木春菊  [偕老同穴] 80 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「俺だ、ウンス!大声を上げるでない」

ウンスは、愛しいその声に瞳を開くと
ヨンが無精髭で、目元を緩めウンスを
見つめていた

「ヨン!!」

思わず大声が出そうになるウンスを
ヨンの大きな手が再び塞ぐ
互いに瞳を左右に動かし、愛しい人を
捉える

「ヨン、どうしたの?まだ五日目の昼よ
戻って来たの?また行っちゃうの?」

ウンスは小言で、矢継ぎ早にヨンに
問う

「役目を終え戻って参った」

「本当!?もうどこへも行かないの?
そばに居てくれるの?」

「ああ、無論だ!」

「ヨン!会いたかった・・・」

「ああ、俺もだ」

二人は互いの温もりを求め抱き締めあっ
た、ヨンはウンスの香りを胸いっぱいに
吸い込み、ウンスはヨンの広い胸に
抱(いだ)かれる、そして・・・

脇目も触れずヨンはウンスの唇を
貪り始める

「・・ヨ・・ンだめよおお・・きゅう
よ」

「構うものか!」

「誰かに見られたら・・・」


「バシッ!」と後頭部を叩かれ
ヨンは我に返り振り向く

「お、叔母上・・・」

「この戯けが!! ウンスが消えたと
武閣氏が飛んで来たわ!よもやと思い
お前の気を探ると、王宮内にあるでは
ないか!この叔母の気配にも気づかず
まったくお前は・・私が間者なら
今ごろお前は死んでおる」

「気づいておったが・・その・・
なんだ・・止める事が出来なんだ・・」

ヨンは後頭部を押さえながら、しどろも
どろに答える

「ふんっ!ウンスがおらなば
生きてはおれぬのか!この腑抜けが!」

「ああ、生きて行けぬ悪いか・・」

ヨンは強がりを口にするが
罰が悪そうに天を仰ぐ

「もうよい・・王様の拝謁もまだで
あろう、まったく、 迂達赤の一人が
大門でのびてるそうだ、行って
どうにかしろ」

「分かっておる!ウンス拝謁を済ませ
る故 典医寺で待っておれ迎えに参る」

ウンスに瞳を向けヨンは呟き
それに答えるように黙って頷くウンス

「屋敷での事、聞いたか?」

「ああ、シウルから報を受けた
当主の俺がおらぬ間に訪ねるとは
許せぬ!!ウンスやカン殿が無事と聞き
安堵致したが顔を見るまでは、気を揉ん
でいた」

「そうであろう、チョンスを誉めてや
れ」

ヨンは黙って頷く

「身なりを整えよ、その成りでは
王様の御前には出れまい」

叔母はヨンをみやる
無精髭を生やし、雪を被り髪の毛は縮れ
櫛も通さずまだ濡れている
衣はよれよれ、どれ程急ぎ戻って来たか
が窺えた

「分かっておる、行って参る」

ウンスは行ってらっしゃいと
声には出さず手を振り見送る


一方王宮大門前では・・

「チュンソク護軍聞いて下さいよ~
二日ですよ、シウルから報を聞いた途端
飲まず食わず眠りもせず二日走り
続けました・・俺もうだめです
歩けません・・・」

大門前の脇に山積みされた雪の上に
トクマンは大の字になる

「テマンはどうした?」

「は、はい大護軍の屋敷まで言伝てを
伝えに、向かいました」

「テマンを見習え!二日くらいで
死にはせん!おい!トクマン起きろ!
流石にここで眠れば死ぬぞ
まったく、戸板で兵舎まで運んでやれ」

トクマンを揺らして見るが眼が開く
素振りはまったくない
門番はチュンソクに命を受けると
仲間を呼び、戸板でトクマンを運ぶ


ヨンが 宣仁殿に赴くと既に
キム・サンジュが縄を打たれ
王様の御前に、項垂れ座らされていた

「大護軍、早すぎはしないか?」

王様はにやりと片頬を上げる

「いえ王様、主がおらぬ当家で刃物沙汰
があったと聞き及び馬を走らせ
戻りましてございます」

「それよのぉ、キム親子がそちの屋敷
まで、押し掛けたようじゃ、だが
スリバンとチェ家の使用人の機転で
事なきを得た!」

「はっ!カン殿が無事で安堵致して
おります」

「医仙殿が無事の聞き間違いかのぉ」

「当家の使用人で
私兵であるチョンスが身を挺して守る
あるいは、共に逃げるのを
十分心得ておりますれば、然程案じては
・・・」

「真かのぉ・・まぁ深くは追及すまい
して、キムの刑は・・
己の私利私欲に走り一度破談を
言い渡したにも関わらず、屋敷まで
押し掛け、カン殿を亡き者にしようと
画策した罪、決して軽からず
よって流刑に処す、私財は召しあげ
親族諸とも身分を剥奪奴碑とする
皆の者よく聞け!大護軍に限らず
一度破談を申し渡した縁談話を
蒸し返す事は余が認めぬ!
再びこのような騒ぎあらば流刑で
済ますつもりはない、よいな!!」

「はっ!」その場に居合わせた
文官、武官が声を揃え頭を垂れる

「して、大護軍視察はどうであった」

「はっ!倭国の船団は陸地から程遠く
今暫くは、動きはないかと思われます
がしかし、雪溶けを待ち上陸する可能性
も十分考えられます故、その折
某に兵をお貸し下されば、一網打尽に
してご覧にいれます」

ヨンは片膝を付き王様に報告すると
顔を上げ、王様のお顔を見つめ
片頬を上げた
王様もまた片頬を上げる

「相分かった、その折は大護軍に
兵を預ける、然りと頼むぞ」

「はっ!」と短い返事を返すと
ヨンは再び頭を垂れる

「大護軍、明日は暇を与える故ゆるりと
致せばよい、無論医仙殿にも与える」

「はっ!ありがたき幸せ」

王様は笑みを溢し宣仁殿を出て行かれた


ヨンは自身の私室に戻り、急ぎ報告書
を認める

「チュンソクか、トクマンは眠っておる
のか?明日は暇を賜った故よろしく
頼む、これでトクマンを労ってやれ」

チュンソクが私室の扉を開ける前に
ヨンが声を掛ける
そして静かに扉を開け
卓の上に置いてある碌を袋を貰い受ける

「大護軍も此度ばかりは、お疲れでは?
後は引き受けますゆえ、どうぞ医仙様を
お迎えに・・・」

「ああ、すまぬ、だがもう終わってお
る」

チュンソクが卓の上をちらりと覗くと
報告書は既に書き終わり卓に
広げていた

「トクマンも暇を賜った故
明日はゆるりと休ませてやれ
此度は俺の我が儘で、無理を強いた故」

「承知しております、明日は御ゆるりと
後は某にお任せを」

ヨンは椅子から立ち上がりチュンソクの
肩に手を置き力を込め、私室を駆け出し
典医寺へ向かう


「ウンス!」

「ヨン?もう迎えに来てくれたの」

ウンスは満面の笑みを浮かべ、ヨンに
駆け寄る

「ああ、侍医この方は明日暇を賜った
すまぬが、今日は早めに屋敷に戻るが
構わぬか?」

「はい、大護軍、構いませぬ
忙しいのも峠を越えました故
此度ははご苦労様でございました
屋敷にて御ゆるりとなさって下され」

イム侍医はそう言葉に表し
ヨンに頭を下げる

「すまぬな、ウンスでは戻るぞ」

「暇を?二人で?」

ヨンは笑みを浮かべ頷く
ウンスは嬉しそうに微笑み「着替えてく
る」と自身の私室に駆け出す

「ウンス!走ってはならぬ、転び怪我
でもすれば如何する!」

ヨンはそう叫びながらウンスの後を
追いかけて行った


愛馬チュホンは、流石に疲れている
だろうと、テマンに頼み先に屋敷に
連れて行った為、市井を通り抜け
腕を絡め歩いて戻ることにする

「ウンス、着込み過ぎではないか?
まるで、雪だるまではないか」

「だって、いつも暖っためてくれる
ヨンが居ないから、寒くて仕方なかった
んだもの・・」

ウンスは恥ずかしいそうに呟き
頬を染め俯く・・・

「そうか、ならば今宵十分暖めるとしよう、五日分故身体を解さねばならぬな」

ヨンはそう呟くと、ウンスに熱い眼差し
を向けた・・・

「もう・・知らない!」


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皆様こんにちは

いつもお寄り下さり
ありがとうございます

ヨンがあ~言ってますが明日の夜です
今宵はありませんので、ご理解の程
宜しくお願いします


でんべ

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