サザエさん―判らない落ち(36)

 

駅のホームで週刊誌を売るには、客が欲しいものを正貨で売ればいいのです。

正しく売らないとトラブルを生じます。

 

朝日文庫版21巻〔142頁〕・昭和33年

『駅のホームの週刊誌や新聞売り場です。台と棚に週刊誌が綺麗に並べられています。売り場のオバサンが、マスオさんを捕まえて、「いっぺんでおとりになったらおだいはいただきません」と言いました。マスオさんは、「おもしろい!ボクは週刊××だよ」と言いながら、メガネを取り、オバサンに目隠しをしてもらっています』

『目隠しをしたマスオさんは、台の上に沢山並べられた週刊誌の中の一つを指さしています。オバサンが、マスオさんが指さした一冊の週刊誌を取り上げました』

『マスオさんは、「ずるいやおきかえたね!」と文句を言っています。オバサンは、困った顔をして、頭をに手をやっています』

『今度は、オバサンがマスオさんを指さして、「ずるいわ、それみえてるんですね!」と文句を言っています。今度は、マスオさんが、やられたと言わんばかりに頭に手をやっています』

 

2人は、何をやっているんでしょう。

週刊誌の売買になんだか複雑なことやっています。

 

昭和33年頃の話ですね。

駅のホームに、木製の台を置いて、その上に週刊誌や新聞紙などを並べて置いて、売っていました。

しかし、オバサンとマスオさんが、やっているような商売のゲームは知りません。

 

オバサンは、面白い方法で週刊誌を売っています。

その方法は、週刊誌を買おうとする人に目隠しをして、その人が欲しい週刊誌を、台の上の何処にあるのか、指でさして当てれば、タダで差し上げようというもののようです。

 

よく考えれば、忙しいのに、こんな暇つぶしをやるかなと思ったり、いやいや、駅のホームでの商売だから電車が来るまでの暇つぶしに挑戦する客もいるかもしれないと思ったりします。

ここに出てくるマスオさんは、後者のヒマと好奇心のある客でした。

 

タダで貰えるなら、と、挑戦する客は、増えるでしょう。

しかし、目隠しして客が欲しい週刊誌をタダで差し上げていたんでは、商売になりません。

そこで、オバサンは、指さされた週刊誌が、当たりでないように並べ替える不正をやるのでしょう。

確りと目隠ししていれば、オバサンがやる不正はバレない筈です。

 

しかし、間抜けなオバサンがした目隠しは、手拭が薄いのか、あるいはオバサンの目隠しの仕方が悪いのか、見えていたのです。

だから、マスオさんは、オバサンが週刊誌を置き換えているのが見えたのでしょう。

 

と理解するしかありませんが、可笑しさが伝わらない落ちでした。

しかし、変わった方法で商売をしているオバサンが可笑しい。

商売になるのか、ただ、面白がっているのか、こんな週刊誌売りのオバサンは見たことがありません。

 

それにしても、妙な話でした。