サザエさん―意外な落ち(4)

 

サザエさんのお父さんは、釣もやるようです。

 

朝日文庫版33巻〔73頁〕・昭和43年

『サザエさんのお父さんが、釣竿ケースを肩に担ぎ、クーラボックスを肩から下げ、洒落た釣用帽子を被り、颯爽と家の門を出て行きます。お母さんとサザエさんが、見送りに出ています。お母さんが、「フネからおちないでね」と言い、サザエさんが、「救急車ではこばれたりしちゃいやよ!」と言っています。お父さんは、「だいじょうぶ」と意気込んでいます』

『救急車が、猛スピードで走っています』

『救急車は、サザエさん家の前で止まりました。救助隊員が救急車のバックドアーを開け、担架に横になったお父さんを運び出しました。慌てて出て来た、サザエさんのお母さんとサザエさんは、お父さんの姿を見て驚いています』

 

どうしたのでしょう?

2人が心配していたとおり、フネから落ちて、救急車で運ばれてきたようです。

大変なことになりました。

しかし、フネから落ちたのではなく、別の理由で救急車で運ばれて来ました。

 

落ちは、次のようでした。

『救助隊員、いや、救急車の運転手さんが60cmもあろうあと思われる巨大な鯛の尻尾を持ってぶら下げ、二人に見せ、「気の小さなかたでね、思わぬエモノをつりあげ、人事不省(じんじふせい)になられたんでネ」と呆れたように説明しています』

 

と言うことでした。

 

巨大な鯛、それは、選挙で当選した時のお祝で、当選者が得意になってぶら下げるもののようです。

 

60cmくらいはあろうかという鯛は、昔、見たことがあります。

妹の結婚式でした。

かなりの迫力でした。

こんな巨大な鯛を、つり上げたら、大変だったでしょう。

 

サザエさんのお父さんは、釣り上げて見て、余りの大きさに、驚いてそのまま卒倒したのでしょうか?

 

気が小さくなくても、卒倒するほど驚いたと思います。

人事不省とは、面白い表現です。

倒れて昏睡したのでは、救急車で運ばないといけません。

困った人です。

 

お父さんは、気がついてどうするか楽しみですね!

多分自慢するだろうな。

「船に乗って、可なり沖まで出たんだ。船頭さんがアミを撒き、この辺が釣れそうだと言うから、早速、糸を投げ入れたよ!なかなか引かない。待ちくたびれて眠くなっていたら、グググッーと来た。それ来たぞと、リールを巻こうとしたが、びくともしない。逆に強く引かれて、フネから落ちそうになったよ。俺が大騒ぎしたものだから、船頭さんが慌てて駆けつけて、俺の釣竿を奪うと、懸命に魚と戦ってくれた。オジサン網を取ってくれと言われて、傍にあった網網を取ってやった。ところが船頭さんは、違う違うそれじゃ駄目だ、あそこの大きな網を持ってきてくれと言うから、急いで大きな網を持ってきて渡した。船頭さんは、暫く魚と闘っていた。その大きな網のなかに入れた鯛を取りあげて見せた時、俺は、その巨大さに驚いて人事不省になった。救急車で運ばれて面目ない」