木春菊  [偕老同穴] 77 | シンイ二次小説でんべのブログ

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「大護軍、そろそろ野営の段取り
付けないと、日が暮れます」

「ああ、もう段取りは付けてある故
案ずる事はない、もうじき見える筈」

ヨンは流石に野営では
トクマンやテマンの身体が持ちまいと
山寺を手配していた

暫く山道を走ると広法寺が見えてくる

「亡き父上が懇意にしていた寺だ
幼き頃、何度か訪ねた記憶がある」

三人は馬から降り、厩舎へと連れて行き
餌を与え労を労(ねぎら)う
一人の住職が出迎える

「ご無沙汰しております、崔元直が
嫡男 崔瑩です」

「おお~久しいの大きいなったのぉ
文は届いておる、ゆっくり致すがよい」

「住職様もお変わりなくお過ごしの
ご様子、お顔を拝見し安堵致して
おります」

ヨンは恭しく頭を垂れ、トクマン
テマンもヨンに習い頭を垂れる


「野営とばかり思っていましたから
布団で寝れるとは・・
湯浴の支度までして下さるとは
考えもしませんでした、俺嬉しいです」

トクマンは嬉しそうに満面の笑みで
ヨンとテマンを交互に見ていた

「さっさと食え!」

質素な 夕餉だがありがたいと
温かい汁物が冷えた身体の骨身に染みた


「大護軍、先に湯浴にどうぞ
俺たち床を整えますから」

「すまぬな、先に貰うとする」

ヨンはテマンの頭を撫で寺の客間を
出て行く

「良いよなテマンは、俺なんか一度も
撫でられた事ないぞ」

「お前は背が高いからだろう」

「そんな事ないだろう、だって今は
胡座をだそ、十分撫でれれる筈だよ」

「男の癖に撫でて欲しいのか
まさか、お前?大護軍に恋慕してる
のかよ」

「た、戯け!いくら大護軍でも、俺は
男には感心はないな、やはり女人だ
よな~医仙様みたいなお方がいい・・」

うっかり口にし慌てて、手で口を
塞ぐ、瞳をギョロギョロと左右動かすが
時既に遅し、客間の扉が
「バッン」と開き、鬼の形相を
張り付けたヨンが入ってくると
「バシッ」と後頭部を叩かれた

「トクマン!!お前は水で湯浴をしろ
頭を冷やせ!あの方を妄想するでない
わ!」

「痛いし、水なんかで湯浴すれば
死んでしまいます・・」

トクマンは涙目で訴える
ヨンはそのまま扉が壊れるかと
思うほど音を立て客間を再び後にする

「まったく・・トクマンの奴!ウンスを
妄想するなど怪しからん!!」
『一人で寂しくはない
だろうか?泣いてはいまいな・・
離れておっても常に心は一つ
そうであろう・・・ウンス』

ヨンは首にぶら下げた指環を
そっと握り締めた

「ふっこれでは、叔母上に腑抜けと
叱られるな」

ヨンは笑みを溢し湯浴へと向かうので
あった




一方屋敷では・・・

「邪魔をするぞ!」

「カンさん!!こんな寒空に出歩いては
駄目じゃないですか!」

ウンスは驚き駆け寄る

「医仙殿、案ずる事はないぞ
ほれ、この通り恙無く暮らしておるゆ
え」

「でもこんなに寒いのに風邪を引いたら
大変ですから、どうぞ中へお入り
下さい」

「構わぬ、着込んできたゆえ
我が家の使用人が、こちらの使用人と
キム殿のやり取りを、見ていたようで
わしに知らせてくれてたのだが」

カン・ヨンジュの後方に控える
使用人がウンスに向け、頭をぺこりと
下げる

「さて、キム殿!何故大護軍がおらぬ
ところに押し掛け、何の真似だ
娘御の縁談は、破談になったであろう」

「・・・それが娘に泣きつかれ
仕方がなく参った次第・・・」

キム・サンジュは俯き罰が悪そうに
小声で話している

「父上、何方様なのです?」

「これ、テン無礼を申してはならぬ
この方は重臣の中で、もっとも官位が
高いカン・ヨンジュ様であらせられる」

「へっ父上より官位が高いお方?
そんな・・父上いつも申していたでは
ないですか?父が一番官位が上だと
違うのですか!父上・・」

「これ、テン何かの聞き間違いで
あろう・・・」

娘がサンジュに詰め寄るが
それをのらりくらりとかわす

「ほう・・わしより官位が上のお方は
王様しかおられぬ筈だが、わしが病に
伏せっておる間、王宮の決まりごとが
変わったかの、教えてくれぬか
キム殿」

カン・ヨンジュはあくまで乱れた
ところも見せず、冷静に言葉を
繋いでいた

「そ、それは・・・」

「父上!どうなっておるのです
父が縁談を申し出たなら、王様も反対は
出来まいと豪語していたのに・・
市井で見掛けた大護軍様に、心を持って
いかれ、縁組みを今か今かと待って
いたら、あっさり破談と言われる始末
テンはどうすればよいのです?」

テンは涙目でキムの腕を左右に揺らす

「諦められよ、大護軍に例え嫁ぐのが
叶ったとしても、そなたに指一本触れる
ことはない、わしが断言して差し上げる
それでも構わぬと申しておるのか」

「どうして言い切れるのです?
大護軍様はまだテンを知りませぬ
お会い出来さえすれば、さすればきっと
・・・テンの虜になります・・」

「医仙殿を悲しませるのは、このわしが
許さぬ!ふぅ~キム殿は昨年取り立てら
れた新参者だったな、知らぬなら
教えてしんぜよう、一度破談となった
縁談は二度目はない、当事者の
大護軍もしくは医仙殿が認めるなら
別だが、このお二人にはあり得ぬ話」

キムは漸く顔を上げカン・ヨンジュを
懇願の眼差しで見つめた

「そこでございますカン様
医仙殿が認めて下さればと思い
こちらに参った次第・・」

「馬鹿者が!!医仙殿が認める訳が
なかろう、医仙殿の住んでいた里では
一夫多妻性は、認めておらぬと聞いた
そして身分の上下もないとな
わしも初めは疎ましく思うておった
その折すまなかったと思うておる・・・
だが、人間性に触れ、医員としての
考えに触れる事ができ、わしの考えも
変わった、国を変える事はわしには
出来ぬが、今は己の回りを変えている
つもりでおる、使用人でも何かを
して貰ったなら礼をいい、暮らしてる
つもりでおる」

「そ、そうです、旦那様はわしらにでも
頭を下げてくださいます、止めて下さい
と、何度も言ってますがそれでも
お止めになりません・・」

使用人が口を挟み、カン・ヨンジュが
分け隔てなく、接してくれる事を
皆に力説していた

「そうなの?カンさん」

ウンスは使用人の力説に驚き
カン・ヨンジュを小首を傾げ見上げる

「貴族だからと重臣だからと
ふんずり返っておると、罰があたるでな
せっかく医仙殿に助けて貰った命
何事にも、感謝して生きねば医仙殿に
顔向けが出来ぬでな」

「ふふふ・・そうですよ、カンさん」

「おお、話が逸れてしまった
兎に角、わしが王様に支えし重臣で
おる限り、大護軍の縁談は認めぬ
王様に縁談の上申書が
上がる前に、この手で握り潰す!」

「カン様、今日は取り敢えず
屋敷に戻ります故、大護軍殿が
お戻りになられた折、改めて伺います」

「そこまで申すのなら、わしにも考えが
有る!わしを敵に回し王宮内で、職務
を全うするのはどれ程難しいか
思い知るのも良かろう!」


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