払う仕草をしていた・・・

『・・・?起きている?俺にあっちへ
いけと・・・!!はい、分かりました
邪魔ものは消えます』

テマンはそっとヨンの肩を外し
その場からウンスに気づかれぬよう
後ずさりする、その際
ヨンの片頬が微かにあがったように
テマンには見えていた


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皆様こんにちは

いつもお寄り下さり誠に
ありがとうございます

あまり降らない西日本が大雪のようです
が、皆様の里はいかがでしょうか?
我が里は止みました
被害が大きくならないように
お祈りしております


で、久々に今宵20時に別館へと
ご招待したいと思います
宜しければお越し下さいませ


でんべ


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