サザエさん―傘(29)
コウモリ傘は、逆さに持ち、ゴルフクラブに見立て、ゴルフの練習もできます
朝日文庫版30巻〔111頁〕・昭和40年
『雨は降っていません。葉っぱの柄がプリントされた袖なしのワンピースを着た肥満の奥様が眉毛を逆立てて、コウモリ傘を持って、ゴルフ練習所に入っていきます』。
『奥様は、練習場の打席まで入ってきました。打席には、旦那様がレッスンプロに背後からクラブを持たれレッスン中でした。その後ろの打席では、マスオさんが格好良くクラブを振っています。傘を持って旦那の前に立ちふさがった奥様は、「こどものベンキョウどうしたのよッ」と怒鳴りつけています』
『奥様は、コウモリ傘を逆さに持ち、傘の手元をゴルフクラブのヘッドにし、傘の中棒をシャフトにし、「こんなところでのらりくらりしてさ!」と言いながら、ゴルフボールをカ~ンと打ちました。ゴルフボールに見事にヒットしボールは、勢いよく飛んで行きました。それを見ていた、旦那さんを指導していてレッスンプロが「お!!おくさんのほうがずっとすじがおよろしい!」と絶賛しています』
『奥様は、コウモリ傘をゴルフクラブのように持ったまま、ベタ褒めしていたレッスンプロのケツを「やかましい!」と思いっきら叩きました。コウモリ傘のにわかヘッドはケツに見事にヒットし、レッスンプロは飛ばされました。レッスンプロは、飛ばされながら「かくれたいつ材おしい!」とまたまた褒めっぱなしです』
コウモリ傘のもう一つの利用法です。コウモリ傘は、雨の日だけに利用するものではなく、傘を逆さに持ち、ゴルフクラブに見立て、駅のホームでゴルフのフォームを確かめている人を、時折、見かけることもありました。
以前、サザエさんも、コウモリ傘の手元をクラブヘッドの形にしたコウモリ傘を考案したことがあったようです。
実際に、こんな実用新案が出願されています。
「握柄(1)をゴルフクラブのヘッド形状にしたことを特徴とするゴルフクラブ型傘で、ゴルフ練習のできる傘です。従来は、仕事の合間などのちょっとした時間にゴルフ練習がしたいと思って
もゴルフクラブをどこでも携帯して持ち歩くことは困難だったが、この傘は、どこでもゴルフの練習ができるところに特徴がある。」
としています。
しかし、この奥さんは、確かにすごいですね。コウモリ傘の柄で、ゴルフボールを見事に遠くまで飛ばしたかと思ったら、レッスンプロのおじさんのケツを見事に叩いて飛びあがらせています。
レッスンプロは驚いたでしょうね。見事!見事!とあきれかえっています。
しかし、奥さんは、なぜレッスンプロのケツをたたいてのでしょう。
悪いのは、あなたの旦那さんでしょう。
レッスンプロが、旦那さんをゴルフ練習場に通わせのではなく、旦那が、こどもの勉強を見るのもせずに、ゴルフ練習場に通っているのですから、悪いのは旦那さまです。