それは、人知れず行われていた。


空を優雅に飛んでいる謎の鯨。通称空鯨。


この鯨は、滅多なことでは地上に近付くことすらなかったが、今回は頻繁にきていたのだ。



大きく口を開けて、地上に溜まってしまった雨水を飲み込んでは海に噴き出していたのだ。



何度も何度も何度も繰り返して水を放出していたため、

島に溜まった水は、殆どなくなっていた。



誰も、彼のこの功績を知らない。


わかっているのは、豪風雨の被害が大幅に減ったということだけだった。