サザエさんの素直な落ち(26)
ユメは楽しいものです。強くなったり、優しくなることができます
朝日文庫版28巻〔112頁〕・昭和39年
『マスオさんが、真夜中、会社帰り歩いていると後ろの方から「おたすけくださ~い」と女性の声が聞こえてきました。マスオさんは、後ろの方を振り返りました』
『煉瓦塀の傍まで来たマスオさんが振り返ると、後ろの方から、髪を結いあげ、和服姿の妖艶な美女が走って来ます。その後から、顔の、目、口の周りが髭だらけ、プロレスラーのように、肩・胸などが盛りあがった頑強そうな男が、横縞柄の半袖シャツから、盛りあがった腕をフリまわしながら、後を追っかけてきました。マスオさんは、追われている美女を見て、思わず「ぜっせいの美人ユメのようだ」と持っていたカバンも投げ出し、鼻の下を長くしています』
『マスオさんは、追っかけてきた頑強そうな男の前に立ちはだかると、男のズボンのベルトを確りとつかみ、その巨体を持ち上げました。男の脚は地面を離れ、マスオさんは、男の体を高く持ちあげることが出来ました。煉瓦塀の向うには、大きな巨木がありました。男の体は、その巨木の幹と変わらない位の大きさですほ。マスオさんは、気付きました。「やっぱりユメらしい」。妖艶な美女は、ハンカチを口に咥えて、地面に横倒しに寝転び、品を作っています』
『マスオさんは、「よーし、ユメときまったらハデにいくぞ!」と叫びながら、男の体を煉瓦塀の方に投げ捨てました。男の体は、煉瓦塀を突き破り、大きな穴を作って飛んで行き、男の足に引っかかって、根元から抜けてしまった巨木と一緒に空中を飛んでいきました。妖艶な美女は、立ち上がり、マスオさんの体を支、一緒になって戦っています』
夢だったんです。マスオさんは、夢と判れば、思い切って、やりたいことをやっています。
さすがユメです。怖そうな男の巨体を持ち上げてやれと思いやってみました。
すると男の巨体を軽々と持ち上げることが出来ました。軽い軽いと、投げ飛ばします。
男は飛んで行きました。煉瓦塀を突き破り、足にひっかかつた巨木と一緒に飛んで行きました。
あの可弱そうに見えるマスオさんも、夢であれば、物凄いパワーが出せるのです。
年老いて、杖を用いていますが、スピードが出ません。孫たちと街に出ても置いてきぼりです。
すると、下の孫が近寄ってきて、小さな手の平で、優しく手を持ってくれます。
先を歩いているパパに、「パパ!じっちゃんは守ってやらないといけないんだよ」と大きな声で叱っています。
暴漢に襲われカバンを奪われました。その時もその孫と一緒でした。
盗人を走って追っかけることが出来ません。
4歳の下の孫が
「待て、この野郎、お前をぶったおす。妖怪。待ちやがれ、じっちゃん、杖貸して」
と杖を取り上げると追いかけていきます。
妖怪ウオッチのプレイヤーが言っています。
勢いよく走っていった、アレアレと見送り、危ないぞ。返り打ちになる恐れがあるぞ。
すると、走っている、孫が変です。
変身です。杖を持って『妖怪まて』と追っかける孫が一歩一歩大きくなるのです。
変身しながら追い付いた時は、大きく成長した孫でした。
杖も、竹刀に変化し、何時の間にかねじり鉢巻きをしています・
竹刀を上段に構えると、面前にいる盗人に
「待ちやがれ、この妖怪、ただでは済まぬぞ!」
と杖が変な化した竹刀を振り上げています。
「えいやっ!この妖怪!」と竹刀を打ち降ろすと、見事盗人の額に当たりました。
盗人はダウンしています。
それを見て、元の小さい孫に戻った孫は
「ネ!じっちゃん、悪い奴はこうしてやっつけるんだよ。判った」
と得意顔で言っています。
良いユメを見ました。最近いろんな夢を見ますが、最高でした。
心を豊かにしてくれます。
マスオさんは、絶世の美人に会い、暴徒から助けて挙げられて豊かな気分になっていたと思います。
サザエさんには、絶世の美人にあったとは言わないでおきましょう。ユメであっても。