何故私はここにいるのだろう?
歌うのを褒められ、力仕事では頼られる。
そんな私で十分であったはずだ。
過去なんて、知らなくていい。
私がまともな人間でない。
だ、なんてことを知らないでいられた方が幸せだったんだ。
あのハコを見つけて開けてしまったあの時の自分を恨む。
過去の私を恨めばいいのかもしれないが、自らの手で幸せを壊してしまったという実感が強いせいか、そのようには考えることもできなかった。
そんなぼーっとしながら歩き続けていたら、全く知らないところに来ていた。
この島には長いし、大体全てを行ったことがあると思っていたが、全く記憶にない。
まぁ、いいか。
そう思って私は、さらに知らない奥へ進んで行った。