サザエさんー道徳-12

 

新聞週間限定のサービスとは言え、寝坊している人の枕元まで、新聞を届ける必要はないと思う。

 

朝日文庫版31巻〔82頁〕・昭和40年

『白い鉢巻をしたカツオ君が、新聞の束を肩から提げて走っています。牛乳瓶を沢山入れた箱を荷台に取り付けた自転車から降りて、数本を籠に入れて配達している牛乳屋のおじさんとすれ違いました。すれ違いざま、その顔見知りのオジサンが、カツオ君に、「へーーシンブンはいたつはじめたの?」と声をかけました。カツオ君はと答えています』

『カツオ君は、ある家の玄関口まで走って来ました。カツオ君は、肩から下げた新聞の束から、一部の新聞を取って手に持っています』

『カツオ君は、新聞を手にして玄関から家の中に入ると、靴を蹴飛ばして脱ぐと、そのまま家の中に入り廊下を走って行きました』

『洋服ダンスや箪笥が置いてある部屋に、寝間着を着たハゲ頭の太ったおじさんが布団から半身を起し驚いています。おじさんの直ぐ傍まで、カツオ君が新聞を持って現れ、「しんぶんしゅかんのあいだは枕もとまでおとどけしますよ」と言って、おじさんの枕元に置いています』

 

カツオ君!新聞配達のアルバイトをしているのか?偉いね。新聞の束を肩に担いで懸命に走っているカツオ君の姿は、凛々しくてカッコいいよ。数日前、「もういそのくんとなんかくちをきかない」なんて言った女の子も、そんなカツオ君の姿を見たら、「やっぱり口をきいてあげるわ」と言って、見直してくれると思うよ。

カツオ君、毎日の新聞配達ご苦労さん!しかし、今日のカツオ君は、行き過ぎだな。他人の家の中に、許可もなく立ち入る「不法侵入罪」と言う犯罪を犯したことになるぞ。多分、新聞週間であっても、その犯罪に例外はないと思う。

家の中に入り込んだカツオ君を見たおじさんも驚いているように、黙って、家に走り込んだようだな!

君が、玄関に走り込む瞬間、「新聞配達です。お邪魔します」と大きな声で告知していたら、「不法侵入罪」は免れることが出来るかもしれない。

しかしながら、この罪は免れても、気持ちよく寝ていた人の睡眠を邪魔した「睡眠妨害罪」という犯罪?が適用されるかもしれないぞ。

兎に角、新聞週間限定のサービスとは言え、寝坊しているおじさんの枕元まで新聞を届ける必要はないと思う。

新聞は、気持ちよく目覚めた人が、自ら新聞受けの箱まで取りに行って、あるいは奥さんが持って来てくれる新聞を読むものだ。