サザエさんー判らない落ち(44)
アッ!ないはずの穴に落ちた。
朝日文庫版26巻〔94頁〕・昭和38年
『真夜中に、バス停に止まったバスからサザエさんが、少し怖そうな顔をして降りました』
『サザエさんは、おおきめのハンドバックを小脇に抱きしめ、キョロキョロと当たりを見廻し、恐る恐る歩いています』
『サザエさんは、「アッ」と大声で叫びながら、突然、地面の中に落ちました。マンホールの蓋が開いていたのです。その開いたマンホールにサザエさんが両手を上にあげて落ちて行きました』
『マンホールの直ぐ傍に、横縞模様のシャッを着た黒メガネの男が、ピストルを手に立っていました。目の前でマンホールの穴の中に消えてしまったサザエさんを見て、男は、「チェッつまんねえの」とぼやいています』
ほんの数日前だと思いますが、テレビのニュースを見ていたところ、驚くような画像が流れていました。
画面の中で、ある街路にバスが来て止まりました。
乗客が、バスを降りて、数歩、歩いたところで、突然、道路に穴があき、二人の人が落ちて見えなくなりました。
その後には、人が消えた穴が、ポッカリと開いていました。
韓国での出来事でした。
こんな事故に遭遇したら驚きですね。
施工工事のミスか、又は、工事後の補修管理に問題があったのでしょうか?
その原因まで詳細に見ませんでしたが、怖い事故だと思って視たのを思い出します。
ところで、上に出てきたサザエさんも、道路の穴に落ちています。
これは、道路に穴ができた事故ではありません。
マンホールの蓋が外されていたのです。
誰が、何のためフタを外したのかと、思ったら、暗闇の中を歩くサザエさんを狙った強盗がいました。
彼がフタを外したのでしょうか?しかし、何のために、外したのでしょう?
ピストルも持っているのですから、突然、サザエさんの前に現れ
「ヤイ!ヤイ!カネを出せ!」
と脅せば、恐らく、サザエさんは、大きなハンドバックから財布を取り出し、少なくとも幾らか渡していたでしょう。
だから、強盗は、マンホールの蓋を外して、狙うカモを落とす必要はないはずです。
強盗が、マンホールの蓋を外していたとは思えないのは、サザエさんが、マンホールから落ち、強盗が未遂に終わり
「チェッつまんねえの」
とぼやいていることです。
これでは、マンホールの蓋を外す意味がない。
逆に、強盗は、マンホールに消えたサザエさんを見かねて
「オイオイおねえちゃん、大丈夫か」
と、ピストルをズボンのポケットに突っ込み、穴の上から手を差し伸べて、サザエさんを引き上げることくらいはやらねばならなくなりました。