木春菊  [偕老同穴] 78 | シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説でんべのブログ

シンイ二次小説を書いています

「それとこれとは、別ではありませぬか
公私混同も甚だしいかとおもわれます」

キムはカン・ヨンジュを睨む真似をする

「ほう、そなたこのわしを睨む事が
出来るようだな、医仙殿、王様に
文を認(したた)める故すまぬが
筆と硯を貸しては貰えぬか?」

「エギョン?あ、旦那様の書斎ね
分かりました、直ぐに用意いたします」

ウンスとカン・ヨンジュが
向き合い話をしていたが
テンの叫び声に驚き、顔を向けると・・

「父上!!お止めになって下さい」

「そんな事はさせるか!」

キムが小刀を持ちカン・ヨンジュに向け
突進して来るところだった

「きゃ~~」とウンスの叫び声が
静粛に包まれた屋敷街に木霊する

ウンスが盾になろうと飛びだす
寸前、エギョンが後ろからウンスの
腕を捉えそれを止めた

「チョンスがおります、奥方様」

そうウンスの耳元で呟く

「え?」と、声を出したが
ウンスが落ち着き、暗闇に目をこらすと
チョンスの目が光って見えた

どこからか的確に小刀を落とす弓矢
飛んで来た
シウルが向かいの屋敷から弓を
高々と掲げているのがうっすら見える

チョンスは、皆がシウルに気を
取られている間に、手刀でキムを
眠らせていた

ドサッと人が倒れる音で皆が振り向く

「大丈夫です、眠って貰っただけです」

チョンスが控えめに言葉にする

「父上!!起きて下さい!」

テンが必死の形相で叫びキムを揺らす

「見事な手刀、なんの音もせなんだ」

「いや、まだまだでございます
倒れるのを支える事は出来ませんでし
た」

チョンスは恐縮しきりに頭を掻く

「そなた、名をなんと申す?」

「チョンスと言いますが・・」

「相分かった、チョンスすまぬが
縄で縛り上げ、こやつを王宮の牢まで
連れて行っては貰えぬか?
禁軍に文を認める故、そなたなら
こやつが暴れても、然りと押さえる
事が出来るであろう、わしが共に
行ければよいが、王宮まではまだ無理が
ある故すまぬな、医仙殿、筆と硯を
お願い出来るか?」

「ええ、勿論こちらへどうぞ
シウルありがとう~、エギョン温かい
お茶の支度お願いね、チョンス待って
いてね」

ウンスはてきぱきと指示を出す
ある意味ヨンの大切な家族である
シウルにも礼をするのも
決して忘れはしていない

文を認め、カン・ヨンジュの使用人が
チョンスへと渡し、直ぐにチョンスが
キム親子を輿に乗せ王宮へと急ぐ

「父上!テンはどうすれば宜しいのです
?ただただ大護軍様に嫁ぎたい一心で
したのに・・・」

テンは肩を揺らし嗚咽をする


「カンさん、ありがとうございました
私一人ならとても対応出来ませんでした
お身体に負担になってしまったのでは?
診脈させて貰いますね」

ウンスは脈に触れ瞳を閉じる

「少し脈が速いようですが、煎じ薬は
まだありますか?」

「ああ、侍医が屋敷に参る度に持参して
くれる故まだあるが、戻り次第飲み
床に付く故、案んずる事はない、
これからも、このような事はおきるやも
知れぬ、いつでも相談に参れ
わしに出来る事ならいつでも力になる」

そう言い残しカン・ヨンジュは
椅子に座り、温かいお茶を口にし
自身の屋敷へと戻って行った


「エギョン?本当にありがとう
よく屋敷に通さなかったわね」

「はい、旦那様にきつく言われて
おりましたので・・」

「え?いつの間に・・」

エギョンはヨンが出立する深夜訪ねて
来た事を話してウンスに聞かせた

「・・・」

「奥方様、大丈夫でございますか?」

「ええ、大丈夫よただ嬉しくて・・・
旦那様があちらこちらと頭下げて
回っていたなんて・・・」

「それだけ奥方様を大切に思っている
証です、気に病む事はないかと・・」

「そうね・・ありがたいわ・・ふふふ
チョンスが戻ったら、三人で夕餉を
頂きましょう、それまで湯浴を
したいわ、大丈夫かしら?」

「はい、整えてございます」

「ありがとう、じゃあ後でね・・」



チョンスは輿を走らせ
急ぎ王宮にたどり着いていた

門番にカン・ヨンジュからの文を渡し
キムを引き渡す

「屋敷に戻り娘御は、沙汰を待つが
よい!」

門番はテンを冷たくあしらう

「そんな・・・」

テンはそう呟くと、とぼとぼと
夜道を戻って行った・・
チョンスはふと考え込む

奥方様なら女人一人返すとはと
お怒りになられるのではないかと・・
屋敷のことも気になるが
護衛が付いている・・・

「えぃ・・屋敷はどちらか?
お送りします・・」

「え?真に宜しいのでしょうか?」

テンは驚き瞳を見開く

「夜道、一人で返したと奥方様が知れば
きっと叱られます、奥方様はそんな
お方ですから・・早うお乗り下さい」


キムの屋敷までテンを送り
チョンスは急ぎ屋敷へと戻る


「遅くなりました・・・」

「娘さんは?」

「屋敷までお送りして来ました・・・」

「そう、ありがとうチョンス
父親が捕らえられても、娘さんには咎め
はないだろうから気にしていたのよ」

チョンスは思い通りのウンスの答えに
胸を撫で下ろしていた

「さあ、お腹空いたでしょう
三人で食べましょう、クッパと言って
たから、楽しみにしていたの
分かってる、一人で食べるなんて
味気ないから、ね?」

ウンスはエギョンとチョンスの言いたい
事を分かってはいたが
それを言わせないようにしていた

楽しく夕餉を食べ 護衛の迂達赤 と
武閣氏にも交代で食べて貰った

「じゃ、休ませて貰うわ
明日また宜しくね・・ふふふ」


一人閨へと向かうウンス
その後ろ姿は疲れきっていた

無理に笑顔を作り心配させまいと
しているのが、エギョンとチョンスには
ありありと分かった

「クッパをこんなにお残しに
なられた・・好物のはずだけど
旦那様でなければ駄目なんだ・・」

エギョンとチョンスはどうしたものかと
頭を抱える


「一人で眠れないじゃない
広い寝台って、一人の時は辛い
なぁ・・・」

ヨンの香りが残る枕を胸に抱きしめ
ウンスは右へ左へと寝返りを打ち
漸く眠れたのがもう明け方だった


ポチっとして下されば嬉しいです






にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村