時計塔の話になっていたときから、コレを考えていた。


一種の憧れが、願いが叶うチャンスであると思った。


時計という概念のないこの世界で、時計塔なんてものを作る意味があるのか?と、反対派がけっこー出てきたときは、内心焦っていた。


でも、こうして建てることができた。


なんだかんだとトラブルはあったけど、こうして完成した。


みんなもなんだかんだで楽しそうにしていた。



でも、違うの。


この塔の本当の目的は、、、



そんな期待やワクワクを胸に、この時までの、この瞬間までのことを思い出しながらイチコは時計塔の階段を登っていた。



そして、

頂上に着いて、一呼吸すると、



大きく歌った。


塔内に僅かに細工した小さな管や、大きな鐘が、その歌声に反響して、より綺麗に、やり大きく響く。



それは、大きな音になっていたが、どこか自然で、空気に溶け込むような感じであった。


早朝で、殆どのヒトが寝ているはずなのに、その大きな音が原因で目が覚めることのない、そんな自然で綺麗な歌声。



歌声に釣られてきたのか、鳥たちや、羊雲、空クジラたちも塔の周りを踊るかのように飛び回っていた。